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第1話:転生したら“処刑される悪役令嬢”でした

気がついたとき、私は真っ白な天井を見上げていた。いや、正確には“天井画”。天使が舞い、バラが咲き乱れる、いかにもファンタジーな豪奢な天井画。


「え……?」


起き上がった瞬間、私の頭をよぎったのは、この光景をどこかで見たことがあるという妙な感覚だった。


部屋の調度品、鏡台に並ぶ香水瓶、ドレスの山──すべてが私には見覚えのあるものだった。


そして、鏡を覗いた瞬間、私は凍りついた。


「……セリーナ・グランフォード……じゃない、これ……私だ!?」


鏡の中にいたのは、金髪縦ロールに涼しげなアクアブルーの瞳。あの乙女ゲーム《ローズ・エタニティ》に登場する悪役令嬢、セリーナ・グランフォードそのものだった。


美しい。けれども、この顔の持ち主は──ゲーム本編で断罪されて処刑される運命だ。


「……ウソでしょ!? 私、セリーナに転生しちゃったの!?」


どうやら私は、交通事故で死んだあと、このゲームの世界に転生したらしい。しかも、攻略対象を片っ端から邪魔して嫌われ、最終的に断罪イベントでバッドエンドになる悪役令嬢に、である。


「……無理無理無理! このままだと死ぬ未来一直線じゃない!」


私はすぐに机に向かい、スケジュール帳を開いた。記憶と照らし合わせて計算すると、今は本編のちょうど1年前。断罪イベントまで猶予はある。


「生き残る方法……あるとしたら、婚約破棄されて早々に身を引くことよね……!」


この世界では、王太子との婚約を破棄された後、国外追放や修道院行きになる例もある。でも、死ぬよりずっとマシ。


つまり──


「よし、全力で嫌われよう!」


王太子アレクシスの気を引かず、むしろ嫌われ、さっさと婚約を解消してもらう。そしてヒロインにバトンタッチ。私は静かに身を引いて、のんびりスローライフを送るのだ。


「セリーナお嬢様、お呼びでしょうか?」


扉をノックして入ってきたのは、執事のダリル。彼もゲームでは攻略対象の一人で、超絶有能な影の実力者だった。


「うん、ダリル。今日から私は変わるわ。……完璧な悪役令嬢を卒業するの!」


「は……?」


目を丸くするダリルをよそに、私はにっこりと微笑んだ。

これから始まるのは、処刑を回避するための“嫌われ努力ライフである──!

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