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空人形、夢を見る

 私の住処は古い大きな病院の一角であるこの個室。小学校の頃に交通事故に遭い、両目の視力と脚の機能を失ってからずっと、ずうっとここにいる。

 勿論それはいまでも変わらず、先日一度も中学校に通うことなく十五歳の誕生日を迎えた。

 だけど、私にはもう誕生日など意味を持たない。だってどれだけ月日を重ねても、どれだけ私の身体が成長を遂げても、私は自分で動くことなどできはしないのだから。

 私は世界を見ることはできないし、世界を歩くこともできない。

 きっと世界もこんな私なんて見てはいないし、存在していることにも気がついていないだろう。

 そうしていつしか私はこう思うようになった。

 まるで私は人形のようだと。

 この病院の一室に保管され、手入れされるだけの人形。

 

 今日も壊れたガラスの目玉は闇しか映さない。そして人形はその役に立たない双眸で一人瞼の裏の闇を見つめたまま、夢を見る。唯一自由に動くことのできる箱庭の夢を。


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