表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!  作者: 山田 バルス
第一章 剣聖、黒衣の騎士 カール=キリト誕生編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/268

第27話 北の魔導王国と“失われた姫”アリシア=ノルド


《北の魔導王国と“失われた姫”アリシア=キリト》 



遥か北方。終わらぬ雪と氷が支配する世界の果てに、「ノルド」と呼ばれる魔導国家があった。


この国はかつて、四大魔導国のひとつに数えられ、氷と理の魔法を極めた者たちが集う知の楽園だった。強き者が敬われ、理性が力と同等に価値を持つこの国では、王家とその分家たちが代々、国を治め、魔導の研究と継承を行っていた。


アリシア=ノルド。

それが彼女の本来の名だった。


王家の分家に生まれながら、氷と光を併せ持つ特異な魔力を宿していた少女。銀糸の髪に、澄んだ青の瞳。その姿は“雪の妖精”とも称され、幼くして天才と謳われた。


しかし、彼女はその「光」の魔力ゆえに、王族の中で異端視された。


ノルドでは「理と冷徹」を重んじ、感情と情の魔法――特に“光”の系統は「甘き毒」として忌避されていた。

彼女が生まれたのは、国の内情が荒れ始めた時代。周辺諸国との緊張、王位継承争い、そして内部で蠢く暗殺と陰謀の渦。その中で、アリシアは利用価値のある駒として扱われようとしていた。


十六の年、ある夜のこと。


アリシアは“王族暗殺未遂事件”に巻き込まれる。

彼女が所属する分家の一部が反乱を計画し、王の命を狙った。だが、アリシアはその計画に加担せず、むしろ未然に止めようとした――が、失敗した。


結果、彼女は“共犯者”として追われる立場に。

国を裏切った者、王家の汚点、禁忌の魔力を持つ者――三重の烙印を背負い、アリシアはノルドを脱出する。


真夜中の吹雪の中、たった一人で。

剣とわずかな旅装、


たどり着いたのは、遥か南にある大国リューゲンの王都近郊だった。


身分を偽り、伯爵家の屋敷でメイドとして働きながら、彼女は過去を封印した。ある目的のため準備をしていた。しかし、その美しい容姿から伯爵に見初められ、カールを身籠った。


そして――


「カール=キリト」が生まれる。


氷と光、そして鋼の気配を宿した子。

その幼き瞳を見た瞬間、アリシアは確信した。


――この子が、生きる理由だ。

――この子が、私の全てだ。


だがその幸福は長くは続かなかった。


アリシアは、カールが幼い頃に病で亡くなった。いや、少なくとも“そう伝えられていた”。

だが実際には、その死にも不自然な点が多く、記録も曖昧だったという。まるで、彼女の存在そのものを消すかのように。


なぜアリシアは死ななければならなかったのか。

なぜ彼女は、ノルドを完全に捨てようとしたのか。


それを知る者は、もうほとんどいない。


けれど――

北の国では今なお語られている。


“失われた姫”が遺した血は、いずれ国を変えると。

真に国を救う者は、かつての異端の姫の血を継ぐ者だと。


そして、セリア=ノルドはその伝承を信じ、長い旅路の果てにたどり着いたのだった。

失われた姫の息子――カール=キリトに。


その血が、再び北に流れる時。

氷の国ノルドに、変革の風が吹くだろう。


そして今、その運命の歯車が音を立てて、静かに動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ