仮定の未来 夜遊び
「月華ちゃーん。夜のお散歩れすかー」
「ハロちゃん」
月華ちゃんは人間の女の子。ハロちゃんよりおねーさんなのれす。
赤い髪を夜の風に揺らす姿はなんだか大好きれすよー。
お日様苦手な月華ちゃんはお月さまがよく似合っているのれす。お月さまの魔力でハロちゃんも遊べるようになるのれす。お喋りできるって楽しいのれす。
「ハロちゃんと遊ぶれす!」
「うん!」
後ろからついてくる気配は蛇の気配。
いつものことなのでハロちゃん気にしないのれす。
お喋りしながらジャングルジムに登る。
人間が誰もこない、いないスキマの公園。
「とーさんが町に帰ってきたのれす。ハロちゃんいっぱいいっぱい遊んでもらって、色んなことを習うれす。月華ちゃんともっと遊びたいのれす!」
月華ちゃんがふわりと笑う。
「おとーさん帰ってきてよかったね」
ハロちゃんはおもいっきり頷くのれす!
「ねーさんやにーさんたちにも教えてあげるれすよ!」
ジャングルジムの高いところに並んで座る。
ブランと揺れる足は四本。
月華ちゃんの赤い髪は長い。ハロちゃんは短い白い髪。
月華ちゃんはいつだってかわいいふわんとしたワンピース。暑い日だってカーディガンは欠かさない。
ひらひらフリンジにうっとりうずうずきゅんきゅんれす。
ハロちゃんはいつだって白い服白いキュロットで活動的。白いブーツに黒手袋。
動くのは大好きれすけど、殴るのも噛みつくのも得意じゃないのれすよ。
「そろそろ送る時間えしよぅ」
ハゲ親父の声が聞こえてきたのれす。
ハゲ親父は蛇が怖いんれす。臆病なんれすから!
「またね。ハロちゃん」
「あいれす。ちゃんとお家の近くまで送るれすよ!」
笑って、いつものように月華ちゃんは目を閉じてくれるのれす。
「はろーん」
魔法の呪文を唱えれば夜の空、スキマを駆け抜け月華ちゃんのお家の近く。
なぜかとーさんが抱きとめてくれるのれす。
なんでいるれすか?
「月華ちゃん、またねれすよ!」
「また、遊ぼうね。ハロちゃん」
ぱたぱたとお家に帰っていく月華ちゃんを見送ってとーさんにもたれるれす。
さぁ、ハロちゃんをいっぱい、たくさんあーまーやーかーすのれすー。
「帰るぞ。白露」
「帰るのれすよ! のせて帰ってほしーのれすー」
「自力で走れ」
ぶーっ!
とーさんがきびしーのれすぅ。