表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

第8話:断罪イベント、いざ開幕!

それは、ある春の午後だった。


青空の下、学園の講堂に貴族の令息令嬢、教師、王族関係者、そして魔導監察官たちまでが集まり、空気は異様な緊張に包まれていた。


これは、ゲームの最終章にあたるイベント──

断罪イベント。


本来なら、ヒロインのマリアが中心となり、悪役令嬢セリーナが婚約者の王子から公開非難を受け、学園追放、処刑、または国外追放などの悲惨なエンドへ向かう……はずだった。


でも──


「本日は、グランフォード令嬢に関する不正疑惑について、真相を明らかにいたします」


王太子アレクシスが壇上に立ったとき、私は目を閉じて深呼吸した。


(大丈夫。……きっと、大丈夫)


断罪される可能性はまだある。だけど、それ以上に今は──


「我が婚約者であるセリーナ・グランフォード嬢は、私の信頼に足る人物であると、この場で宣言する!」


──えっ!?


ざわめきが広がる講堂。

王子、まさかのセリーナ擁護スタート!?


「一部の者が流布している“セリーナがマリア嬢をいじめている”という噂は、根拠に乏しい捏造だ。調査の結果、いかなる証拠も見つからなかった」


「ま、待ってくださいアレクシス様!」


突然、壇上にマリアが駆け寄る。


「セリーナ様は、私から王子様や騎士団長を奪いました! 私は、ただ“ゲーム通り”に生きていただけなのに!」


……ああ。

彼女、もう限界だったんだ。


「……マリア嬢。申し訳ないが、あなたの発言にはいくつか不審な点がある」


アレイン騎士団長が、淡々と語り始める。


「あなたが生徒会に提出した告発文には、セリーナ様しか知り得ないはずの情報が含まれていた。さらに、学園内の封印区域に勝手に立ち入った記録もある」


「そ、それは……!」


マリアの顔が、青ざめていく。


「セリーナは、君を傷つけたりしていない。むしろ、何度も君を庇っていた。君がそれをどう受け取ったかは分からないが……私は彼女を信じる」


──その瞬間だった。


「どうしてよおおおおおおお!!!」


マリアの体から、黒い魔力が吹き上がった。


「私はヒロインよ! 世界に祝福された主人公なのに、なんで私が……!」


「……っ、暴走魔力反応!? 全員、離れろ!」


「誰にも、譲らない! 全部、私のものなのよ!!」


マリアの体が、魔力の奔流に包まれ、“闇堕ちルート”が始まろうとしていた。


──ああ、違う。


この世界は、もうゲームじゃない。

私もマリアも、ただの駒じゃない。運命を壊すなら、今──!


「マリアッ!!」


私は駆け出していた。

王子も騎士団長も止めようとするけど、関係ない。


彼女の目の前まで走って、私は叫んだ。


「それでも、私はあなたの味方よ!!」


「……なに、を……?」


「あなたが誰に嫉妬しても、何を憎んでも、私はあなたを“ヒロイン”だって思ってる! だから、戻ってきて!」


涙がこぼれた。心からの言葉だった。


マリアの魔力が、少しずつ、静まっていく。


「……どうして……そんな顔で……見ないでよ……」


「友達だからよ」


次の瞬間、マリアは崩れるようにその場に倒れた。



その後、マリアは魔力の暴走による衝動と判定され、隔離施設で回復を受けることに。処罰はされなかった。


そして、私は──


「……断罪、されなかった……!」


ついに、死亡フラグを、闇堕ちフラグを、全部回避した。


「ふふ……ふふふふふ……やったあああああああ!!」


廊下でひとり、変な笑いが漏れたのは、仕方ないことでしょう?


でも、まだ終わりじゃない。

これからは──“私自身の人生”を、生きていくのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ