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第一話「カニカマスティック」

これは周りから「狐」と呼ばれる少年が毎月渡される小遣いを浪費していく物語である...

 僕は今無性に腹が減っている。

僕の名前は 空狐(くうこ)らん。街で平凡に暮らすただの学生だ。

僕はとにかく腹が減っている。

まさか帰宅中にこんなに腹が減るとは考えもしなかった。

やはり家庭部の料子さんに弁当が足りるか聞かれたときに正直に足りないといえば良かったのにもかかわらず4時間前の僕はそれを断ったのだ。自分で自分を恨んでしまうよ...

だがしかし今日の僕はいつもとは一味違うのである.... そう今日は待ちに待った月初、そう小遣い日なのだ。

そんな僕の財布には今5000円(希望)が詰まっているというわけだ。

さぁ今日は何を食べようか、今日は5000円もあるのだ牛丼特盛、いやうどんもいいな、あえてのフライドチキン16ピースも最高だな!

うむ...なんと悩ましいのだろうか。

なんてことを考えていると一緒に帰っているとなりのこいつ....いや、同級生の金木(かねき)りょうが突然こんなことを言い始めたのだ「どうした?そんな絞ったあとの雑巾みたいな顔して...あぁ!わかったぞらんお前....腹痛いんだろう!トイレはあっちだぞ!」

「ちがうに決まっているだろうがこのあんぽんたん」

しまったつい言葉に出てしまった...

その後金木と早々に分かれ僕はたまたま近くにあったコンビニに入ることにした。

このコンビニは他のコンビニチェーンにはない少し変わった点がある..

それは毎月ランダムで一枚会計のたびに必ずクーポンが渡されることだ。

基本的に期限は2ヶ月でかなり長い間保有できる点が僕の目についたのだ。

そして僕はこの一ヶ月この日のためだけに友達や知り合いなどにいらないクーポンを大量に譲ってもらったのだ。

そう「カニカマスティック」50円引きのクーポンだ。

あまり人気はないが食べた時の満足感は菓子パンに勝てるだろう。

僕の今持っているクーポンの数は19枚。

カニカマスティックが一本140円だからクーポンを使えば一本90円で買えてしまうのだ。

とりあえず10本を手に取ってみる。

「おぉ...まるで新品の鉛筆箱を開けたときのような気分だ..」

おっと、つい口に出てしまった。

いきなり19本買うのも恥ずかしいのでまず10本購入してきたこれでもまだ4100円も残っているのだ、こんな美味しい話はないだろう。

カバンにカニカマスティック×10を詰め込み僕は移動を開始した。

この僕でも流石に同じ商品を19個同時に買う度胸はなかったのだ。

どのコンビニにしようかと悩みながら歩いてるときふと気がついた。

「あ」

一気に10本もカニカマスティックを買う恥ずかしさのあまり会計の時、クーポンをレジに置いてきてしまったことに気がついてしまったのだ。

今から走れば5分ほどでコンビニに着くが、それはなんとも面倒くさい....

あぁ神よなぜ僕からクーポンを奪うのですか...

まぁ今さら何か考えても無駄だ….

もういいだろう....

今日は大人しく帰ろう....

いや、こんなところで帰るのは僕のプライドが許さない...

そうだ定価で買おうじゃないか。

僕にはまだ4100円あるのだ50円など屁にもならないだろう。

やってやろうじゃないか...


やってしまった...

やはり衝動的に動くのは良くないな...

カニカマスティック×20を抱えながらそう思った

そう思いながら綺麗に並べた中から一本いただく...

「ふふぁい(美味い)!!!」

まるで本物のカニのようにプリプリとした身にほのかな甘味が一気に舌に伝わってくる...

そして圧倒的満足感...

やはりカニカマスティックを選んだのは正解であったな..

残りは家に帰ってから食べるとしよう

そう言いながら帰るらんであったがまだ彼は知らないのであった。

1日で2300円も使ってしまったことに...



今月の残金

2700円








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