第4話:ヒロインを応援して死亡フラグを回避します!
断罪エンドを回避するために始めた“嫌われ作戦”は、ことごとく失敗していた。
むしろ、王太子アレクシスも、騎士団長アレインも、どんどん好感度が上がってる気がする。
「どうして……なんであんなにくそ真面目だったアレインが、こっち見て照れてるの……!?」
このままではマズい。
ヒロイン、つまり“マリア・スノウ”の恋を、私が全力で応援するしかない。
マリア・スノウ。
本来は平民出身ながら魔力を持ち、学園へ特待生として入学した“乙女ゲームのヒロイン”その人。
明るくて純粋で、ちょっとドジで、お菓子が好きで……
絵に描いたような好感度爆上げヒロインである。
なのに──
「セリーナ様、本日はお時間をいただきありがとうございます!」
「……いやいや、私なんかより王子様に話しかけなさいよ! アレクシスはあなたに好意持ってるから!」
「えっ!? そ、そんなこと……!」
──このマリア、妙に私に懐いてくる。
いや、たしかに彼女が“友人になると断罪回避エンド”になるルートがあったけど、それにしてもこれは……なんかおかしい。
「そうだ、学園パーティで王子と踊りなさい!」
「でも……セリーナ様がいらっしゃるのに、そんな……!」
「いいのよ! 私、そういうの気にしない性格だから! むしろ私が場を離れて、あなただけにしてあげるわ! えいっ!」
私はマリアの背中を押して、無理やり王子のもとへと送り出した。
彼女が王子の元へ向かっていく後ろ姿を見ながら、私は安心して飲み物を取ろうとテラスの方へ向かう──が、
「……踊りたかったのに」
「へっ……?」
不意に、背後から聞こえた王子の声に、私は固まった。
振り返ると、そこには――
あれ、さっきまでマリアと踊ってたはずの王太子・アレクシスが、なぜかこっちを見ていた。
「私と踊るのが嫌で、逃げたのかい?」
「ち、ちちち違いますけど!? むしろ! あなたにはマリアと踊っていただきたくて!」
「……君が誰かに譲るなんて、らしくないな。妬いてしまう」
なにそれ!?
もう意味がわからない!!!!
完全に乙女ゲームのルートがバグっている。
しかも、攻略対象が“攻略対象以外のキャラ”と仲良くするのを嫌がってる!?
これはもう、“恋愛回避ルート”どころか……
逆ハーレムフラグじゃない!?
その夜。私は再び、ベッドの上で悶絶していた。
「だめだ……この世界、私が思ってたゲームじゃない……!」
この先、どうなるの? 本当に婚約破棄できるの?
断罪イベントを無事に迎える未来なんて、あるの!?
でも、諦めるわけにはいかない。
「次は……闇堕ちイベントに繋がるサブシナリオ。ここも潰しておかないと……!」
死なないためなら、なんでもする。
これは、命がけの恋愛ゲーム。私は……生き延びてみせる!




