動物交差点
交差点ってのは、なにも人間だけのものじゃねえ。
俺たち四本足で歩く生き物の世界にも、交差点ってのはあるんだ。
例えば、ここ…
太陽が昇る方には池があって、沈む方へ歩けば林がある。
温かい風が吹く方に歩けば人間って奴等が住む里があって、寒い風の吹く方に歩けば山へ登れる――
ここでは、いろんな奴を見かけた。
俺と同じ格好のタヌキだったり、ちょっと細いイタチの板ちゃん。或いは猫。
足の無い、細長い奴がにょろにょろ動いていたり、暑くなるとカエルのカエちゃん達が池から飛び出して遊んでいた。
にょろにょろした奴や、空から飛んでくる奴らには狙われていたが、危ないと分かっていても、遊びたくなるんだな…
それは、仕方無いよな。
ある日、大勢の人間たちがやってきて、大きな音が鳴り始めた。
土埃と、臭い匂いを巻き散らかして数日経つと、黒くて平らな道路ってヤツが出来上がっていた――
そこはもう、俺たちの歩く道では無くなった。
にょろにょろした奴は見なくなったし、カエルのカエちゃん達はぺしゃんこになって天に還っていった。
ビクビクしながら、それでも俺はここに来る。
何故かって?
ずっと隣にいてくれた奴の匂いが、残ってるんだ。
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