表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された上に、追放された伯爵家三男カールは、実は剣聖だった!これからしっかり復讐します!婚約破棄から始まる追放生活!!  作者: 山田 バルス
第2章 カール=キリト 魔王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/268

第124話 準決勝第二試合 《剣聖カール》 vs 《現魔王軍精鋭部隊》


大伝統武術大会・準決勝第二試合

《剣聖カール》 vs 《現魔王軍精鋭部隊》


 ――試合開始五分前。


 観客席は異様な熱気に包まれていた。ついに来たのだ。魔王軍の三幹部に対し、銀髪の剣聖《カール=キリト》が挑むという、夢のような組み合わせが。


 「さすがに、今回は相手が悪いんじゃないか?」


 「いや、あのカールなら……いやでも、相手はあの赤鬼だぞ……!」


 期待と不安、そして興奮が入り混じる中、会場が静まり返る。


 「――入場!」


 最初に現れたのは、赤き炎をまとった男。《赤鬼》エリック。肩に担がれた巨剣が地面に火花を散らす。


 続いて、冷気をまとった長身の魔術師、《青鬼》ピエール。最後に現れたのは、白き法衣に身を包んだ聖女、《アウラーン》。どれも、魔王軍の頂点に立つ名実ともに最強の三人。


 そしてもう一方。


 「来た……!」


 リングに現れたのは、銀の髪をなびかせ、静かに歩を進める少年。背には漆黒の刀身を持つ魔剣。そしてその右手の甲には、淡く光るウロボロスの契約紋。


 《銀髪の剣聖》カール=キリト。


 その背後から二人の少女が並ぶ。一人は白銀の魔法陣とともに舞い降りた《白銀の聖女》セリア。もう一人は、紅い魔力の光翼を輝かせながら舞う、《紅翼の魔族》リーリアン。


 「では、準決勝第二試合――開始!!」


 審判の号令が下ると同時に、魔力の奔流が空間を満たす。


 「――《絶閃・白銀》」


 誰よりも早く動いたのはカールだった。


 風すら斬るその一閃。瞬間移動にも等しい速度で駆け抜けた彼の斬撃が、エリックの大剣を宙に弾き飛ばした。


 「なっ……!?」


 エリックの瞳が揺れる。まさか、一撃で武器を奪われるとは。


 「つまらない……その程度か」


 カールが冷たく言い放った。


 「ちっ、ならばこちらも本気で――!」


 ピエールが魔術を詠唱する。しかし、詠唱が終わるより早く、セリアがその前に立ちふさがった。


 「《白銀の守護術・プロテクティア》!」


 六芒星の魔法陣が足元に広がり、銀の光の壁が広がっていく。ピエールの氷魔法は全て弾かれ、逆に氷が自分に向かって跳ね返る。


 「うそだろ……反射……!?」


 「私の守りは、ただの障壁じゃないの」


 優しく微笑むセリアの足元には、光の花が咲いていた。


 「っ、このっ……!」


 苛立つピエールの後方、空から急降下する紅の閃光が突き刺さった。


 「《契血の矢・ブラッド・ピアース》!」


 リーリアンが放った血の魔弾がピエールの肩を貫き、彼は仰向けに吹き飛ぶ。


 「ぐはっ……!」


 「油断したわね、青鬼さん♪」


 リーリアンの六枚の紅翼が音を立ててはためく。魔族として覚醒した彼女の力は、今や聖女や鬼と並ぶか、それ以上。


 「くっ……アウラーン、癒しを……!」


 エリックが叫ぶが、その声に答えるように、彼女は光を放つ。


 「《聖光癒壊・ルミエール》!」


 しかし、それは回復の術ではなかった。リングの天井から降り注ぐ光は――攻撃の光。


 「……なぜだ?」


 「彼らは、正しき刃。その未来を切り拓こうとしている。私は、それを止めたくない」


 アウラーンが微笑む。


 「私は……聖女。真なる未来に、手を添える者……」


 彼女の光は魔王軍を癒すのではなく、カールたちに加勢するための力へと変わっていた。


 「アウラーン……てめぇ……!」


 「赤鬼、あなたが守ろうとする“秩序”は、もうとっくに終わっているのよ」


 その瞬間――カールが再び剣を抜く。


 「――終わらせる」


 「来いやああああああ!!」


 エリックが炎の拳を振るう。だが、届かない。


 カールの剣は、その全てを超えていた。


 《絶閃・銀界》


 閃光が走る。時間すら斬り裂いたような静寂が訪れたあと、エリックの身体がゆっくりと崩れ落ちる。


 「……完敗だ」


 彼の口から出たのは、悔しさではなく、清々しさすら含んだ言葉だった。


 ピエールもアウラーンも、すでに行動不能。


 「勝者――カール=キリト、セリア=ルゼリア=ノルド、リーリアン=フリーソウ!」


 審判の叫びと同時に、会場は爆発的な歓声に包まれる。


 「さすが……銀髪の剣聖……!」


 「まさか、ここまで圧倒するなんて……!」


 現魔王軍、完膚なきまでの敗北。


 カールの剣は、まるで未来を切り拓くかのように、迷いなく振るわれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ