五話
予選は、三会場で催されるようです。まずあなた様が通われる学園、そして魔術訓練場という軍の施設、召喚を取り仕切る教団保有の施設、アンゴラ大聖堂の三つです。その内、あなた様がお通いになっている学園は、実はあなた様の学年は皆強制参加方式で実力を問われます。ふるい落とされた者はその存在も知ることなくこの後また学園生活を勤しみ、卒業しますが、能力を買われた者は即刻で停学となります。その為、実施試験で成績が厳しくされるのはその為で、表向きは劣等生で停学。ということにされるそうです。まあ、僕には何のことかよくわかりません。
それで、停学になった者は呼び出しをされ、残りの学園生活を楽しむか、大会に参加するかを問われます。これはまだ予選です。よほどの力の持ち主でなければ強制はされません。
それから大会が着々と進んでゆきますが、その後半戦では、相手と戦う必要がでます。僕は自立で戦うので問題はありません。
最終的には神が直々にその力を測られます。そうして合格すれば晴れて天上人というわけですね。
毎回説明が長くて申し訳ありません!はい!
「戦うって…!?」
「先ほど申しました、召喚を取り仕切る組織をウーラノス教団といいますが、彼らが立ちはだかるのこともあります。僕は戦闘に特化した召喚獣ですので、ご安心下さい。」
「…不安だが…すぐ負ければ終わりなんだよな、それならいいよ」
「お言葉ですが、僕は重大なことを伝え漏れていました」
「…な、何だよ?」
リエイは真っ直ぐとアルタを見つめ、じれったくなるほど間を置いて答えた。
「この大会には、十中八九…あなた様のお命を狙い、オーヴァン様を陥れた男が参加いたします」
「何だと?!」
アルタは思わず立ち上がり、言いにくそうに言葉を濁すリエイへとしゃがみ込んでよく聞き取れるように耳をそば立てる。リエイは苦しげな表情をして、
「その…ご主人のご友人も…参加されるのでは…?」
アルタは信じられなかった。
だが成功すれば、天界へと招待されるという眉唾もののこの大会には確かに黒い影を感じた。乗り気ではなく、すぐ学園生活を享受しようとしていたアルタは、改めて己が命運を思い知り、絶句して立ち尽くした。リエイは静かに尾を揺らして頭を垂れる。
「僭越ながら僕が、あなた様の剣となり、戦いましょう」
彼の条約に何故こんなことを約束させていたのかようやくアルタは知った。最初からこの大会に参加するその男を追っていたのはリエイで、自分はそれに抗いようもなく様々な事柄とともに巻き込まれたことを。アルタは怒りと、混乱、どこか悲しみを感じて震える唇で一言尋ねた。
「その男の…名前は…?」
リエイは戸惑いながら返した。
「クロード・バスキンズ…」
「クロード…?」
頭によぎったイニシャル。アルタは右手をもう一度見つめて息を吐き出した。
「そいつが…俺を…!」
嫌な予感がすぐ背中を撫でているようだった。
予測不能な自分の未来に、アルタは深く嘆息する。呪われた血に流れ込んだその男の名前は、しっかりと頭にしがみついて離れることはなかった。