第1巻 第7讃歌 インドラ賛歌
1. インドラを、
歌い手たちは高い讃美をもって、
インドラを、
朗誦者たちは称賛をもって、
インドラを、
合唱団たちは栄光づけた。
2. インドラには常に
近くに彼の二頭の褐色の馬と、
言葉で繋いだ車があり、
黄金のインドラ、
雷を武器とする者。
3. インドラは太陽を天高く上げた、
彼が遠くを見られるように
彼は牛たちのために山を裂いた。
4. 私たちを助けてください、
おおインドラよ、
戦いにおいて、
はい、千の戦利品が得られる戦いにおいて、
恐るべき助けをもって、
おお恐るべき者よ。
5. 強大な戦いにおいて
私たちはインドラを呼び、
小さな戦いにおいてもインドラを、
悪魔たちに雷を曲げる友を。
6. 開けよ、
私たちの男らしい英雄よ、
常に豊かに与える者よ、
あの雲を、私たちのために、
あなたは抵抗しがたい者よ。
7. 私の歌の調べごとに、さらに高く、
雷を武器とするインドラの讃美は上がる
私は彼にふさわしい称賛を見いだせない。
8. 雄牛が群れを駆り立てるように、
彼は力で人々を駆り立てる、
抵抗しがたい支配者よ。
9. インドラは、
単独の支配をもって
人々を、富を、
地上に住む五種族を
統治する。
10. あなたがたのために、
私たちは四方から
インドラを他の人々から呼び寄せる
私たちのものとし、
他の誰のものでもない者でありますように。
※この第7讃歌は、インドラの支配力・戦闘力・宇宙的な業績を繰り返し強調し、独占的な加護を強く求める内容です。インドラ讃歌の連続の中で、ますます「私たちだけの神」としての所有感が強まっています。
• 1節:インドラをさまざまな歌い手(歌い手、朗誦者、合唱団)が一斉に讃える描写。儀式の集団性を示す。
• 2節:インドラの象徴(褐色の馬、黄金の体、雷の武器)を再確認。戦車は「言葉で繋いだ」とあり、讃歌が神の力を動かすという信仰を表す。
• 3節:インドラの最大の神話的業績――太陽を高く上げ(秩序の確立)、山を裂いて牛(水・富・光)を解放した話。ヴリトラ戦の変奏。
• 4-5節:戦いの大小を問わず助けを求める。インドラは「友」でありながら「恐るべき者」として、二面性を描く。
• 6節:雲を開く=雨をもたらす神話。インドラは旱魃を終わらせる雨の神でもある。
• 7節:詩人の謙虚さと限界の告白。「彼にふさわしい称賛が見つからない」=インドラの偉大さが言葉を超えるという典型的なヴェーダ的表現。
• 8-9節:インドラを雄牛や絶対君主に喩え、地上のすべて(人・富・五種族=人間の五つの階級や民族?)を統治する支配者として描く。
• 10節:締めくくりが非常に特徴的。他の部族や人々からインドラを「奪い取る」ように呼び、他の誰のものでもなく「私たちのもの」にする独占的な祈り。ヴェーダの部族社会の競争意識が色濃く出ている。
全体として、インドラを「私たちだけの絶対的な守護者・支配者」として強く結びつける、かなり排他的で情熱的な讃歌です。リグ・ヴェーダ初期のインドラ讃歌群の典型で、信仰の熱さと現実の部族争いを反映していると言えます。




