第2話:婚約破棄されるための努力はじめます!
断罪イベントまで、残り一年。
私、セリーナ・グランフォード(中身は日本人OL)、目指すはただ一つ──
「王太子に嫌われて、さっさと婚約破棄されること」!
「ということで、第一作戦よ。無礼で我儘な態度をとって、王子の堪忍袋を破ってやるの」
「……お嬢様、元々少しその傾向が……いえ、なんでもございません」
執事のダリルはそっと目を逸らしたけれど、今日ばかりは見逃さない。
よし、やってやる。断罪回避のために、性格最悪の女を演じてみせる!
翌日。学園のテラス席で、お紅茶の時間。
王太子アレクシス・バルティエ公爵殿下が、優雅に紅茶を口に運んでいる。
この人が、断罪イベントで私に「お前には心がない!」と叫んでくる王子その人。
だけど今日は、そんな彼のプライドをズタボロにしてやる予定だ。
「アレクシス様。このお紅茶、ぬるいわ。私の舌には合わないの。入れ直させなさい」
これで「性格最悪だな」と呆れてくれるはず!
……が、しかし。
「ふっ……気難しいのは、君らしいな。では、私が入れ直そう」
「は?」
目の前で優雅に紅茶を淹れ直す王太子。
え、ちょっと待って……原作とキャラ違わない!?
しかも淹れた紅茶を私の口元に差し出しながら、こう言った。
「君には、どんなに振り回されても構わないと思っている」
なにそれ!? 完全に恋愛フラグ建ってるじゃん!!
その日の放課後、私は頭を抱えていた。
「失敗……いや、むしろ逆効果……!」
嫌われるどころか、王子の好感度が上がったようにしか見えない。
まさか、私の“悪役ムーブ”が王子の性癖に刺さったとかじゃないよね!?
「なら次は、騎士団長アレインへのアプローチを徹底的に応援してやるわ。王太子に浮気女と思われれば、破談も早まるはず……!」
だがこの瞬間、私は知らなかった。
アレイン騎士団長がすでに、私に一目惚れしていることを──。
断罪回避のはずが、逆ハーレム一直線!?
死亡フラグの火種が、静かに燃え上がっていくのであった。




