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ヲタッカーズ17 サディコの呪い

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

時空海賊、ギャング、宇宙人の聖都侵略が始まった!


聖都の危機にアキバのCharlie's angels

"ヲタッカーズ"が立ち上がる!

オトナのジュブナイル第17話です。


今回は"リアルの裂け目"から異次元の怨霊が秋葉原侵略を開始!ヲタッカーズと防衛組織ジャドーが迎え撃ちます。


怨霊は、スタートアップの噴進弾を強奪し秋葉原を焼野原にする作戦に出ますがコレに主人公の元カノが絡んで来て…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 虚数空間からの攻撃(ハッキング)


御屋敷(メイドバー)に御帰宅。


「おかえりなさいませ、ダマヤ様!わ!ブラックパンダーの"グランクリュパック"を買って来てくださったの?」

「マリレ、ごめん!ソレが完売でさ。Xmasパックなんだ。安くなってたから」←

「え、年が明けても未だXmasパック?…微妙にありがと。でも、お土産って何だか新鮮thank you。もしかして頼みゴト?」


ブラックパンダーは昔からある駄菓子チョコなんだけど、ファミリーパックのミニバーはアキバではキスチョコ的に使われ重宝スル…


ってソンなコトより、ヲタッカーズは、全員昼間はメイドでマリレも例外ではない。

お土産持参のダマヤは、前回マリレにキスを拒まれたので今回は下心満々ターンだ。


「今宵も甘いモノで景気づけして頑張ってもらおうと思って」

「あら。でも、キスはナシょ?」

「えっ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


メディア界の女傑、サリアCEO率いるワラッタ・ワールドワイド・メディア。

実は、僕の元カノのヒカリもヘッドハンティングされた巨大メディア企業だ。


そのCEOルームで、先程から緊迫した雰囲気漂う中スタッフミーティングが続いている。


「…あぁマッサージでは、セラピストから代理母が病気という話を延々と聞かされ、ピラティスではインストラクターが手芸店を開くから辞めると言われた。みんな!そんな私に生きる意味を与えてくれるネタを頂戴!発言は180cm以上の男性から!はい、貴方」

「外神田の男性コーラスグループが…」

「あぁ意識が飛びそう。ファッション担当、ネタは?」

「NYでは、ダメージ加工の生地が流行ってます」

「そのネタこそがダメージょ。他に?…あ、ヒカリさん。法務担当の立場から何かあるかしら?」


ヒカリは…僕の元カノだw

ミユリさんの直前の推し←


「CEOに親展のレターが来てます。私が、社内の誰の目にも触れないよう、ガードしてきました!」

「今、そこで開封して」

「え、でも…」

「炭疽菌入りかも。あら?私の時間を無駄にスル気?」

「は、はい。…USB。それと手紙です」

「読んで」

「え?みなさんの前で?」

「早く!」

「"嘘つきと裏切り者に代償を払わせろ"です」


社会部スタッフから声が上がる。


「ソレは…昨夜、あるハッカーが援交サイトに残したメッセージです。昨夜ハッキングされて顧客リストが流出したとか…」

「ソレをナゼ貴方が知ってるの?まさか顧客なの?とにかく、報道して貰いたくて私に送ってきたワケね」

「おおっ!きっと顧客リストに違いない。こりゃ特ダネだ!」

「そうね。電子レンジのポップコーンモードでチンして。ベイクドポテトモードでも良いわ。直ぐ溶かして」

「ええっ?恐らく顧客リストには、秋葉原のリア充が名を連ねてるハズです。自分を棚に上げ、上から目線でヲタクと付き合うリア充達ですょ?嘘つきで卑怯な連中の名を今こそ公表すべきでは?」

「そのリストを公表したらハッカーに正当性を与え、私達も嘘つきの仲間入りょ。つまりネットテロリストの勝ちってコトになるの。ソレがわからない?」


その瞬間、ルームの大小様々な画面に一斉に白装束の女のアップが流れる。ハッキング?


「ワラッタ・ワールドワイド・メディアのみなさん。ガッカリだわ。特に、ソコのメディア界の女帝トヤラには」

「USBをよこしたのは貴女ね?白装束のネットテロリスト」

「センスのないネーミングw最高の特ダネなのに陳腐過ぐるわ。確かに、援交するリア充が秋葉原を腐敗させた。でも、ワラッタは役目を放棄。そのせいで、ヲタクが苦しむの。今はコンピューター社会。コミュニケーションも、銀行取引も、交通信号もね。秋葉原にカオスの時代が来るわ。楽しんで」


画面は唐突に消える。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


真夜中の神田明神通り。

全ての信号が突然青にw


「危ない!」

「わぁ!」

「助けてくれ!」


深夜の付け待ちタクシーと宅配のウーパーイーツの自転車が出会い頭に衝突!

新幹線ガード下に派手にハンバーガーが飛び散り、神田消防(アキバファイア)の救急車が出動w


「何てコトだ!全部、信号が青だぞ!」

「昭和通りとの交差点が激ヤバ!」

「…ん?どーしたの?異変が」


最後は、ヲタッカーズの妖精担当エアリ。

御屋敷(彼女のメイドカフェ)は地下だが、地上の異変に気づく。


「ミユリ姉様?何か起こってる?誰かが大規模なハッキングを仕掛けたとか?」

「わからないわ。でも、通りは大惨事ょ。エアリ、結界を張って交通を遮断して」

了解(ROG)、ミユリ姉様」


ミユリさんがテレパシーで次々指示を出す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再びワラッタ・ワールドワイド・メディア。


「臨時ニュースです!秋葉原で本格的なサイバー戦争が幕を開けました。インフラが破壊され、交通事故が多発…ん?今、寄せられた情報では、金融市場も大混乱、多くの銀行が深夜の対応に追われている模様です。トマト相互銀行では…」


本社スタジオから、あらゆるメディアで臨時ニュースを流す傍らサリアCEOの檄が飛ぶw


「秋葉原のメインフレームが、全て破壊されたわ。なのに、サイバーテロの犯人も目的も不明よ。ヒカリさん?」

「古巣の"宇宙作戦群"情報部に、コネで調べてもらっています」

「あらあら。ヒカリ少佐は昔の部下に丸投げしたの?」


ヒカリはワラッタに引き抜かれる前は群のエリート法務官、彼女のパパのマイン将軍は…


「情報を人任せにしないで!私達、秋葉原が攻撃されてると言うのに止める術がわからない。そこで、ヒカリさん」

「ハイ。CEO」

「先ず肩書きで呼ぶのはやめて。そして団結しましょう。この事件にウチの調査チームを投入し、ハッカーを突き止めて解決する。ヒカリさん、貴女がチームのリーダーょ。私は貴女の直感に賭けるわ」

「光栄です。3倍の年収で引き抜いて頂いたコトに後悔はさせません」

「フン。コッチが御給料をもらいたい位ょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「熱々鉄板焼き棒餃子だぞっ!」

「新々秋楼の?大好物なの!」

「知ってるよっ!」


トコロ変わってミユリさんの御屋敷(メイドバー)

信号騒ぎが一段落して御苦労さん会←


「やれやれ。ヲタッカーズなしでアキバの平和は護られるのかな?」

「防衛組織のジャドーは、1980年から日夜敢然と行動してるから大丈夫でしょ?」

「そっか。じゃテリィたん、棒餃子いっただきまーす☆」


そこへ何とヒカリがブラっと御帰宅。

瞬時にミユリさんが顔を痙攣らせる。


今カノvs元カノご対面w

ああぁ勘弁してくれぇ…


「あら、どーしたの?急に静かになっちゃって。私のためのサプライズを企画してたとか?」

「いや、カニを食べてたトコロで…」

「ねぇねぇ知ってる?実は、交通信号ハッキングの直前、ワラッタに援交サイトの顧客リストが届いてたの。ホント、男って最低ょね?」


ヒカリはナゼか僕を見つつ愉快そうに話すw


「へぇ。で、ワラッタは、その援交サイトの顧客リストは公表しなかったのか?」

「当然でしょ?人の秘密は守られるべきょ。どーして聞くの?ラッツ(僕の昔のネーム)の名もリストに入ってるの?」

「いや。僕はJKは苦手だ。知ってるだろ?」

「元々おっぱい星人だモンね。で、私がワラッタの特捜チームのリーダーになったの。ハッカーの正体を暴くの手伝ってょ。だって、私は今でも貴方の元カノでしょ?」


そりゃそーだが、日本語的に何だかおかしくナイか?そのフレーズ。元カノだから…何?


「で、ラッツ。何から始めたら良いと思う?もう機密情報は見られないけど、群の分析官が協力してくれるのょ?」

「僕だったら、街に出て関係するヲタクを当たるけど」

「ビンゴ!で、ソレは誰?」

「さぁ」

「ロケット兵装備の?」

「おいおい」

「あのね、ラッツ。貴方は、どーしていつもヲタッカーズと組もうとするの?私はね、今回はロケット兵装備の彼女(マリレ)じゃなくて、そのTO(トップヲタク)が怪しいと思ってるのょ」

「え?ダマヤか?何で花火屋のセガレが噛むンだょ?」

「だって…私が独占インタビューに成功した相手だから。彼が黒幕だと何かと都合が良いの」

「何の都合が?」

「私の都合が」


ミユリさんは…ソッポを向いているw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


で、仕方なくヒカリとダマヤを探したンだが奴はマチガイダサンドウィッチズにいる。

あ、ココはホットドッグ屋だが、アキバ人が往来スル人間交差点の役割も果たしてるw


「もう1時間位独り言を言ってる。彼ってもしかして…」

「いや。単なるヲタクだょな、ダマヤ?」

「YES。でも、独り言じゃないンだ、テリィたん。俺は今、コードを描いてルンです」

「ええっ?ダマヤってハッカーだったのか?」

「例の交通信号ハッカーが使ったマルウェアだけど、振動変化マトリックスで自分の足跡を消してる。まるで怨霊を呼ぶ呪文のようだ」

「でも?」

「でも、俺は反転経路を作ってみた。コレで怨霊が隠れてる場所をたどれる。たとえ、地球の裏側でも」

「違うわ」

「え?誰だ?何処にいる?」


女子の冷たい声だ。

PCから聞こえる?


「モニターの反対側よ。どうやら、人類(にほんあし)もカブトガニよりは賢いみたいね」

「君には…正直ビビるな。邪悪なハッカーさん」

「私と…逢いたい?」

「時間と場所は?」

「時間は今。場所は…ソコ」


次の瞬間、店内停電!


真っ暗な中でボンヤリ輝くダマヤのPC画面から…何かが這い出て来る?

白装束に長い黒髪を前に垂らして、顔こそ隠すが誰もが知る彼女の名は…


「我が名は…サディコ」

「え?貞…」

「違うwサディコ」


初めて英語を習う中学生に教える外人教師のように、わかりやすく発音を繰り返す。

いやはや、コレは誰が何と逝おうと絶対的にサディコだ。間違っても貞…ではナイ。


「で、その額の印は…偶然大金を拾ったり、突然彼女が出来たりスル幸運のオマジナイの類か?」

「否。怨霊の象徴。全知全能を表す印で特にヲタクの考えるコトは全てお見通し」

「げ!アキバっぽい怨霊だな。でも、実態はコンピュータープログラムに巣食う生き物では?まさか好きな食べ物はデータとか?」

「好きにして」


額の五芒星みたいなシンボルに気を取られてたら、イキナリ冷たい手で首を掴まれるw

見ると一緒に来たヒカリも首を掴まれてるw

しまった!助けてくれぇ!ミユリさーん←


「さぁ。どっちの首の骨から折ろうか…」


フレンドリーな対応が一変、絶対絶命!

呪い殺しが専門だと思って油断したょ…


「そこを動くな!」


鋭い叫び声が飛び、店内に完全武装の特殊部隊が殺到して来る!

短機関銃を乱射し内装をズタズタに引き裂き更にロケット弾を…


「ジャドーの特殊部隊だ!騎兵隊がギリギリで間に合った!」


見ると、サディコは既に元来たPC画面に這い戻り中、白装束のヒップを左右に揺らし…


あ、いかんいかん。口を閉じよう←


「またテリィたん?どーして貴方はいつも私達の先回りをスルの?」

「レイカ司令官、thank you!君達こそ僕のストーキング、御苦労様!」

「交通信号機の制御装置のシグナルに未知のプログラムが埋め込まれていた。ソレを追跡してたら偶然ココに。後は機密事項ょ…特にメディアに対しては」


レイカ司令官の視線の先にヒカリw

しかし、ヒカリはヒカリで強気だ。


「貴女達みたいな税金泥棒の助けなんか要らないわ。お帰りはアチラょ」


よく、こんな娘とつきあってたなw

別れて正解、ホントお疲れだょ僕←


第2章 南極要塞


深夜のパーツ通りにある雑居ビル屋上。


空調ファンや配管のジャングルの中で、胸ときめかせて跪く腐女子。

彼女は、今、人生初のプロポーズを受けるトコロwリモートだけど…


「ねぇ。私、跪いてもう1分以上経つけど、サトルは未だ肝心な言葉を言ってナイわょ?」

「そぉだった!ねぇ僕と結婚…」

「あら。YESの前にお邪魔してごめんなさい。でも、その代わり普通なら呪い殺すトコロを見逃してアゲル。どうせ、今日で秋葉原は終わるし」


対話アプリの画面がサエないアルバイターから白装束に長い黒髪を垂らした女に変わる。

さらに、その女が小さなスマホ画面から這い出て来るにおよび腐女子は悲鳴を上げ遁走w


「やれやれ。もちっと見てたかったわ。ねぇ?彼女の答えはNOだったのょ?」

「そんなコトより、私達が再会スル確率は26.3%と計算しておりましたが、運命に計算式は当てはまらないようです」

「どこに隠れてたの?煉獄セブン」


スマホから這い出たサディコの前に、コチラ

は全身紫の白雪姫?紫雪姫?

スマホから出たりテレポートでは無さそうだが…物陰に隠れてたのかな?


もしかして、普通の人?


「その昔、私は煉獄のサイバー領域にリンクしておりました。でも、今やオンラインゲームほどの価値も無い。因みに、秋葉原での名前はサディコ」

「煉獄セブンより良い名ね。昔の名前で出ていますって感じ?気分は演歌だわ」

「かつて愛した貴方が独りに戻ったと、ヲタクの噂に聞いたけど…私も今は独り身ょ?」

「ソレが貴女なりの追悼の言葉?」

「違います。紫雪姫(仮)の前のパートナーは嫌いでした。死んで嬉しい。でも、何故ソンなコトを聞くのですか?ハグして欲しい?」

「前のパートナーは特別な女性だったわ」

「そうですか?結局、秋葉原の支配者になり損ねた。ソレに、まさか人類(にほんあし)に討ち取られるナンて」

「計画は順調ょ。地球を秋葉原から変えると言うパートナーの夢はじきに叶うわ」

「いいえ。紫雪姫(仮)の夢は私だったハズ」


次の瞬間、目にも止まらぬ速さで紫雪姫(仮)がサディコの眼前に移動して、首を絞めるw


「首を絞めるのが…お好きでしたモノね」

「やめて、そのムダな演歌節。で、パートナーが死ぬや、突然汝が姿を現した理由は何かしら?」

人類(にほんあし)との共存なんて馬鹿げた計画だと証明するため。食う者と食われる者は相容れないのです」

「超古代の昔から貴女を知ってるわ。何をしたの?」

「少しだけ歯車を回しました。秋葉原は煉獄に呑まれ、人類(にほんあし)は滅亡、スーパーヒロインとヲタクだけが生き残る。世界の終末にお会い致しましょう」


そう言い捨てて、再びサディコはスマホの小さな画面の中へ這い戻る。

白装束のヒップを真冬の夜空に高々と突き上げ、左右に揺らしながら…


おーい!紫雪姫(仮)!

間抜けな口を閉じろ←


気持ちはワカルけど笑


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ワラッタ・ワールドワイド・メディアCEO付きタスクフォースのオフィス。

…の最近式のコピー機が故障、深夜とあってヒカリリーダー自ら悪戦苦闘してイルw


「ヒカリリーダー、何してるの?」

「あ、ダマヤ。私が何してると思う?」

「映画のシーンの再現か…最新のコピー機に全力で八つ当たってるとか…」

「私はね!貴方が、私が知る誰よりマルウェア対策に詳しいから、今回のサイバー攻撃の首謀者を暴き、ハッキングを封じ込めるには適任者だと思ったから雇ったのっ!だのに…だのに、私の人生はゲームセットよっ!」


ダマヤは、溜息をつきつつヒカリの脇にしゃがみ込み、アレやコレやコピー機をイジり…


奥の方でジャムった紙を取り除くw


「お礼は無し?」

「なぜ?私、感じ良くしなきゃイケナイの?誰もが良い人ぶってるだけじゃない。絶対に浮気しませんって言葉も嘘」

「え…もしかして、例の援交サイトの顧客リストに君のお父さんの名が?」

「…生きてたらね。生きてたら絶対お得意様よ。私が17歳の時、父が秘書にさせてるの見ちゃったの。娘には最悪よ。次の日、父は私に謝ってきた。この世の誰よりママを愛してる。2度としないと。涙も流した」

「そりゃヒドいな」

「良いの。ホラ!このコピーを14部とって!父の話を誰かにしたら…殺す」

「ヒカリさんと話せてよかった」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


さらに同時刻の御屋敷(ミユリさんのバー)


「おかえりなさいませ、お嬢様…あら?マリレ?ダマヤさんは?一緒じゃないの?」

「ソレが…テリィたんの元カノに引き抜かれちゃって」

「ええっ?ダマヤってワラッタに転職したのか?ヲタクからメディアへの華麗なる転身かょ?」


僕も初耳で少なからズ驚く。


「となると、ヲタッカーズもハッカーなしで仕事しなきゃだわ。迂闊にジャドーから敵の正体や作戦も聞けないし…どうやって、情報を集めようかしら」

「あ、ミユリ姉様。ソレなら1カ所、アテがアルのです」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


いきなり南極だ!


南半球は、今は夏真っ盛り…とは逝え、南極だから見渡す限り真っ白な氷原が広がる。

北極と違い、氷の下には大陸がアルのでトコロドコロに氷山のような山もあるのだが…


「どこから入るの?早く開けて、マリレ!凍えてしまいそう」

「ミユリ姉様、すみません!ただいま直ぐに…」

「スゴイな君達!アキバメイド初の南極大陸上陸だ!」


ロケット兵装備のマリレに抱かれ、僕とミユリさんは…南極にいるw

白い氷原と紺碧の空とに二分されたツートンカラーの世界で…寒い←


「ココは、第2次大戦末期にドイツが月へ逃げ延びる"神々の黄昏作戦"を決行した際に使用した南極要塞です」

「すげぇ。オカルト雑誌"ラー"が何度も特集してたけど、まさかリアルで存在スルとは!」

「あ、アチラにテリィ様が御執心なV1号が!コチラは原子力U-boat、アチラは…まさかUFO?テリィ様…まぁ大変!泡を噴いて気絶してるw」


要塞の中には、大戦当時の軍事科学の粋を集めた秘密兵器がコレでもかと温存されてる。

しかし…その全てに見向きもせズ、マリレは正面の壁に赤く輝くランプを見詰めている。


その赤ランプが…マリレに問う。


「マリレ元帥。ご用件は?」

「こんにちわ、GAL(ギャル)-9000。液晶画面から現れる、白装束の怨霊を知ってる?あ、貞…じゃナイわょ!」

「条件に合うのは賢い怨霊サディコでしょうか。スーパーコンピューターの代わりに日々の業務を司る東洋の怨霊ですが」


ビンゴ!


しかし、システム制御とは、働き者な怨霊だなwあ、GAL-9000にはオカルト好きな総統が世界から集めた知識が詰まってるマシンだw


「サディコに関する情報は?」

「ブレイニアック族の末裔。原型は、第327次太陽系戦争において、ネオベルリンの防衛システムの停止を企てて処刑された有機プログラム。以後、怨霊となり人類史に介在」

「え?超古代人の描いたコンピュータープログラムってコト?またまた御先祖様の尻拭いかょwで、彼女の目的は?」

「第77次人類、即ち貴方達を絶滅させるコトです。秋葉原にとって最も危険な怨霊でしょう」

「タイヘンだ!ミユリさん、ジャドーのレイカ長官に知らせよう!」

「はい。確かに、コレは私達メイドだけで戦える相手ではなさそうです」

「ミユリさんは1人じゃない。僕がいる」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


お馴染み?深夜のパーツ通り街灯の下。

またもモメてる恋人はマリレとダマヤ。


「ねぇ!超古代の怨霊がインターネットを介して秋葉原に潜入を企てているの。例の援交サイトをハッキングしたのも、その怨霊ょ」

「ええっ?!誰からの情報だょ?」

「ソ、ソレは…テリィたん」

「おい!まさか昨夜は一緒だったのか?」

「しまったw貴方とのデート、完全に忘れてたわ。ごめーん」

「わ、わかった。相手がテリィたんなら仕方ない。ヒカリリーダーに怨霊の標的は秋葉原だと伝えるょ」

「ダマヤ!私、貴方を傷つけるようなコトはしないって約束するわ」

「どーせ、また口だけだろ?」

「そんな…」

「なら、どーしてこうやって俺を傷つけるンだ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の御屋敷(ミユリさんのバー)

ダマヤが御帰宅。


「おかえりなさいませ、御主人様!…あら、ダマヤ。かなり飲んでるみたいね」

「ミユリ姐さん。俺、もぉどーして良いのか…」

「私、緑茶でデトックスするコトにしたのだけど。良かったら、このラテを飲んでくれる?」

「ありがとう」

「ねぇ大丈夫?」

「待ちぼうけを食わされた。相手はテリィたんだ。俺に勝ち目はない」

「…不安でしょうけど、いつもマリレは自分のTO(トップヲタク)になってくれたダマヤのコトを1番に考えてるわ」

「ホントかな?テリィたんにはTO(トップヲタク)の何たるかを教わった恩もアルし…ミユリ姐さん、実はテリィたんが追っかけてる相手は突然変異したOSじゃないかと思うンだ」

「え?」

「何年か前に、偶然すごいウィルスを作ったンだけど、もしかしたら役に立つカモしれない。何かの時には俺に電話して」

「ありがと。とにかく!マリレは素晴らしい娘ょ。そして、彼女は、貴方をTO(トップヲタク)に選んだ」

「話してくれてありがとう」

「だと良いのだけれど」


第3章 停止コードは11747


ワラッタ・ワールドワイド・メディア。


「サディコをネット上で捕捉した!コードも特定したぞ!後は信号を解読スルだけだ」

「さすが腕利きハッカーね」

「コレで彼女の行動分析は、ドクター・ブー1話分を見る時間で出来る…あ、直ぐ出来るって意味だ」

「私の方は…考えたの。なぜ、サディコは援交サイトを攻撃したのかって。利用者の中の大物が狙いだったのかも。例えば、宇宙系ベンチャー企業のロムケCEO」

「誰だょ?」

「NASAから国際宇宙ステーションへの物資補給ミッションを日本で初めて受託したスタートアップのCEOにして…援交サイトの常連」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ジャドー司令部。


「何?行動要因の分析アルゴリズムが弾き出したサディコのターゲットは民間人?ロムケCEOって…誰ょソレ?」

「レイカ司令官、アキバ産軍複合体(ミリタリークラスター)の大物です。目下、旧軍の軍事技術を民間に転用して大儲け中。得意分野は低軌道への衛星投入サービス」

「あの遣独潜水艦で供与されたドイツの軍事ロケット技術を独占した会社ね?確か、帝都防衛の対空噴進弾(ミサイル)陣地を今でも居抜きで使ってるとか…」

「余りの撃墜率に、東京大空襲の際もB-29が避けて飛んだという伝説が残ってます。陣地の米軍コードネームは"東京クロー"。現在の住所は…千代田区神田佐久間河岸の地下です」

「あぁ神田川沿いの…何で?また秋葉原じゃないのw」


ウンザリ顔で天を仰ぐレイカ司令官。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再びワラッタ・ワールドワイド・メディア。


「サディコの信号を解読したぞ!彼女の狙いは、援交男子に鉄槌を下すコトじゃなかった!顧客リストの流出は陽動作戦で、真の目的は、ロムケCEOのネット上の足跡を探るコトだった」

「何のために?」

「核ミサイルを発射出来る人間を突き止めるため」

「核ミサイル?そんなモン日本にあるの?」

「わからない。だけど、彼女のミサイル格納庫は…千代田区神田佐久間河岸にある"東京クロー"って、コレ何?新しいクラブ?まさかSM系かな…チクショウ。"東京クロー"はネット圏外(スタンドアローン)でハッキングは不可能だ」

「そうか!だから、ロムケCEOが必要なのね?サディコが"東京クロー"に入るためのトロイの木馬ナンだわ!」

「…じゃロムケCEOは…何処だ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田佐久間河岸にある"東京クロー"。

"V式噴進弾"の地下サイロのコトだ。


鋼鉄の扉を開けてロムケCEOが管制室に入ってくると、兵士達が手を休めて一斉に敬礼。


「半島から来たみなさん、御苦労様です。現状報告を」

「半島に輝く暁の明星にして偉大なる同志の名の下に御社の堕落した資本主義的反動分子の全員粛清を終えた。既に弾頭Nは"報復2号噴進弾"に装着済み。発射態勢は完了だ。革命偉業、万才!」

「万事順調ですね。おや?なぜ電波が入るのかな…もしもし?ロムケだけど」


"東京クロー"を占拠した兵士は、どうやら半島の特殊部隊らしい。

そして、彼等が秋葉原に持ち込んだ弾頭Nは既に装着済みとのコトw


「ロムケだけど、君は誰?」

「御協力、ダンケ」

「え?」


気味が悪くなったロムケがスマホを床に投げると…その小さな画面から、お馴染みの白装束に長い黒髪を垂らした女が這い出て来るw


サディコだ!


「な、何者だ?あっ!」

「撃て!ぎゃ!」

「半島を照らす太陽にして…」


半島から来た特殊部隊は、全員が拳銃を抜きサディコに襲い掛かるが返討ちに逢い全滅w


そもそも口上が長過ぎルンだょ←


ロムケCEOも倒れ、最後に残った隊長?が虫の息になりながらも不敵な笑いを浮かべる。


「バケモノめ。しかし、発射キーは2ヶ所同時に操作しないと噴進弾は発射されんぞ…」

「承知ょ。じゃ花火を楽しませてもらうわ。貴方達は消えて」

「うげっ」


サディコの首が…白装束からニョロリと伸び隊長の首に巻きつくwさらに発射キーをくわえ手と共同し2つの鍵穴にキーを同時挿入!


管制室で赤ランプが回転、人工音声が響く。


「4th gate, open!4th gate, open!」

「quickly!quickly!」

「alright?」


"V式噴進弾"発射シーケンスがスタート。

人工音声によるファイナルカウントダウン。


「30 29 28…」

「そこまでょ!サディコ!」

「秋葉原が、ね」


間一髪?管制室に飛び込んで来たのはムーンライトセレナーダー!黒ビキニのコスプレ!

たちまちサディコと乱闘となるが、不覚にも背後をとられてグラビア固めをキメられるw


「フフフ。大したコトないな、ムーンライトセレナーダー。コレで秋葉原の昼間人口、ざっと見積もって30万人が死ぬ。見るが良い」


背後からムーンライトセレナーダーの頸動脈を締め上げるサディコ。

視線の先で観測窓が開き、点火準備を終えた噴進弾の尾部から炎が…


「"V式噴進弾"発射!」


漆黒のロケットが秋葉原の空高く駆け登る!


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ジャドー司令部。


「こちらコンピューター衛星"シドレ"です。秋葉原地区より弾道弾ミサイルが発射されました。93秒後に衛星軌道に到達、273秒後にJR秋葉原駅2番線ホームに着弾予定。ブルーのレッドの3」


騒然となるw


宇宙作戦群(市ヶ谷)を呼べ!高射群に迎撃命令!百里は緊急発進(スクランブル)を!デフコン1!」

「ダメだ、間に合わないw半島の連中が持ち込んだ弾頭Nを搭載してるのは、間違いないのか?」

「東京湾の"死海ダイバー"より"死海1"発進。佐久間河岸の"東京クロー"をネットワークから遮断。特殊部隊を派遣します…ん?"死海1"より先に謎の飛翔体が"V式噴進弾"に接近中!」


此の期に及んで何だ?


「こちらヲタッカーズのマリレ!噴進弾を追跡中!大気圏外で爆破するわ!」

「やめて!マリレ、ソンなコトしたら、貴女が死んでしまう!」

「でも、そーするしかアキバを救えない!ダマヤにTO(トップヲタク)になってくれて、ありがとって伝えて…」


レイカ司令官がオペレーターからマイクを奪う。


「マリレ?貴女をモニターしてるわ。一緒に核爆発を阻止しましょう。フライトコンピューターを止めるのょ」

ROG(了解)、司令官!私、今ミサイルに取り付いたわ!」

「弾頭近くのハッチを剥ぎ取って!中にテンキーが見える?」

「え?何だか空気が薄くなって…意識が…」

「噴進弾、最高高度に到達w自由落下に入ります!」

「停止コードを入力して!マリレ、しっかりして!コードは11747!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方"東京クロー"の管制室では…


背後からグラビア固めをキメられ、悶絶するムーンライトセレナーダーのスマホが鳴る。


「ムーンライトセレナーダー!ミユリ姐さん、聞こえる(コピー)?」


さらに、拷問技を締め上げられ、苦悶の絶叫を上げながらスマホを奪われるミユリさん。


「おや?誰と話してる?今時のスーパーヒロインは、人類(にほんあし)と一緒でなきゃ何も出来ないのかい?」

「ミユリ姐さん?ミユリ姐さんなのか?」

「違うょ。いつかのハッカーみたいだね。どら、私の方から挨拶に行こうか」


次の瞬間、ワラッタにいるダマヤのPCから白装束に長い黒髪の女が這い出て来ようと…


「我が名はサディコ。肉体を超越し、時間と空間も超える存在。私が少し技を締めるだけでムーンライトセレナーダーは死ぬ。私は無敵。私は神だ」

「…かかったな。いいや。お前は単なる時代遅れのOSさ」

「uploading…uploading…upload complete」


最後はPCの自動音声だ。


その瞬間、サディコはビクンと痙攣、目を大きく見開いて、声にならない叫びを上げると白くデジタルな破片となり虚数世界に散る…


第4章 秋葉原が焼野原(やけのはら)


成層圏の果てで薄れ逝く意識と闘いながら、マリレが停止コードを懸命に入力。

その瞬間"V式噴進弾"の尾部からロケット噴射が消え本体は神田川へと落下。


もちろん弾頭Nの起爆は…ナイ。


その瞬間、ジャドー司令部には拍手と歓声が沸き起こり、誰彼となく抱き合い握手スル…


あぁ、その場にいたかったな…

と思った奴は僕の他にもいてw


「ねぇねぇヒカリさん!ちゃんと話そう」

「お断りよっ!事件は解決、タスクフォースは解散。貴方とのお付き合いもコレで終わり!清々するわっ!」

「今回の経験から、君が怖くない女だと言うコトがわかった。でも、やっぱり怖いけど」


ワラッタ・ワールドワイド・メディアのコラボルーム。

タスクフォースリーダーのヒカリとハッカーのダマヤ。


「昔、ウチは幸せな家族だと思ってた。でもある時、父が変になって人を傷つけて刑務所行きになった。母は蒸発。よくある一家離散だ」

「その話、もっと悲惨になる?イライラするわ。手短かに!」

「ヒカリの気持ちはわかる。長々と暗い話を聞きたくないょね。だから、コレだけ言っておく。君の味方は…俺だ」


次の瞬間、当のダマヤが最も慌てたが、ヒカリが駆け寄り、抱きつき、背伸びしてキス!


「このキス、人に言ったら殺す」

「またかょ?」

「ホンキだから…私」


そのままダマヤをエレベーターに連れ込むw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同じワラッタタワー内だけど今度は最上階。

CEOのサリアとムーンライトセレナーダー。


「興味深いニュースです。秋葉原上空を通過した光については、様々な陰謀説が飛び交いましたが、国際宇宙ステーションに向かうシャトルロケットとの…」


自社ニュースを見ていたサリアがムーンライトセレナーダーことミユリさんを振り返る。


国際宇宙ステーション(ISS)行きのシャトル便じゃないのね?」

「ええ」

「…ヤバかったの?」

「ええ。かなり」


サリアCEOは、長い溜息をつきコメカミを押さえ、デスクのインターホンで秘書を呼ぶ。


「ディナーのアポは全部キャンセルして。今宵は家に帰って息子にチキンを焼くわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最後は…お馴染み?パーツ通りの街灯の下で小さくて大きなケンカをスル困った恋人達w


マリレとダマヤ。


「サディコに何をしたの?」

「強烈なマルウェアを食らわせてやった」

「…世界は秋葉原を失いかけた。そして、私は貴方と言うかけがえのないTO(トップヲタク)を失いかけた」

「マリレ自身、命を失いかけた。誰もいない成層圏の果てで。ひとりぽっちで」

「絶体絶命だった。でも、そんな時でも、私はダマヤのコトを考えてた。貴方を失うコトだけが、ただただ怖かったの。私、貴方を失いたくない!」


子供のように泣きじゃくりながらマリレはダマヤの胸に飛び込む。

マリレのセミロングの髪を撫でながら、唇に痛みを覚えるダマヤ…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


秋葉原に開く"リアルの裂け目"の奥深く。


「虚数世界から、やっとコレだけ拾い集めたわ。何とか再生出来れば良いのだけれど」


不思議な超古代の文字を描き連ねたプヨプヨするモノに球体の装置を転がす紫雪姫(仮)。

すると、プヨプヨがサディコの片腕や片脚、上半身や顔の半分と言ったパーツに再生…


「お前をこんなにも傷つけ、虚数世界を彷徨わせるとは…ヲタッカーズは許せない。サディコ、復讐の時が来たわ。目をお醒まし」



おしまい

今回は海外ドラマでよくモチーフになる日本の誇る"画面から這い出る白装束の怨霊"を軸に、怨霊、怨霊の謎の元彼、主人公の元カノ、ヲタッカーズメンバーのTO、巨大メディア企業CEO、アキバ産軍複合体、宇宙系スタートアップCEOなどが登場しました。


海外ドラマで見かけるNYの都市風景を、第2次コロナ宣言下の秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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