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- 白い羽 -

作者: ユヤ

初めて小説家になろうで投稿します。



俺の前に白い羽の天使が降りてきた・・・・

今にも死にそうな俺の前に・・・・


そう些細なことで喧嘩になり些細なことで刺された。

俺は建物の隅の壁に寄りかかった。

虫の息なのに不思議と死の恐怖は無かった。

人間は不思議なもので死のうとしている時に過去を振り返る。

俺の過去は・・・・

大したものではなかった。

ただ人として道を外しただけだ。

生まれたときから今まで親の顔も知らず、ただ闇雲に生きてきた。

だけどそれを苦に感じたことは一度も無い。

そんな余裕は俺には無い。

俺は生きるために何でもした。

ついには自分の手を赤く染めるまでに・・・


リーン、リーン、リーン

鐘の音が聞こえた。

そして雪も降ってきた。

そう今日は世に言うセイントセイヤの日。

等々、俺は死ぬのか・・・・・

俺は何のために生まれてきたのだろう?

生きているときには透明人間のような者だった。

俺が死んでも誰も悲しまないし誰も気づかない。


俺は空を見上げた。

その時、空から俺の前に白い羽が舞い降りて来るのが見えた。

俺はその羽を掴もうとして右手を挙げた。

そしたら空から天使が降ってきた。

俺は瞬きもせずに見入っていた。

あまりにもキレイすぎて眼がはなせなかった。

天使は言った。

「なんで泣いているの?」

「はっ?」

俺は自分が泣いていることに気づいた。

何故泣いているのか解らない。

ただ随分久しぶりに泣いた気がする。

幼かった頃に一度だけ泣いたのを思い出した。

あの時も何故泣いたかは解らなかった。

ただ今思うとあれは寂しかったのかもしれない。

孤独というものが俺の周りには常にあった。


天使はもう一度俺に話しかけた。

「何所か痛いの?」

俺は答えた。

ああ、そうなのかもしれない。

心がもう死にそうなのだと・・・

今にも死にそうなのは肉体の方なのに・・・。


突然天使が俺に抱きついてきた。

俺は突然のことで反応が遅れた。

だが俺は結局、天使のなすがままにさせた。

いまさら拒絶したとこで何にもならない。

だけど天使から何か暖かいものが俺の体に入ってきた。

俺はこの暖かいものが何なのか解らないがとても安心した。

そして俺もいつの間にか天使に抱きついていた。


天使は俺に微笑み掛けながら言った。

人は生きるために生きているのだと・・・

そして平等に朝が来ることも・・・

俺は今まで真っ暗な暗闇に居た。

そこにやっとひとすじの光が見えた。

俺はずっと死を望んでいたのかもしれない。

今は生きるのも悪くはないと思った。


そして俺は気づいたら病院にいた。

白い天井に窓からは朝日が射していた。

医者は言った。

本当は死んでもおかしくなかったのだと。

奇跡に近いとも言った。

俺は思った。

生きているが誰もいない。

あれは幻だったのかと・・・

だが俺の枕の横に一枚の白い羽があった。

ずいぶん前に書いた作品で冬の話なのに夏に書いたものです。

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