チョコメロの仕事
「おい、荷物は全部おろしたか?わすれものはないか?じゃあ、また夕方に迎えにくるから、頑張れよ」
ここはある森の一角、今日、不思議な生き物のチョコメロは小屋を建てる仕事にやってきました。
さっそく、用意したアイテムから設計図を取り出してじっと見つめます。その真剣なまなざしは、
まるでプロの大工さん⋯ただし眺めているのは完成図の一枚絵だけでしたが。
ヘルメットをかぶり作業開始、家から持って来たスコップを使い地面をけずる。
真剣そのものの顔つきで地面を掘り進めるその姿は⋯はたから見れば子供がミニスコップを使い、
砂遊びをしている様子にしか見えません。
次に手に取ったのはカナヅチ。カン、カンと木に釘を打ち込む音がリズムよく響きます。
チョコメロ表情は真剣ですが、どこか楽しげ。……けれど、まわりから見れば、木端で釘の練習をしているようにしか見えません。
それでも作業は続きます。大工チョコメロの小屋作りは、こうして少しずつ形になっていきました。
そして夕方。そこには、完成した小屋と、その前で誇らしく仁王立ちしているチョコメロの姿がありました。
さすがはチョコメロ、自分の手だけで小屋を建てあげたのです。
するとそこに今回の依頼主がやってきます。トコトコと小屋に近いて行き、
ゆっくりと小屋の周りを一周すると「ニャー」と鳴きました。
依頼主のネコは満足そうに擦りよってくる。いつもむすっとしているチョコメロも、
このときばかりは喜びの表情を浮かべていました。依頼は大成功です。
「おい、迎えに来たぞ、今回も無事に依頼をこなせたようでよかったな⋯あれ、また寝てるのか?
着いたら起こすか」
家についたチョコメロはアイテムの片付けを始めます、片付けを終わるまでが仕事だからだと⋯
それはまるで家に着くまでが遠足だと言うように、はりきって整理をしました。
そう、チョコメロはりっぱな大人⋯すくなくともチョコメロ自身はそう思っています。自分でご飯を作り、 仕事をして無事に終わらせる。これこそ自立だと信じているのです。
その夜、チョコメロは夢を見ました。
いつもの懐かしい景色。やさしく笑いかけてくる声。
夢だからこそ、すがりたくなるまどろみに――今だけは甘えていたかったのです。
夜が明け、太陽が昇ります。
朝の光がチョコメロを照らし、また新しい一日が始まります。
今日も、きっといい天気になりそうです。