十七
『虚の王』との戦いが一段落した景黒は昔の夢を見ていた…。
それは、景黒と白朧の出会いと番に至るまでの夢…。
残念だけど甘酸っぱいラブロマンス的なものは期待しないでね?
だってねぇ?ボクがいた場所がアレだよ?
毎日命がけで殺し合う戦場の地。
異形ノ者共がワラワラ出て来て、そいつらの屍がそこら中に転がっている所だよ?
そんな地に恋愛イベントが発生すると思うかい?
えぇ…。時と場合によっては発生するのもある?
ふーん…まぁ、キミ達が言うならそうなんだろうね。
でも、ボク自身そんな恋の予感とか全く感じなかったな。
あの時のボクって彼の事───
『虚の王』編が終わり、次は『景黒の夢』編が始まります!
『王』を倒して疲弊したボクは深く眠った。
相当疲れてたからかな?
久しぶりに少し前の夢を見たよ。
内容はボクと白朧の最初の出会い───。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆
あれは丁度ボクがいつもの様に『虚』から出てくる異形ノ者共を殺している時だったかな?
突然前触れもなく彼が現れ、戦闘に割って入って来たかと思えば、ボクが相手していた異形ノ者共を全部倒してしまっただよ。
白朧は奴等がいないか周りを確認した後、何だコイツと言う目で見るボクの方に眼を向けた。
「お前……その姿、龍なのか?」
この時もボクは龍体ではなくヒト型になっていた。
というか、彼奴等と殺り合う時の殆どはヒト型にしているのだけど。
理由は前に話した通りさ(九話参照)。
「ヒト型に変えてるけど正真正銘本物の龍だよ。
ほらちゃんと角も尻尾もあるだろう?」
「確かに、龍の気配もするな」
「でしょ?」
ボクの可愛い尻尾と角を見せてあげると、納得した彼は次に眼を鋭くして睨んできた。
「それよりも、お前…」
「?何だい?」
「死にたいのか。この場は絶対に入ってはならない禁忌の地だというの知らないのか?」
「………は?(禁忌の地??)」
「いや、そもそも禁忌の地を管理する『番龍』が他の龍が入らないように見張っている筈…。
まさか…役割を放棄をしたのか?」
「何言ってインのコイツ」
思わず声に出して言ってしまった。
幸い『番龍』の姿を探している方に集中していた彼の耳には入らなかった。
でも声に出してしまったボクは悪くない。
いるでしょ目の前に。
ボクと彼奴等の戦闘を目撃してなかったとしても、ボクの周りにボクが殺した奴等の屍がゴロゴロ転がっているのが見えないのかな?
彼奴等の返り血もしっかり付いてるでしょう?
キミ若い龍なのにもう視力低下が始まったのかい?
龍達の集落に戻ってその眼診て貰う事をお勧めするよ、あと頭も。
あとね、『番龍』の役目は『虚』の監視と、そこからほぼ毎日開いちゃう穴に出てくる異形ノ者共を殺して、終わったら穴に蓋するってだけの血生臭い重労働なんだけど。
ていうか禁忌の地?初めて聞いたんだけど?
禁忌の地というのに部外者が入ってこない様にするとか、そいつ等を守るってそんなの役目の対象に入ってないよ。
当たり前でしょう?こっちは命がけの殺し合いをしているのだから、他龍にまで眼を向ける余裕なんてないんだけど?
ここに入るのは勝手だけど自分の命は自分で守って。
死んでも自業自得って事で宜しくね!
まぁ、余裕があったら助けはするけど……あったらね。
と、言いたかったけどボクは空気を読んで、彼に教えてあげたさ。
「その『番龍』ボクだよ?」
「......................は?」
「ボ、ク、がっ!そのっ!『ば·ん·に·ん』ですよ~」
「..............」
いい笑顔で言ってあげたよ。
綺麗な碧い瞳をまあるく開き、信じられないという眼でボクを見る彼。
まぁ、信じられないのも無理かもしれないね。
アハハ、視た感じ自分と対して変わらない年の可憐でかわいい雌の龍が『番龍』なんて思わないもんね。
その後、ここが龍達の間でどう言われているかを知った。(勝手に彼が話した)
龍達の間では、見た事のない異形の化物が瘴気を振り撒きながら練り歩く、穢れた禁忌の地と伝えられていた見たい。
過去、その地に入ってしまった龍達は彼の祖父以外、誰一体と帰って来なかったので彼等は恐れ、特に幼い龍には絶対に行ってはいけないと語っていたらしい…。
因みに『番龍』の事はその生還した祖父から聞いたとのこと(役目の部分がちょっと間違ってるけど)。
何か勝手に禁忌の地とか呼ばれてしまっていたけど、特に気にはしなかったしどうでもいいかな、と初めは思ったんだけど…。
「(ふむふむ…話している感じ『虚』の存在は知らないみたいだね。ふーん…)」
話し終えた彼は『番龍』の役目に違和感を感じたようで、それに関して聞いてきたから簡単に、ちょっと嘘と真実を隠して説明をする。
この土地に発生した化物が、彼等の言う禁忌の地から出ないよう闘っている事。
龍達を守る為に闘っているのではなく、寧ろ助ける余裕など無いから、迷って入ってしまった龍に関してはもう自己責任だと言った。
「………」
「それで?何で一般龍のキミは入っちゃいけない禁忌の地に足を踏み入れたんだい?
もしかして迷子?それとも自殺願望かな?」
「……どちらでもない」
「そう。まぁ、キミの目的なんて興味ないし勝手にすればいい。ボクは何も言わないし咎めないよ。
ただし、ボクの役目を邪魔するなら話は別だけど…」
紅い目をすうっと細め、もう来んなさっさと帰れと意味を込めて龍気を放出した。
だけど、彼全く発した龍気を読まずその場を動かない。
「(はぁぁ……ここ一月昼夜問わず出てロクに睡眠が取れなかったんだよねぇ…。今回の大波は収まったから暫く彼奴等も少数しか出てこないでしょう。今の内早く帰って身体洗ってさっさと休もう)
とりあえず忠告はした。
最後に、暫く彼奴等は出てこないけど、瘴気は残っているから早めにここから去る事をお勧めするよ。
じゃ、ボクもう疲れたから帰るね」
「…お前はずっと一体でこの地で化物と闘っているのか?」
「話聞きいてた?
はぁ…『番龍』はこの世界の核の一部から生まれた、特殊で物凄ーーく強い龍で一体しか生まれないんだよ。
だから、彼奴等はわんさか出ては来るけど、ボク一体だけで十分なのでご心配なく。
(…戦力の話は本当だけど、出生に関しては嘘。
本当は世界が死にたくないって必死に願って、それを偶々起きてた□が聞き取って結んだ契約の元に生まれたのが真実だって話さ)」
ほらよく言うでしょ?
世の中知らなくていい事があるって。
ただ、これは世の中レベルの話じゃないけどね…。
「物凄く強いとは、随分自身がある言い方だな」
「本当の事だからね。ねぇ、もういいかい?
ボク本当疲れてるから早く帰りたいんだけど?」
「あ、ああ。その、最後にもう一つ聞いていいか?」
「……手短なやつなら」
盛大に顔を顰めたけど一応聞いたよ。
あれ絶対聞いておかないと彼、ボクの巣まで付いて来そうと感じしたからね。
すると、彼は何故か少し恥ずかしそうに、口をモゴモゴさせながらも小さな声で言ったよ。
「…ま、また、ここに来て、お前に会いに来てもいい、だろうか?」
「え?ヤダよ。戦闘の邪魔になるから」
間髪入れずに即答したボクは、今度こそ彼を残してその場を去った。
10/30
投稿して早々かなり書き直しました!
読んで頂いた皆様、混乱させてしまい申し訳ありませんっっ!!(_;´꒳`;):_




