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ドラグニカ~対巨龍戦線~【2ndシーズン】  作者: 三城谷
第二章【得た物と失った者】
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標的との遭遇Ⅰ

 「どうだ?と言われてもな。俺を引き抜いた所で、何も変わらないぞ」

 「そうは思わねぇな。お前さんは龍を全て殺す事が目標なんだろ?なら、オレ達と同じだ。そして日本と違い、龍の出現率はアメリカを筆頭に周辺国でも高くなってる。海外暮らしの経験も出来て一石二鳥だぜ?」

 「海外暮らしには生憎と興味は無ぇな。……俺は、俺の好きに動くだけだ。龍を殺すのだって、命令だけで動くつもりは無ぇ」


 零は気が付けば龍眼を発動しており、クロードの事を見据えた。そんな零の視線に強張った表情を浮かべたクロードは、慌てた様子で冷や汗を掻きながら口を開いた。


 「どうして断る必要がある?お前さんもオレ達と同士だろ?同じ目標を持ってるなら」

 

 だが口を開いたクロードの顔面を鷲掴みにし、零は壁に押し付ける形でクロードを見据えた。睨み付けられた事と壁に押し付けられた事に動揺し、クロードは目を見開いて零の事を見返す。


 「同じ目標は持ってる事は理解してるが、お前らと俺は別種の人間だ。俺は人間も滅ぼしたい側の人間だ」

 「っ……」

 「だから、今回の標的は個人的には興味がある。本当に行動を起こして存在してるのなら、一度話してみたいと思った」

 「アイツは危険だ!!お前とは違う。オレ達とも違う!全く別の人種だ!!アイツに関われば、お前も含めて全員不幸になるぞ!」


 クロードはそう言い放った瞬間、再び目を見開く事になった。何故ならば、思い留まらせる所か全く逆の反応を示したのだ。零は「不幸」という言葉に対して、目を細めて笑みを浮かべながら言った。

 

 「不幸、だって?――俺達はもう呪いを受けたんだ。これ以上の不幸は無いだろう?」


 冷たくなった声色。そして零の表情には、悲しい笑みが浮かんでいた。まるで、何もかもを捨て去る覚悟でここに居るかのように。



 

 ◇◆◇



 

 不幸という言葉を聞いた瞬間、何を以って不幸とするのかと考えた。だがしかし、答えは未だに平行線であり、それを越える不幸は無いと思っている。それは何か?答えは明確であり、そして簡単な物だ。

 俺達、龍紋保持者に刻まれたのは刻印。「龍紋」と呼ばれる類の痣は、身体の何処かに刻まれている。それはまさしく呪いと呼ばれる類の物で、俺達を縛り付ける鎖でしかない。龍と鎖を繋がれた状態であり、龍の玩具となっている証拠だ。


 「俺を含め、全ての龍紋保持者は呪いを受けた。……これ以外の不幸があるってのか?」

 「そ、それは……そうだがっ」

 「そもそも龍災が遭った日に俺は経験しているし、地獄を見てきた。全てのバランスが崩れた瞬間、自分の思想や理想から外れた理を見せられた人間が取る行動は当てにならない。簡単に裏切られるし、簡単に踏み潰されるだけだ」

 「だからっ、そうならないように仲間を集めるんだろ?龍紋保持者同士であれば、互いの事を理解出来ないはずが無いじゃないか!」

 「……本気で言ってるのか?」

 「あぁ」

 

 その答えに対して、俺は心底深い溜息を吐いた。


 「だとしたら期待外れだな。俺の見込み違いだったらしい」

 「何が、――っ!?」


 俺はクロードに向かって拳を振るった。クロードはそれを回避し、建物の屋上へと三角跳びをして向かって行った。俺はその背中を追い、狙いを定めて影を操ってナイフを創る。

 政府のお偉いさん共には見せた事もあったが、それ以来は使ってなかった手法だ。だがしかし、相手を追うには使える道具だ。


 ――ヒュン!


 クロードの耳を掠めたナイフは、壁に音を立てて突き刺さった。すぐにそれは消失し、クロードは振り返って俺の事を見据えた。どういうつもりだと言いたげな表情をして、クロードの頬には汗が伝う。


 「逃げる事は無いだろう?俺はただ、自分の見込みが間違って無かった事を確かめてるだけだ」

 「……くっ、こんな事をして意味なんかあるのかよ?」

 「龍を滅ぼせるなら何だってしてやるよ。たとえ仲間と名乗る者を裏切る事になっても、俺は俺の邪魔する奴は潰すだけだ」


 俺は開いてしまっている間合いを詰め、クロードの間合いへと侵入した。影で創り出したナイフを逆手に持ち、それを躊躇無く下へと振り下ろした。だが次の瞬間、俺は手を止める事になった。

 

 『――おやおや、同胞殺しは僕の役目だったはずなのだがねぇ』

 「……」

 

 何故ならば、今回の任務の対象が目の前に現れたからだ。建物の屋上で、俺とクロードを見下ろすように立っている男。その顔は写真で見た物と同じで、見間違える事は決して有り得ない。


 「なっ……何で、コイツがここに!?」

 「やっとお出ましか。探す手間が省けたな」

 『……ほぉ』

  

 目を細める男を見据えながら、俺はクロードの手を引いて後ろへと移動させて言った。


 「お前がベルフェゴール・ファウストで間違い無ぇか?」

 『そうだと言ったら、どうするのかね?』

 「……任務を実行するだけだ」


 俺はそう言い放ち、影ではなく隠し持っていたナイフ型のドラグマを取り出した。

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