第1巻 第19讃歌 アグニとマルト賛歌
1. この美しい供物に、
乳のような飲み物を飲むために
あなたは呼び出されました
おおアグニよ、
マルトたちとともに
来てください。
2. どんな人間も、
どんな神も
あなたの精神の力を
超えることはありません、
おお力強い者よ
おおアグニよ、
マルトたちとともに
来てください。
3. 欺きのないすべての神々、
中空の広大な領域を知る者たち
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
4. 恐ろしく、
歌を歌う者たち、
力によって征服されない者たち
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
5. 輝かしく、
姿において恐ろしく、
力強く、
敵を貪り食う者たち
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
6. 天に神々として座し、
空の天蓋の輝く球の上に
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
7. 雲を空に散らし、
波立つ海の上に遠くへ
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
8. 彼らの明るい光線で
力をもって
海の上に広がる者たち
おおアグニよ、
あのマルトたちとともに
来てください。
9. あなたのために、
朝の最初の飲み物として、
私はソーマと混ぜた蜜を
注ぎます
おおアグニよ、
マルトたちとともに
来てください。
簡単な解説(全体の流れとポイント)
この第19讃歌は、アグニを呼びかけつつ、マルト(Maruts:嵐の神々、ルドラの息子たち)を繰り返し伴わせて招く構造で、リフレインのように「O Agni, with the Maruts come」が各節の終わりに繰り返されます。マルトの集団的な力強さ・輝き・恐ろしさ・宇宙的な広がりを詳細に描写し、アグニとともに来てソーマを飲むよう祈る内容です。
• 1節:美しい犠牲と乳のようなソーマ(meath = 蜜や乳製品混ぜのソーマ)を飲むためにアグニとマルトを招く。儀式の開始。
• 2節:アグニの精神力(mental power)が人間も神も超えると強調。マルトを伴うことでさらに強まるイメージ。
• 3節:欺きのない神々として、中空(mid-air)の領域を知るマルトの知識と純粋さを描く。
• 4節:歌を歌う恐ろしいマルト、征服されない力。マルトは戦士的な集団神で、歌(賛歌)と力の両方を象徴。
• 5節:輝きと恐ろしさ、敵を貪る描写。マルトの嵐のような破壊力と美しさを同時に表現。
• 6節:天の上、空の天蓋を超えた位置に座す神々として、マルトの超越性を示す。
• 7-8節:雲を散らし、海の上に光線を広げる描写。嵐の神マルトの自然現象(雷雨・風・光)を具体的に描き、宇宙的なスケール感。
• 9節:締めくくりは朝の最初のソーマ(Soma-mingled meath)を注ぎ、アグニとマルトに来て飲むよう。朝の儀式の新鮮さと親密さ。
全体として、アグニを媒介にマルトの集団を招き、嵐の力・輝き・恐ろしさ・宇宙の支配を讃えつつ、ソーマを捧げて加護を求める讃歌です。マルトの描写が特に詩的で、リグ・ヴェーダの自然神群の魅力がよく表れています。アグニとマルトの組み合わせは、火と嵐の対比・調和を象徴し、儀式のダイナミズムを感じさせます。




