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謎の少女が降ってきた

今回初めてのラブコメ風の作品です


 

 高校始まりの春、桜吹雪が舞う校門で多くの生徒と親が入学の嬉しそうにしている傍らで一人の少年はスマホを持ちながら焦った表情をしていた、その少年の周りには多くの女子生徒がいるが少年は気にしている余裕はなかった

「参ったな~、あいつまだ寝てるのか?」

 少年は高校の門をくぐったその時から高校生活の始まりであったが、彼はもう一人の高校生の始まりを心配していた

「起こした方が良かったか?でもあいつの寝起きはひどいし」

 少年は周りの女子の事が目に入っていないのか?いつまでももう一人の高校生・・友人の事を考えていたが、時刻は既に入学式の始まりに差し掛かろうとしていて騒がしかった校門は静かになりかけていた、少年は待つことに限界を感じて他の生徒と共に入学式が行われる体育館へと足を運ぼうとするが

「ひゃあ!」

「ん?」

 足を向けると同時に女の子の声が聞こえた、声の方向を向くと一人の少女が顔を押さえながらも走ろうとしていた、黒い髪を背中の真ん中まで伸ばしていてサイドテールもついている、しかも髪にはインナーカラーも入っていた、どうやら走っている最中に転んでしまい顔を地面にぶつけたのだろうと少年は察して少女に歩み寄る

「大丈夫ですか?」

「ひゃあ!えっと・・だ、大丈夫です!あ、時間が」

 少女は少年の手を取らずに体育館に向かって走る。少年は「おっちょこちょいだな」と思いながらも少女の後を追うように体育館に向かって走っていった、二人の後には不自然な風が吹きいくつもの桜の樹を揺らしたのであった。

 

「うううう、いきなり失敗しちゃった」

 少女は先ほど転んだことを思い出しながら、生徒の列に並んだ、この学校では新入生は来た順に並んで入学式を受けるのだと先ほど先生に教えられたが、必然的に彼女の隣には

「あはは、でも間に合ってよかったじゃないか」

 自分の失敗を知っている少年が座るので少女は更に顔を赤くした、勿論自分の不注意なので誰を責めることもしない・・というか自分を責めている、少女は恥ずかしさを抑えながらも入学式が始まるのを待っていると

「すみませーん!雨野時雨(あめのしぐれ)君はいますかー」

 教員の声が体育館中に響き渡る、少女は誰かが来てないのだと思い色々不安になるが、隣の男子生徒は頭を押さえながらスマホを起動する

「あいつ・・・完全に遅刻だよ」

「はい?」

「ああ、しぐれ・・雨野時雨って俺の友人でね、今日もあいつの高校デビューのはずなんだけど、寝てるな」

 どうやら隣の男子生徒は今教員の中で騒ぎの元凶となっている生徒の友人らしい、その生徒に連絡を取ろうとするが、先ほどまで既読が着かずに焦っていたが

「すいません!雨野は俺の友人で今連絡が取れました」

「本当ですか?それで彼は?」

「寝坊で遅刻だそうです」

「前代未聞ですね、入学式に遅刻なんて」

女子教師があきれながらも他の教員に話に行こうとするが、隣の男子生徒も連れてかれた

「俺も!」

「君しか連絡手段がありませんから」

「あ、あの野郎!」

「気持ちは分かりますが決定事項ですので、行きますよ」

「起きろよおおおおしぐれえええええ」

 残された少女は男子生徒に向かって静かに心の中で合掌をして入学式の始まりを迎えた

「せめて、無事に戻ってください」

 少女は祈りながらも入学式の始まりを迎えた少女であるが、在校生が入ってきたと同時に自分の隣の開いている二つの席に注目が集まる、と言うか人数の関係上で少女は最後尾にいるだけでなく並んでいるのは少女だけなので自然と注目が集まる。少女は恥ずかしそうに顔を下に向けようとするが、時折体育館の外から「早く起きろばかやろおおおおお」と男子生徒の怒号が聞こえるので彼に申し訳なくなり、せめて自分だけはちゃんと受けようと入学式には胸を張って時間を過ごすのであった。

 

「えー三組の皆さん!初めまして、このクラスの担当をすることになりました三雲と言います」

 入学式の後に少女は何人かの生徒と共に自分のクラスの教室まで向かった、どうやらクラスの方も早い者勝ちという風になっているのか?少女は入学式の前に叫んでいた女性教員のクラスになった、因みに女子生徒の後ろの席は二つとも開いている、女子生徒の席は窓際であった

「この一年間はこのメンバーで過ごします!まぁ初めての高校生活でみんな仲良くは難しいかもしれませんが、それでも仲良くしたいです!でもいきなり一人の生徒が遅刻でもう一人の生徒が巻き込まれていますが」

 彼らの事であると瞬時に把握した少女はクラスメイトの自己紹介を聞いている傍らでふと窓の外を見ると

「ようやく来たのか?時雨」

「ああ、起きた」

二人の男子生徒が校門の前で話していた、先ほどあっていた男子生徒の隣には暗い髪色の男子生徒が立っていた、さっきまであっていた男子生徒は眩しいほどの金髪を切りそろえていて、スポーツマンのような髪型をしていたが、今来た男子生徒は夜のように暗い髪色で全体的にも暗い表情で暗い空気をしていた

「夜・・みたい」

 少女は外の光景に目を奪われているので、今の状況に気づけなかった

「・・・えっと、山風?さん?」

「あ、はい!あ・・・」

「自己紹介お願いできますか?」

「は、はい」

 顔を赤くして机にうつむくが、直ぐに持ち直して教室の全員に声をかける

「や、山風やまかぜ まいです。趣味はランニングと登山です!よろしくお願いします」

 彼女・・舞の自己紹介に拍手が巻き起こる、初めての自己紹介に緊張したが、クラスメイトの反応を見ると心配はないと思い席に座るが、

「では残りの男子二人は明日強制的にやらせます、なので皆さんまた明日です」

「え、今日は?」

「・・・・山風さん、教師と言うのはね?大変なんですよ、因みに明日から本格的な授業をします。はぁ教師やめたい」

 え、いいの?と言う言葉を全員飲み込んだが、三雲という教師は顔を曇らせながら(と言うか頭の上に雨雲が見える)教室を出る、残された生徒は皆連絡先の交換をしようとクラスメイトの集団が出来上がるが

「ねぇ山風さん?」

「は、はい」

 舞は連絡先の交換のしている最中にいかにもお嬢様のような雰囲気の人が話しかけてきた、茶髪の髪を右に流して、大きな胸の前で腕を組んでいた

「なんですか?」

「貴方、弟の知り合い?随分と仲良さげだけど?」

「弟さん?ですか?」

「ええ、入学式で沢山の女子に囲まれてたり、先生たちに連れてかれた男子よ?私の双子の弟なの」

 記憶を遡る必要も無く、対象人物が頭に浮かぶ、

「あ、あの人お・・・不幸体質の」

「ええ、不幸が服着て歩いているあの子」

「あの人とは入学式っで転んだところを助けていただいたんです、流れで一緒にいただけですよ」

 女子生徒は何かを考えるしぐさをした後に取り巻きのような生徒たちに連絡先の書かれた紙を渡されて舞に言った

「ではね、素敵なお姫様」

「え、あの」

 現実についていけないような表情をするが、そんな彼女をおいて

「東河 恵覚えておいて」

「あ、はい・・恵さん」

 舞はなぜ彼女があのような行動をとったのかと分からずにいたが、小声で取り巻きの一人が「認められた」と言っていたのでとりあえずよしという事にした。クラスメイトとの大まかな連絡先の交換を終えてすぐにクラスメイトの親睦会を行う者もいるが「強制参加じゃなくて、自由参加・・というかある程度仲よくしよう」という中心人物の発案で二つのグループに分かれていた、舞はあるグループに入ることになったが、今回は一人で学校の見学をしようとしたのだが

「気づけば、校門に・・・私ってなんで」

 舞は自他共に認めるおっちょこちょいであり、それを直そうとしているが、直せそうもなかった

「そもそも、この学校に来たのだって・・・長老達の決定だし」

舞は学校に通う前日の事をおもいだしていた、舞は山奥の小さな村で友人の多くと過ごしていた村の学校でも舞は優しく、かしこい子であり将来はこの村で過ごす事を決めていたが、

「え?学校ですが?」

「ああ」

 舞は自身が住む長老たちに囲まれていた、しかもその長老の多くには黒い羽が生えていた

「わし等が烏天狗なのは知っているな?」

「・・・知りたくないです。」

「顔を背けるな!まぁそれでな、わしたちの多くも人間たちの世界に住むものとこのまま山で生活する者達と分かれておる」

「やりたいようにすればいいのでは?」

「その意見は最もだが、そう簡単にはいかんのだ」

舞と話しているのは多くいる長老たちの中でも一番偉い人でその人は自身の背中にある巾着袋からある本を取り出して舞に見せた

「なんですか?これ?」

「まぁよくある物だ、妖怪百科みたいな物でな、そこの多くに共通して書かれている物がある」

「?長老たちは頭が固すぎる~とかですか?」

「あながち間違いではないな、人と妖怪は共存ができない物だ、勿論それは正しくもないし、間違いでもないが」

 一番偉い長老はいつの間にか煙草に火を付けていた

「妖怪の中にも人と共に生きる事を望むものが多くいる、お前のように人間との間に生まれた者も珍しくはないが、その逆にわしらとあやつらの世界は分かれて当然という意見もある」

 舞は周りの長老たちの目線を改めて確認すると、自分に対して敵意を持つ者も確認できた、古くからまがい物は腫物のような扱いをされてきたので舞は自分が異端な存在だと分かっていたが、それでも彼女の両親は彼女に抱えきれないほどの愛情を捧げてきた、長老達もそれは理解しているが、同時に自分たちが別の扱いを受けることも危惧していた

「どちらかの意見だけを聞くことはできんし、わしはやりたいようにしてくれればいいが・・・そうもいかんからな、解決はできないが材料を集める事はできるじゃろう?」

「それと私が人間の学校に通う事と何の繋がりが?」

「簡単に言えば、お主には人を見てもらいたい、勿論人の世界にいる間はお主の好きにして構わん」

というように、舞の事をあまり考えずに(まぁ大長老だけは彼女の意志を尊重しようとしたが)決定してしまった、舞自身はどちらでも構わないがせめて自分の意志は聞いてほしかったが、大長老のいう事は聞く主義なので舞は最終的に了承した。


「はぁ、なんでこんなことに」

舞はため息をつきながら校門の近くの木に登りため息をついていたがそのままでいるのも可笑しいので木から降りようとしたら、

「あ、あぶな」

バランスを崩して、落ちそうになるが、羽を使って何とか無事に着地をし

「ん?」

 世界が停止した、そして思った「隠し事はばれる物」と言う言葉はあながち間違いでな無いと、そしてちゃんと周りは確認するべきだと・・・山風舞はその人生を諦めて来世に期待した、なぜなら

「・・・カラスみたいな羽だな、しまったが」

目の前の男子生徒、雨野時雨に見られてしまったからであった、そして舞は

「来世は自由な鳥になりたいな」

 完全に今の人生を諦めていた。

 

  

はい・・主人公君です。舞ちゃんはヒロインです。

時雨君は無口系ではなくて、九割無口の子です。

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