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婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!  作者: 山田 バルス
第一章 剣聖、黒衣の騎士 カール=キリト誕生編

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第56話 レーナの娘ティナのひみつ日記

『闇を裂く剣』 ―ティナのひみつ日記―



だいすきなカールおじちゃんのこと、かきます!


わたしがカールおじちゃんにあったのは、すっごくこわい日でした。まっくらな森の中で、おかあさんが「にげて!」っていって、でも足がいたくてうごけなくて――

そのとき、バサッて風がふいて、カールおじちゃんが来たの。


黒いふくをきて、ながい剣をもってて、すごーくこわいおじちゃんかと思ったけど、魔物をバシッ!ってやっつけたあとのカールおじちゃんは、ちっともこわくなかった。


やさしいめで、わたしを見て、「よかった、生きてるな」って言ってくれたんだ。


それから、いっしょに旅をして、いまはルメリアの新しいおうちに住んでるの。カールおじちゃんと、おかあさんと、セリアおねえちゃんと、ルゥもいて、毎日がたのしい!


カールおじちゃんは、いつもおっきな剣をもってるけど、ぜったいにむやみにふらない。やさしい目をしてるし、ちゃんと「ありがとう」と「ごめんね」も言えるの。


わたし、おとうさんってどんな人だったか、あんまりおぼえてない。小さいころにいなくなっちゃったから。でも、カールおじちゃんといっしょにいると、「おとうさんって、こんなかんじなのかな?」って思うときがあるの。


だってね、朝になると「おはよう」って頭をなでてくれるし、おなかがすいたら「食べすぎるなよ」って言ってくれるし、夜ねる前には絵本も読んでくれるの。


あっ! この前なんて、わたしがルゥといっしょに外でころんじゃって、ひざをすりむいちゃったとき、すぐにかけよってきて、「大丈夫か?」ってすっごくしんぱいしてくれたの。


やさしくて、つよくて、いつもみんなをまもってくれて――でもね、ちょっとだけさびしそうなときもあるの。


とくに、だれも見てないと思ってるとき。

おひるねしてるルゥを見てたり、セリアおねえちゃんと話してるのをよこから見てたり、ふとしたときに、すごくとおくを見てる目になる。


そのときのカールおじちゃんの顔は、なんだか「さみしい」ってかんじがして、わたしまできゅーってなるの。


だから、わたし、決めたんだ。

カールおじちゃんがさびしい顔をしないように、いっぱい笑わせてあげようって!


ごはんのときには「おいしい!」って元気に言うし、失敗してもわざとじゃないけど「てへへ~」って笑ってごまかすのも、カールおじちゃんが笑ってくれるから。


このまえ、おかあさんがカールおじちゃんに「プロの料理人みたい」って言われて、ちょっとてれてたの。

でもね、わたしは見てた。おかあさんより先に、カールおじちゃんがわたしのお皿ににんじんを多めに入れてたのを!


うわーん、にんじんきらいー! ……でも、おいしかった。

カールおじちゃんがつくってくれたおうちのなかの、あったかいにおいと、みんなの笑い声といっしょに食べたら、にんじんだって食べられるんだもん。


カールおじちゃん、いつもありがとう。

あのね、わたし、おおきくなったら「カールおじちゃんのおよめさんになる!」って言ったら、おかあさんとセリアおねえちゃんに「それはムリよ」って笑われた。


でも、いいの。

わたしはずーっと、このおうちで、みんなといっしょにいたいの。

カールおじちゃんとルゥと、おかあさんとセリアおねえちゃんと、これからもいっぱい笑って、いっぱいごはん食べて、いっぱい「おかえり」が言えるような毎日にしたいんだ。


あ、でも……もし、また「たたかい」に行くことになったら……

わたし、ちょっとだけがんばって泣かないようにする。


だってカールおじちゃんは、「ひとをまもるために剣をにぎってる」って言ってたから。

だから、わたしも「まもられるだけの子」じゃなくて、「まってる子」になりたい。


いつか「おかえり」って言うときに、いちばんにカールおじちゃんをぎゅーってできるように――わたし、がんばるんだから!

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