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第二話 出会い編 覚醒

楽しんでください(^▽^)/

イロード 第二話  覚醒



その怪物は涎をたらし、地面に垂れてくる。涎がついた所が氷みたいに溶けていく、怪物は口の中の関節を動かしながらこっちを睨み、じわじわと向かってきた。


きき・・・・・きき・・・・・きき


不気味な音を鳴らし、地面に着地し、四つん這いに走ってくる。


「ひいっ!!」


私はそのおどろおどろしい姿を見て、後ろへ逃げた。


ドアを体当たりで飛ばし、全力で逃げた。

 

怪物はドアをもろともせず向かってくる。怪物の口からは不気味な奇声を鳴らし、

涎を飛び散らせ走ってくる。飢えた獣のように。


「 はっ!、はっ!なんなのッ! なんなのっ!!」


わけがわからない。とにかく走る。


あたりを見渡し、咄嗟に正面にある台車の下のスペースを飛びくぐった。体が転び崩れる


怪物は私にめがけ飛び込んだが、台車の上の板に食いついた、台車に

のっかっている段ボールが勢い良く飛ぶ。


い、今のうちに。怪物はかみついたまま台車ごと上に放り投げる。


怪物が翻弄しているうちに



急いで立ち上がり、奥の冷蔵室に急いで向かった。怪物は台車を放り投げ、こっちに飛びかかる。


間一髪でドアを閉めた、ドアが怪物が当たった轟音と共にへこむ。


私は奥まで後ずさり、ドアを凝視した。歯がガタガタと震えわせ、頭を抱える。


「はっひっ・・ッひっ!」



自分は状況がわからず、ただ言葉にできない声を発する。呼吸が荒くなり苦しくせき込んだ。


怪物がこじ開けようとしてるのか、爪で冷蔵室のドアにひっかく音が聞こえる。


ドアの向こうから嫌な金属音が何度も・・・私は体を崩しがくがくと、奥で体を震わせながら中でドアを凝視した。


キィー--

    -ーーーーー

        ---ーーーー----------ーーー---


ドアから力強くひっかく音が聞こえてくる。


恐怖で涙が頬に伝う。カチカチと歯ぎしりも聞こえてくる。


カチカチ・・・カチ・・カチ・・・・・・カチ・・・・・カチ・・・・・・・・・・・・カチ・・・・・・・・・・・カチ


しかしその鳴き声はどんどん遠ざかっていった。


やり過ごせたの?できたの?


駄目。状況がわからない。静けさが襲ってくる。重い・・体の震えが止まらない、


私は震える手でライトを置き上をてらした。うつむき、冷蔵室の中で色々考えた、このままどうなるの?ドアを開けたらあの怪物に確実にあってしまう。殺される。


そもそもあれは何なの、あれは人間なんかじゃない。私ではない。絶対に。頭の中がごちゃごちゃに回転する。本当にもう人間はいないの?地下都市は本当にあるの?


さっきまでは身を引いてしまう程の腐ったにおいも気にしてられないほど、悩む。

出るか、ここにいるか、どうする?


私は顔を上げて周りを確かめた、何とか・・、何か、この状況をかえれることは・・・・


右へ、左にと、周りをみる。敷き詰めたダンボール・・・台車・・・使われなく錆びた換気扇・・・・


上を見上げる、銀色と錆びが混ざった天井・・・・


ん? 天井に四角く入り口があることに気づいた。あれで屋根裏から外に出られるかも。


「もしかしたら・・・ぐすっ・・・よし・・」


私は涙を拭い立ち上がり、ライトを持った。


いまはまだ生きないと、何もわかってないんだから。震える歯をかみしめ、


ライトを首にくくりつける。台車に積んであるダンボールをどかし、

空いた代車に乗り天井に手を伸ばす


横にタイヤが動かないため引きずった。台車を天井口に合わせる。


「ふう・・・」


その時、ドアの向こうから、


きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


けたたましい高い叫び声が上がった。周りに震えるような衝撃ががはしる。

耳を塞ぐ。


さっきの怪物?わけがわからず・・でもやばい、本能が、

直感が・・・そう感じた。急いで台車の上に乗り天井の裏側に入る。


天井口を閉めて進む、


「出口・・・・他に出口は。」


鉄骨を跨ぐりつつ下のやつに気づかれないように慎重に進む、忍び足で、音をたてないようにライトを頼りに進む、どこか・・・出口

がどこに・・・


無骨なパイプ管、薄暗い闇、ザラザラし、黄色く腐食した天井・・・闇が・・・静けさがまた不安を招く、


足が・・震え、止まりそうになる、何で、こうなったの、私が、何をしたの・・・・どうしようもない気持ちが出る。


あの怪物ともしかしたら、人間だったら、


分かり合える・・・・駄目、目を覚ますように見開く。


そんな馬鹿な気持ち持たないで、頬を叩き、


上にライトを照らす、少し先に別の天井口を見つけた、今度は上に設置されている。よし、出られる、そう思うと


ピタ・・・・・ピタ・・・・ピタ・・・・・ピタピタピタ


「はぁっ・・・」


下から、怪物の足音が、私は足をとめ、したに耳をつける、


ピタピタ・・・・ピタピタ、


ピタピタピタピタピタピタピタピタピタピタ


何かが横から走ってきた音がした、あの怪物と同じ足音、しかもその音は後ろからも、ピタピタとなってきた。二重の音として。


「2・・・・3・・・・4」


複数いる、絶望した。肩から力がぬける感覚に陥る。

さっきの叫びは仲間を呼んだんだ。いま下にはあの怪物の他に、何体もいるんだ、体が固まりそうになった。


震える腕を腕で止めて、自分に言い聞かせた。急がないと、拳を握りしめ、無理矢理勇気をだした。


音をたてないように、這いながら、手をつきゆっくり自分の体を前に動かす、体を震わせながらも下の音を警戒しながら、何とか天井口にたどり着いた。


少し開けて、ゆっくりと周りを見てみた、薄暗く、ほとんど見えない。


耳をすます。しばらく息を殺し、怪物の音はしないか、集中する。

何も音がしない。


聞こえるのは隙間風で壊れた照明がきしきし揺らぐ音・・・・少し躊躇しつつ、ライトを照らし、周囲を確かめる。


一階とおなじで棚が倒れていて、ここには家庭用品や洋服がそこらじゅうに散らばってる。

目の前にいくつも落ちている。洗剤には中身が出ていて黄色く変色している。商品がある。

生活の光景。人がここにいたと実感した。


・・アイツらの気配はない。音はしない。

奥にドアが開いているのが見える、そこから外に・・・・いけるかも。


天井口から体を出し、後ろを確かめる、あの怪物はいない、正面は行き止まり、左に階段がある、まずいと思い、体を傾け


そろりと慎重にたしかめる。しかし階段は崩れていて、一階からは上がれないようになっている。


大丈夫そう・・・そう思い、小刻みに進む。


周りにライトを照らしつつドアまでついた、音を出さないように、ドアの隙間から入る。


中は通路になっていて、左右にドアがいくつかある。



正面の奥には月明かりが照らす外につながっている窓がある。希望がみち溢れた。


「やった・・出られる。」


ほのかに希望を感じた。

走って窓に近づく。しかし開けようとした瞬間

ピタ・・・ピタピタと、


私は息を殺し、立ち止まる。


まさか、あいつの音?

その音は外に聞こえ、どんどん足音がでかくなり、窓に向かってくる。


私は反射的にライトを消した。暗闇が覆い、窓に夕闇が照らす。

そこに下から四つん這いの怪物の影が覆いかぶさる。


大きな体、いくつも生えてある牙、飢えた獣のような輝く目つき・・・


カチカチと不気味な鳴き声・・・怪物はガラスを割って入ってきた。


ガラスが舞い、足元の前まで降ってきた。


窓から長い腕を出し、大柄な体が入って来る。もう恐怖でどうにかなりそうだった。


でも泣くまいとこらえ、右のドアに入る。即座に閉め、ライトをつけ周囲を確認する。


怪物は勢い良くドアを叩きつけて、ハンマーで

叩くような轟音が鳴り響いた。ドアがどんどん凹んでいき、爪が貫通する


このままじゃ、あちらこちらに照らす、しかし周りはダンボールばかりで、出口が見当たらない、


「行き止まり?」


後ろで破裂したような轟音がなる、怪物はドアを蹴り、突き破って、ドアが勢いよく倒れた、地面のほこりが煙のようにまう。


カチカチと怪物は歯を鳴らす。


ぼんやりと埃の煙が舞う中、入り口をくぐり抜けて怪物がこちらに来るのが見える、


「あっ・・・ああ・・」


もう駄目だ。そんな感情がよぎった。周りのダンボールを崩して逃げ・・・・

ああ・・考えるのもだるい。もういいや


ピタピタ・・と

せめて何でこうなったかぐらいは知りたかったな、そんな思いがよぎる・・・・。


恐怖なのか、左腕の火傷跡がうずうずと違和感を感じる、指がぴくぴくと動く。


さっきから何なのかわからないこの疼き。でももう死ぬからいいよね。


ピタ・・・・・ピタ


怪物は大きい手で私の首を掴む。足は完全に浮き手が緩み、ライトが落ちる。

腕に殺す力が込められる、


苦しい。喉が締め付けられる。視界がぼやける。

もう、死ぬんだ。怪物の口が開くのが見える。


涎をたらし、鋭い牙が並んだ邪悪な口内が目の前に、


ああ・・死ぬんだ。


死が私の心をよぎったその時、左腕の違和感が爆発する勢いで増した。

その違和感は一つ、いや三つに別れて伸びるような感覚が伝わったと思うと、

突然怪物に血が噴き出す。


「ぎゅおおおおおおおおおおおおおおお!」


怪物が今まで以上にけたたましく鳴く。

今度はその違和感が引っ込みそれが二回、三回と繰り返した。その度に怪物から血が舞うのを

ぼやけた視界でとらえていた。。


怪物の力が弱まり、手を放し、私は地面に倒れ、せきが出てうずくまる。


何が起きたのかわからない、視界がはっきりし落ちてるライトを拾い、怪物に当てる。

そこには怪物が叫び苦しんでいた。

左半身はなくなっていて、腸や臓器がどろどろとした血とともに、ぼたぼたと落ちてくる。


グロテスクな光景だが、何が起きたのかまずわからず逆に冷静な気持ちになる。


「・・・・・・」


自分の体を見ると、

怪物の血で服が赤く染まっていた。そのまま流れるように左腕を見ると、


「え・・?」


それは地面に置かれるほど長く、ドアの外までつるみたいに伸びていた。

先っぽはとがっていて、怪物の血で赤く染められている。まるで木のようなとても硬い感覚が伝わってくる。


やがて怪物はばたりと倒れ、死に絶えた。埃が舞い、静寂がつつみこむ。


予想外なことに、私は、その場で立ち尽くす。


「わけがわからない、一体なにが起きたの・・・・・・・・・・・・!?


茶色く植物のように枝分かれし、長く、鋭くとがった左腕を眺め、死体となった怪物を流すように見つめた。


襲われた直後に変形して・・・・・・・・


ただの火傷跡かと思っていたけど・・・舐めまわすように、地面にぺたっとついている腕を確認すると、勢い良く触手が引っ込み、元の状態の左腕に戻った。


どういうこと?あの怪物に反応するの?


訳の分からないことだらけだ。意味がわからない。


「 私は、本当に人間なの。?」


わからない・・・


そう呟いた瞬間、突然頭の中になにかがよぎった。おもりがのっかったような圧力を感じ、頭を抱えて、うずくまる。


なにかがだんだんとはっきりと思い浮ぶ、これは?きれいな青空が思い浮かび、下には、広大な山が流れるように思い浮かぶ、暗転し


た。今度は海の中、綺麗な色をしたサンゴ、見上げるとその先に多くの生き物が捕食をしてる。小さな魚は大きな魚に食われ、大きな


魚は、さらに、大きな魚に食われている、上からは鳥が襲いかかる、その残酷で、でも、とても綺麗だった。暗転しまた次の記憶が・


・・・どんどんでてくる、青空のなか沢山の渡り鳥が羽ばたく記憶、火山からマグマが垂れてる記憶、炎の鮮やかさ、力強い、自然の

力・・・雷の記憶、雷雨が立ちこみ、巨大な雲が閃光を開き、稲妻が大地を轟かせた。


まるで神の鉄槌、次は花が成長し大きく開花した記憶が見えた。


それらの記憶がまじりあい、地上から上空に引き寄せられると最後には宇宙にいきその先に地球があった。


束の間、引き寄せられるように、現実に引き戻された。怪物が倒れている静寂な空間に。


はぁっ・・・はぁ・・・、気づいたら凄まじいほどの汗を流していた。

床には額からでた汗で湿っている。


「なんなの今の!?」


何か・・全てが一気に押し込められた気分だった。これは私の記憶?随分と壮大な・・・この世の神秘、芸術的で壮大な記憶だった。


うっ、めまいが押し寄せる。どっと疲れが押し寄せてきた。


くらくらし、座り込む。


でも怪物がまたくるかもしれない。立たないと。


荒くなった息を落ち着かせ立ち上がると、あれ?左腕が。


あれ、何かわかる。さっきまでの違和感が消えてる、腕の震えは消えていて、腕から。

嫌、体から燃えるような力を感じる。


わかる、さっきの記憶の影響?、腕の変形の仕方・・・これで、出られるかも。


怪物が起きないかダンボールを投げて当てたが反応はない。

そのまま怪物を避け、通路にでた。先ほどの窓に止まる。ガラスが割れて、


まわりのコンクリートも崩れて、外がむき出しの状態。体制を低くし、外の様子を見る、


日はとっくに沈み月明かりが満ちていた。月明かりで、何とか周りが見える、あいつはいなそうね・・・・。


後ろの奥でピタピタと音が聞こえる。早く移動しないと。上を見た、上には断続的にボロボロの柵がついている、


「あれならいける。」


私は、柵に向けて左腕を構える、わかる。これはもう違和感じゃない。


左腕を変形させた、さっきの三本のとがった触手に。驚いた。

今このわけのわからない力を自分の感覚で動かせている。いけるかも・・。


触手を伸ばして、一本の柵に絡ませた。落ちないように、がっしりと絡ませる。


少し浮き、柵が崩れないか確認しつつ、左腕に全体重がかかんないように、足を壁につける。ぎこちなく


徐々に腕を短くして、ゆっくりと、壁を歩き、登った。足が滑る、慎重に・・


何度かつまずきかけたが何とか、屋上に着いた。柵を跨ぐる。


屋上は何もなく、所々に折れた柵があるくらい。


「本当に・・成功した。」


手を戻し、息を整える。


「あいつらは・・・」


下を見た。こっちはいないみたい。


隣の建物・・・ここには大きい建物が沢山ある。

それをこの腕で伝っていけば、かなり早く地下都市の扉へといけるかもしれない。

伝っていこうと走り込んだその時、下から音が聞こえた



ピタ・・ピタ・・・・ピタピタ


この音はあいつの足音が。一匹


振り向いた、その足音はどんどん鮮明に、大きくなる。


ピタピタピタピタピタピタ


どんどん音が速くなる


来るなら来い。深呼吸し意気込み、音のする方向に左腕を構える。


長い腕、鋭い爪が下から出て、巨体な体がにょろりと現れた。


カチカチカ・・・チカチカチカチカチカチ


不気味な鳴き声


鋭い爪、トカゲのような顔、鋭く赤く光る眼光。

悪魔のような牙、鱗で覆われた体。それが私の目の先に・・・、


月が雲から開き明かりが強くなり、よりその脅威が鮮明に見えた。


こんな怪物相手に・・・不安がよぎる、震え、恐怖で一歩さがる、でも構えは絶対に崩さない、絶対に。私は戦う・・


腕を三本の触手に変形させた


怪物が飛びかかった。巨体が迫る、横に突っ走って、かわした。体制を整え、距離をとり、素早く構えた。


触手を一本の束にまとめて、怯む怪物に向け、伸ばす。

自分でも驚くぐらいとんでもない速さで怪物の肩に命中した。怪物の肉がえぐれる。

よし、いける。私はまだ何も知らない。こんなところで負けてたまるか。

生きてやる。



ーーーー第三話に続くーーー-


ネタバレですが主人公の名前はナナです。

ナナが見たなんか地球の神秘みたいな壮大な記憶は、ナナの持っている力の主の記憶となっています。

考えなしにやっていると思われたくないのであえて言っておくぜ。

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