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掌編集  作者: 茂木原
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夢の情景 (以前見た夢の不思議な情景を)

  ひたひた ひたひた 


 何故だか分からないけど、気がついたら水びたしの電車の中。

 裸足で乾いた座席の上で、ゆっくり動く電車に揺られる。


  がたんごとん がたんごとん


 私のほかには誰ものっていなくて、透明な澄んだ水が足首まで。

 窓の外に移り行くのは知らない景色。

 どこに行くのかも分からないから、行儀悪く足を振って、

 水を叩いて遊ぶ。


  がたんごとん ぷしゅー


 しらない駅名のアナウンス。

 電車が止まってドアが開いて、水が少し外に出て行く。

 水に波紋をつくりながら降りると、電車は水を出し切らないまま、

 また出発。少し寂れた駅は、切符もないのにすんなり通れた。


 するとそこはドールハウスのような家の前。

 普通の大きさだけど、きっと巨大なドールハウス。


 私は少し悩んでから、少し開いたドアから勝手に中に入る。

 オシャレな玄関を通ってちょっと狭い階段を上って、ベランダみたいなところ。

 下を見ると、お庭の手入れをしていた大きなおばさんが、この家に入っていく。


  どうしよう 


 急いで顔をひっこめて、色んな物の隙間にするりと体を滑り込ませる。

 見つかったらどうしよう。勝手に入らなきゃ良かった。


 大きな足音が階段を上ってくる。


  たたんたん たたんたん


 怖くて仕方なかったけど、段々その音は電車の音に変わった。


  がたんごとん がたんごとん


 気づくとそこはまた、水びたしの電車の中。

 肩を見ると、さっきのドールハウスでついたクモの巣があった。


 私はまた前をぼうっと見ながら、水をはじく。


 ちゃぷちゃぷ ひたひた


 多分、ここは私の世界。私だけの、一度きりの世界。

 次の駅に着く前に、この世界は終わるだろう。


 でも、もし次の駅に着いたら、怖い目にあうかも知れないけど、

 私はまたこの電車を降りたい。


 ここでしか見られない不思議なできごとがあるから。


 もし2度目があったら、また楽しませてね、夢の情景。


見た夢から。

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