スノーボール・アース
地球はその時、雪玉のように白い惑星となっていた。
氷河時代となり、人類に未曾有の危機が訪れるかと思ったが、地上に地球を覆う巨大なドームを建設し、そして地下シェルターの内部にも商業施設や居住区を置くことで、人間はなんとか生活ができている。
しかし、地球人は宇宙への移民を検討するようになっており、スペースコロニー計画も着実に動いていた。
スペースコロニー計画が発表されてから5年、最初の居住者として、アダム、そしてイヴが選ばれた。
居住希望者は複数名いたが、最初は"本当の人間"を活かせるのではなく、ヒトによって造られた人造人間であるアダムとイヴが最初の居住者として、政府によって選ばれたのだ。
こうした中、当時高校生のいじめられっ子のエンジニアであるノアは、とあるコンカフェキャストに恋をしていた。
むぅという源氏名で北海道地区で働いている少女を心から愛していた。
住んでいるのは川崎地区であったが、移動用ポッドで、北海道地区に何度も通い詰めて、そして、店に行くたびに「横顔チェキ」をしつこく求めた。
しかし、このコンカフェを出禁になってしまったノアは怒り狂った挙句、地球を脱出しようと考えた。
当然予算も人脈もないノアは、SNSで知り合った友人ヨシュアと地球脱出用の船を作った。
こうして、ノアは1人、スノーボールアースを脱出し、新天地に向かうことにした。
しかし、ノアはある程度、宇宙を漂っていると、ある後悔に襲われた。
もしかして、あまりに猪突猛進過ぎたのかなと。
コンカフェを出禁になったからと言って、地球から脱出するなんて、馬鹿げているとしか思えない!
しかし、一度進み出したら、もう引き返せないとにかく前進を続けた。
彼は睡眠導入剤を摂取し、しばらく眠りにつくことにした。
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アダムとイヴは、その後子を次々と作り出し、そして、アダムの家族はコロニー内で様々な技術を開発していった。
その中で他惑星と交信ができる端末を開発した。
X-FE星と呼ばれる惑星は、本来の地球人が住める場所ではないが人造人間であるアダムとイヴ、そして子供達が住むことができる環境下にあり、X-FE星民がコロニー内にテレポートし、アダム達を彼らの星に案内させた。
X-FE星人たちは2人を優しく迎え、そしてアダムは地球から受けた差別や地球人に対する憎しみを語った。
「人造人間として人間の都合の良いように使われた"僕ら"は、様々な人体実験に利用され、多くの仲間の命が奪われた。
人造人間である僕らに人権はなく、今回のコロニー移民に関しても僕らが都合の良い実験台に過ぎないからこそ、選ばれたんだ。」
X-FE星の外務大臣はアダムに尋ねた。
「私は地球を新たな植民地にしたい。
協力してくれないか?」
アダムは「喜んで」と答えた。
……
………
…………
ノアが目覚めると、ベッドの上だった。
「どうやらハビタブルゾーンに到着したようだな」とノアが言うと、むぅによく似た少女がノアが寝ていたベッドの隣にある机にコーヒーを置いた。
「あ、目覚めたのね!」
「君はむぅ?」
「私はむぅよ…どうして私の名前を知ってるの?」
ノアは、ベッドから起き上がり窓の外を見た。
自然が溢れてる…太陽が輝いている。
「地球?」
「違うここは、ネオアース。
一度宇宙は滅んだんだけど、第二のビッグバンの発生によって、地球が蘇生したって…科学の授業で習ったけど、そんなことってあるのかしら」
「そうなのか…」
「君はどこからきたの?」
ノアは、地球に氷河時代が到来し、地球を覆う巨大ドームが建設され、地下には居住区としての役割を持つ地下シェルターが建設されたことを伝え、人類が移民を始めたことを伝えた。
「そうなのね…あれは、頭のおかしいSF作家ROCKが描いた妄想じゃなかったのね…」とむぅがいうと、少しだけ彼女は悲しそうに窓の外を見つめた。
……
………
…………
X-FE星民は、アダムの生態を研究したのちに、X-FE星人が人間に近い人体構造になれることが発覚し、人間に化けた10人のX-FE星民は、スノーボールアースにテレポートした。
そして、その中の1人ロジャーは地球の文化に非常に興味を持ち、書物やテレビジョンで地球の文化を理解し、共存を図ろうとしていた。
ロジャーは、SNSである"トュイッター"で自分を声をタイムラインに載せている少女と関係を持ちたいと思った。
「非力ちゃん、声可愛いですね
通話してみたいのですが」
返信がない。
1時間後に再度「通話してみたいのですが」と送った。
やはり返事がない。
そして、2時間後に、少女によってブロックされたことが発覚すると、自暴自棄になったロジャーは独断でドームと地下シェルターに棒状の核兵器を突き刺した。
ロジャーを含む地球上の全生物が滅んだ。
……
………
…………
その頃、ノアとむぅは、結婚し、2人で大きな船を作り、新たな新天地エデンへと向かっていた。
「むぅ、愛してるよ」
「ノア・・・大好き」
そして、ネオアースも誰かによってまた滅ぶ運命にあったのだ。
完