第12話 勅令の遂行について ~前編~
2/5
実家の騒動から数日。
カロスタークは久々に、道整備の現場を訪れた。
「旦那!」
カロスタークの姿を見つけた『竜燐族』の代表グロス——カロスタークは『親方』と呼ぶようになっている——が走り寄ってきて迎え入れてくれた。
「おで、考えた!」
「どうした? なにをだ?」
「道造る。多いと大変。近くの部族にも声掛けるか?」
「近くの部族?」
「隣の領地にも『竜燐族』いる。手伝わせる」
仲間を引き込もうというのか。
「それは助かるね」
人件費の問題はあるが、捻出できるだろう。
工期が短くなるメリットの方が重要だとカロスタークは考える。
勅命を成し遂げるべく、カロスタークが立てた計画があるのだ。
まずは王国内の領地すべてを一本の道で繋ぐ。
町があるかどうかは関係なく最短距離で。
これをカロスタークは『行速道路』と名付けた。
そこから、各領地の主要都市へは『領道』で繫ぎ、残りは『町道』で繋いでいく。
『王国全土』なんて同時進行は無理。
『行速道路』の造成を第一段階。
『領道』を第二段階。
『町道』を第三段階。
そんな感じに段階を分けて進める計画だ。
「だから、リヴィエール伯爵領が次なのは間違いないんだよな」
親方の言う『隣』というのはミヌミエーラ男爵領の南東に位置している領地だ。
これまでの流れをそのままに、進めやすい位置になる。
現在整備中の道を繋げやすいのだ。
「仲間、連絡する!」
親方が張り切って部族の若者を呼んでいる。
「領主・・・リヴィエール伯爵にアポを取ってくれるか?」
副官の位置で付いてきていたフランソワに頼んだ。
隣地なので付き合いもあるだろうと思ったのだが・・・。
「リヴィエール女伯爵様ですか——」
ちょっと複雑そうな表情になっている。
——というか。
カロスタークは目を瞬かせた。
「女伯爵? 当主が女性なの?」
「はい。先代当主の一人娘が家督を継いでいるんです。他のご兄弟は病気や紛争で亡くなっていまして。結婚していて夫もいるんですが、そちらは入り婿ということで発言権がないのです」
「うわ、それはまた」
実は、女貴族というのは珍しくない。
フランソワが言ったような理由で男性当主がいなくなることはままあることだからだ。
しかし、入り婿とはいえ自分の夫に発言権を与えないというのは聞いたことがない。
「女傑、なのかな?」
「その認識で間違いないかと」
大変な相手らしい。
「相手がどんな人だとしても、話を通さないわけにもいかない。ともかく、都合のいい日を確認してアポを取ってくれ」
「わかりました」
とりあえず会って、その場で何とかするのが『営業』の醍醐味。
アポを取っての会談に臆していては商人を名乗れない。
カロスタークは気合を入れ直した。
読了・評価。ありがとうございます。




