第9話:え、私が新しい女王候補!?
断罪イベントは無事(?)回避。
闇堕ちしかけたヒロイン・マリアも落ち着き、私の処刑フラグも無事に全消滅。
「やった……ようやく平穏が……」
そう、思っていたのに。
「セリーナ・グランフォード。王宮へお越し願えますか?」
……は?
連れて行かれた先は、王宮の政務室。
そこには王太子・アレクシスと、国王夫妻、そして一部の重鎮たちが顔を揃えていた。
「セリーナ嬢。君にはこれまで王国のため尽力していただいた。数々の不正を防ぎ、マリア嬢の暴走も止めた。真に感謝している」
と、国王陛下はにこやかに微笑む。が──
「ついては──次代の王妃として、改めて君を“正式に”迎えたい」
「……え?」
王子の婚約者としてではなく、王国の“女王候補”として確定したらしい。
「いえいえいえ、私、そんな器じゃありませんし、学園もまだありますし、夢は田舎でハーブを育てながら猫と暮らすことなんです!」
「問題ない。ハーブ園は城の裏に整備済みだ」
「対応が早すぎる!? こわい!!」
──どうやら、断罪回避イベントで大活躍したせいで、
“民衆人気”まで爆上がりしていたらしい。
しかも、騎士団長アレインに至っては、
「……王子に譲るつもりはなかったのですが、仕方ありません。王妃になるのなら、今後は私が近衛としてお守りします」
「どっちにしても逃げ場がない!!」
私はただ、生き延びたかっただけ。
平和に暮らしたかっただけ。
なのに──なぜこうなった。
その夜、私はベッドに倒れ込み、日記帳を開く。
《目的:死亡フラグ回避 → 成功
副産物:闇堕ち阻止、陰謀摘発、王太子に愛される
現状:王妃候補として逃げ場がない》
「もう誰か助けてええええええ!!!」
でも、ベッドの脇には丁寧に包装された書簡がひとつ。
それは、隔離療養中のマリアから届いた、手紙だった。
《セリーナ様へ。
あなたは“悪役令嬢”なんかじゃありません。私にとって、最初で最後の友達でした。
あなたが女王になる日が来たら、私はその時、心から祝福します。
……ありがとう。そして、ごめんなさい。》
(……マリア)
何もかも、もう“ゲームの中”じゃない。
私たちは、自分の意志で未来を選ぶことができる。
「だったら……私も、自分で決めるわ」
運命じゃない。エンドもない。
ここからは、私の物語。
王妃でも悪役でもない、“私”として──この世界を生き抜いてやる。




