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プロローグ
少女は、この世界はまるで海底だ、と言った。
彼女は人のいい笑顔を振りまきながら、愛想のいい行動をしながら、心のどこかでなにも求めなかった。
この世界では、私は息ができない。
この後の人生も、きっともがき苦しんで死んでいくのだろう。
少年は、この世界はまるで雲の上だ、と言った。
彼は極力人と付き合わず、言葉を話さず、しかし心のどこかでなにかを求めていた。
この世界では、僕は飛んでいける。
この後の人生も、きっとどこまででも高く飛んでいけるのだろう。
これは、対極的な2人の、平行線上の恋。