十五
「どうだい?『王』さま?
初代番龍からボクの身体を貫く瞬間まで数万年の時間を掛けて生成した真の“血毒”の味は?」
向こうが聞こえてるかどうかは知らないけど構わず
続けた。
「初代の番龍はね、知って入ったんだよ。この『虚』の底に『王』の存在が在った事を、ね?
だから、お前がいつか外の世界に出てきてボク等番龍と戦う時が来た時の為、お前を確実に殺せる血毒を初代の龍からボクの代に至るまで、長い時間を掛けて作ったの。
ふふ、切り札だからね、お前にこの血毒の存在がバレないように体内じゃなくて、自身の『中』で作ったのさ。
それと体内だと大怪我負った時に流れちゃう可能性あるしね。
外界と遮断されている自身の『中』なら安心して、ボクを含め先代達の血を継ぎ足して作り上げてきた血毒を生成できたのさ。
……まさかボクの代で使うとは思わなかったけど……」
ただ、数万年の時間を要して作られた特別な毒でも、数多の世界を喰らい続けたコイツを死に至らしめる事が出来るのかは正直不安だったよ。
でも幸運な事に、この戦いの場所『虚』底の大地が『王』を血毒の効果が絶大に発揮できる地だった事が勝利の鍵になった。
その事に運良く気づけて良かった、と言うのは言わない……。
「さて、と……、毒の話はもういいかな。後は……」
{繧ッ繝ッ繧サ繝ュ繧ッ繝ッ繧サ繝ュ繧ッ繝ッ繧サ繝ュ繧ッ繝ッ繧サ繝ュ繧ゥ繧ゥ繧ゥ!!!!}
「………はぁ」
切り札の血毒を食らい瀕死の重傷を負っているハズなのに、ボロボロの巨体をブルブルと大きく震わせながら、最後まで生き足掻いている大口がボク何か言っていた。
「多分だけど喰わせろって言ってるのかな。
残念だけどそれはもう永遠に来ないよ」
四十四のあらゆる生命・概念に致死の効果を持つ血毒は、『王』の再生、魔力を生成する器官と生命維持器官を今も尚破壊し尽くしている。
あと、数時間で絶命する……。
それなのにこの『王』がここまで動けるのは、眼の前にある数多の生命・存在・世界・概念を全て腹に収めて満たされたいと言う、“喰”に対する本能が自分の命よりも強いからなんだろう。
……皮肉な事に本能が邪魔して満たされる事なんて無いと分かっていても。
まぁ、その飢えももう終わるんだけど。
「はぁ……本当は、すっっごくヤなんだけど、これも万全な状態で白朧に再開する為…うん」
盛大に顔を顰めるボクは今、弱々しく脈打つ“核”の目と鼻の先に立ち、それを両手で鷲掴み抑え込んで鋭い爪を立て暴れないように固定する。
“核”に顔を近づけ大きく口を開け───そして、
「───いただきます」
禍々しく光る赫い“核”の肉に思い切り牙を立て喰らいついた。




