初クエスト
読みづらい場合教えて下さい!具体的な理由、改善策もあれば最高です!
僕は【自由な風】のギルドホームを飛び出し、来た道をそのまま戻り【武道館】に着いた。
中に入り受付の女性NPCに話しかける。
「あのぉ……ハザマ教官に用事があるのですが……」
受付の女性は慣れた手つきで、何やら操作をし始めた。
「はい、直ぐに来るそうなので演習場にてお待ちして下さい」
言われたまま演習場に進み、今日二度目の演習場内に入ると、演習場は活気に溢れていた。多くのプレイヤー、NPC問わず訓練に励んでいた。
すると、奥からハザマ教官が歩いて来た。
「よく来たなアーサー!早速やろうではないか!むっ、武器が無いのか……貸し出し用の奴から好きなやつを借りてこい!」
貸し出し用の武器から選んだのは、無骨なロングソードと一般的なラウンドシールドだ。
「よし、アーサー、お前はなんのジョブに就いている?」
「【騎士】のジョブです!」
「【騎士】か、下位職業はレベルが30が上限だが……ところでお前はどのような騎士になりたい?」
突然言われて困惑したが、アーサーは考えた末に答えた。
「大せ……じゃなくて!憧れの人と一緒に肩を並べて戦える強い騎士になりたいです!」
「そうか……ならお前には【聖騎士】が向いているかもな!」
「【聖騎士】ですか……?」
「【騎士】の上位職業の一つでな、さてアーサーよ、お前には3日以内に【聖騎士】になってもらうぞ」
ハザマ教官の驚くべき発言に思わず、目が見開いてしまった。
「み、3日でなれるものなんですか!?」
「普通なら無理だが、お前なら出来ると信じてるぞ!【聖騎士】の条件は、【騎士】がレベル上限に達してる事、《神聖魔法》もしくは《聖なる一撃》の取得だ。アーサー、スキルは何を取っている?」
こんなに簡単に進むものなのか?と疑問は持ちつつ、自身のステータスを見ると、思わず「あっ」と言ってしまった。
PN アーサー Lv1
メインジョブ 【騎士】Lv1
サブジョブ 【選択不可能】
サブジョブ 【選択不可能】
HP 100/100
MP 30/30
STR 50
VIT 70
STM 70
AGI 40
DEX 50
MTK 30
MND 30
LCK 50
SP0
sp 5
《スキル無し》
「えっと……何もスキル取ってないっていうか……スキル取るの忘れてました!」
するとハザマ教官はキョトンとした後、豪快に笑った。
「ハハハハッ!スキルも何もとらずに、レベル1で俺に攻撃を当てたのか!面白いやつめ!【聖騎士】のやつが持っているのは、《光魔法》《盾術》《剣術》もしくは《槍術》《騎乗》なんかもあったりしてもいいな、後は自由だな!」
スキルはspを使って取得する。なので、spが1の
《剣術》《盾術》《光魔法》《騎乗》最後の一つは悩んだ末に《察知》を選択した。
《察知》はツキネ曰く、上位スキルの《危険察知》になると、体力が全損するようなダメージが来るとき、頭の中に警鐘がなるそうだ。
更にその上の《危険視認》というスキルでは、危険度が色の濃淡で見えるようになるらしい。
盾で攻撃を防いだり、回避したりなど戦闘系のプレイヤーには必須だろう。
《神聖魔法》は《光魔法》の上位スキルなので取ってみたが、《聖なる一撃》は特殊スキルで条件が達成次第取得可能になるらしい。
「スキル取得完了しました!《剣術》《盾術》《光魔法》《騎乗》《察知》の5つです」
報告をするとハザマ教官は満足そうに頷いた。
「よし、それではレベルを上げに行くぞ!場所は『彷徨える墓標』適正レベルは30の場所だ!俺も付き添うが、基本手助けはしない。だから死ぬ気で頑張れよ?」
……生きて戻れるのでしょうか……
●
ーーーーー『彷徨える墓標』
【エド】にある、アンデッドが出現する数少ない場所の一つ。アンデッドが出現する場所は基本ドロップによる儲けが少なく、経験値稼ぎのみがメリットとなる。アンデッドは《光魔法》や《神聖魔法》などが弱点なので、それらのスキルを持っている人達が良くレベル上げに来る場所だ。
そんな場所にひとりの少女が大量のアンデッド達に追いかけ回されていた。
「うわぁぁぁぁぁ!助けてぇぇぇぇぇ!」
「ハッハッハッ!倒さないと経験値は得られんぞぉ?」
少女はここに連れてきて、今の現状の原因を作った男を睨んだ後、覚悟を決めて立ち止まり振り返る。
先頭には骨だけになった狼、その上には骨と肉片が少し残っている鳥、その後ろにはゾンビやスケルトンが大量にいた。
「やっぱ無理ィィィィィ!!!」
何故こんなことになったかというと、五分前にさかのぼる。
「よし、ここが『彷徨える墓標』だ!ここの特徴はだな……っと、その前に《光魔法》は何が使える?」
話を言い終わる前に質問してきた、ハザマ教官を不思議に思いながら答える。
「〈ライトボール〉だけですね」
アーサーは正直に答える。すると、ハザマ教官は悩みながら答えを出す。
「〈ライトボール〉は単体かつ速度は遅い。なので、あまり役に立たないだろうからお守り程度に考えておけ。〈筋力上昇〉〈ウェポンエンチャント・聖〉これでその剣でも、大きなダメージが入るようになった」
借り物の剣は青白い光を発して、自身は赤い光がユラユラと輝いている。
「ありがとうございます!」
僕はこのすぐ後、お礼を言った事を後悔する。
「礼には及ばん。さて先ほどの話の続きなのだが、ここのモンスターは一匹が戦闘状態になると、次々にリンクするので不人気なのだ。これを見ろ」
そういうとハザマ教官は手から光が放たれた。それは一匹のスケルトンに当たり、その近くにいた別のスケルトンに、また別のゾンビ、スケルトンウルフ、スケルトンバードなど様々なモンスターがこちらを見る。
嫌な予感しかしない……
「それでこれだ。《遮断する敵意》さてこれで俺の存在はバレなくなった。後は……分かるな?」
「嘘ですよね……?」
「ハッハッハッ!嘘だと良かったな!ほら、近づいて来るぞ?俺は離れたところから見とくからな」
そう言い放ち、凄まじいスピードで離れていった。
残ったのは青白い光を放つ剣と盾を持つ少女一人と、敵意をこちらに向けながら走って来るアンデッド達。
「うぉぉぉ!!」
アーサーは〈ライトボール〉を放ち続け、MPが尽きた所で近距離戦に移行した。
最初はどんどんレベルが上がり、いけるかと思っていた。エンチャントも切れた瞬間に、いつの間にか近づいてきていたハザマ教官が、再びしてくれてたので良かった。
しかし倒しても倒しても、数が減るどころか増える一方だった。
なので戦略的撤退をしたのだが、いつまで逃げても追いかけ回される。更に言えば、逃げたことによってモンスターが増えた。
なんだこれは?イジメかっ!?
アーサーは逃げながらステータスポイントを振り分ける。STMとSTR、VITだ。
そうして今逃げるのを辞めて戦い続ける事2時間30分。ようやく、最後の一体を倒し終わった。
レベルを見てみると18まで上昇していた。
「はぁはぁはぁ……」
「よく頑張ったな、ほら水だ」
ハザマ教官から水を受け取り、飲み干す。
終わり方と思っていたら、悪魔的セリフが聞こえてきた。
「よし、後もうワンセット行こうか!そうしたら面白い事が起きるぞ!」
「ちょ……ちょっと」
ちょっと待ってと言おうとしたが、時すでに遅し。
先ほどと同様のエンチャントをかけられ、今度は遠くからアンデッド達を大量に引き連れて、こちらに向かってきていた。
「こ、これMPKって奴なんじゃ……」
まさかのNPCにPK技を仕掛けられるとは……恐るべし、『アトランティス・オンライン』!!
しかし、先ほどとは違い冷静に一体ずつ倒していく。
スケルトンアーチャーの弓を盾で受け止め、横から剣を振り下ろし、攻撃を仕掛けてきたスケルトンソルジャーに対して〈パリィ〉という技能で、弾く。
この〈パリィ〉の効果は、成功時スタミナの減少をゼロにして、スタン効果を与えるという有能アーツだ。但し、判定が厳しいため五回に一回はただのガードになってしまう。
これは他の盾プレイヤーからしたら、驚異の成功率である。『刀剣オンライン』での経験が見事に生かされている証拠だろう。
スタン状態になったスケルトンソルジャーを剣で一閃。その後、新しく覚えた〈ライトランス〉という光で出来た槍や、〈ライトアロー〉という光の矢で攻撃して下がるという、ヒットアンドアウェイ方式で戦っていく。
今回はレベル上昇の効果や、新しい魔法のお陰で30分足らずで全部倒しきる事ができた。
〈ライトアロー〉は〈ライトボール〉より、速くより遠くに攻撃可能という上位互換とも呼べる魔法だ。唯一劣る点は矢自体が球体より小さい為、当てるのが難しくなるぐらいだろう。
「ハザマ教官、全部倒し終わりました!」
僕は全て倒し切り、どうだっ!という表情で報告をする。
「良くやったな!だがこれからが本番、楽しい所だぞ。あそこを見てみろ」
嫌な事が聞こえた気がするが、それを気にしないようにして指を刺された方角を見る。
するとそこから黒い煙が吹き出して、出てきたのは真っ黒な首なしの騎士……デュラハンだ
「あいつはここで一定時間内に100体以上を倒すと出てくるレアエネミーでな、アイツからドロップするものは中々の値段で売れるものが多い。って事で行ってこい」
「はい!?見間違いじゃなきゃLv50って見えるのですか……まだ僕は25ですよ?」
「レベル1で俺に一撃入れれたんだ、大丈夫だろう倍ぐらい。ほら特別サービスをしてやろう〈ウェポンエンチャント・聖〉〈筋力上昇〉〈敏捷力上昇〉よし、行ってこい!」
ハザマ教官に背中を押され、デュラハンに近づく。改めてみると大きい。大きさは2.5メートルぐらいで、全身は黒い甲冑に包まれている。手には頭と黒い槍。
盾を構えながら近づくと、ハザマ教官と戦った時のスピードより速く槍の突きが繰り出された。
まともに受け止めるのはマズイと思い、受け流すようにして、盾に角度をつける。そして出来た隙に剣で攻撃をする。
何度もそれを繰り返す。たまに魔法を打ち込むが、あまり効いた様子はない。
盾で防御しながら剣で攻撃を繰り返してた時、突然デュラハンが後ろに下がり槍を地面に突き刺した。
すると、地面から魔法陣が浮き上がり、そこから一体の首がない真っ黒な馬が出現した。
「体力が半分を切ったって事かな……?」
ここまで掛かった時間は約15分。これまで3度の追加エンチャントを受けてきた。
ここで4度目のエンチャントを付加される。デュラハンは持っていた頭を馬の首に乗っける。空いた手には盾が出現する。デュラハンは馬に乗りこちらに駆けてくる。
「ちょ、ちょっとそれはズルくないか!?」
ハザマ教官の方をチラリと見てみると、欠伸をしていた。……あの野郎、絶対今度ぶっ飛ばす!
馬の突進は盾で受け止めれるものではない。《察知》のお陰で何とか回避する事が出来る。避ける時に剣で攻撃して分かったことは、デュラハンは魔法耐性が高く、馬は物理耐性が高いことだ。
なので〈光魔法〉で馬の脚を攻撃する。重点的に右の前脚を狙い続け、怯んだ隙にデュラハンに最大の威力を込めた攻撃を放つ。
「〈パワースラッシュ〉!!」
エンチャントのお陰でダメージが跳ね上がる。そうしてようやくデュラハンは光のエフェクトになって消えていく。
《【騎士】のレベルが上限に達しました》
「はやっ!?まだ初日なのに……って、これって一種のパワーレベリング?まぁ気にしないでおこう。ドロップしたのが……『呪われた騎士盾』これ使えるのかなぁ?」
するとハザマ教官がこちらに向かってきた。
「本当に勝てるとは思ってもなかったぞ!良くやったなアーサー!なにがドロップしたんだ?」
怒りの拳を押さえつけながら、『呪われた騎士盾』の事を話す。ついでに【騎士】が上限になった事も。
「おぉ!レベル上限になったか!ならば後は、《神聖魔法》の習得だな!一日で1から30になるやつは初めて見たな!あっ、その盾だが【アサクサ聖堂】に行けば解呪してくれるぞ」
ネーミングセンスはさて置き、使える可能性があるというのは嬉しい。って、僕初心者装備のまんまやってたのか……うん、帰ったら装備を揃えよう。
「さて、【聖騎士】になったら俺のところにこい!待ってるからな!」
ハザマ教官はそう言い残し、アーサーを残し街に戻って行った……って!?
「僕も帰りますよ!?」
アーサーは走ってハザマ教官の後を追って行った……
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