十二
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ジュウゥジュウゥと肉の焼ける音とその不快な臭いが、『虚』の底中に広がる。
「(……いつもの毒は微妙だったか……。
否、全部深い所まで達していないからちゃんと効果が出てないのか?)」
『番龍』の血は異形ノ者共達にとっては強力な猛毒。
この血毒は一つ特殊な毒で、ボクの持つ魔力を加える量と質によって効果が変わる。
どの血毒もある程度の量を取り込んでしまえば、その個体によって巡りの早さと効果は違うけど、確実に殺せる。
最も、この血毒を使うにしても問題は結構あるんだけどね。
一、猛毒ではあるが即死効果はない。
ニ、殺すとしたら、対象の核付近まで巡らせる程与えるか直接核に毒を叩き込むしか無い。
(表面の皮膚に血毒が触れた場合でもショック死することもあるが、大抵は焼けてるか、腐り落ちるか、壊死するか、だ)
三、ニの毒を巡らせる場合、図体がボクよりデカい奴にどの位の速度で毒が全身を巡るのか不明。
四、核に辿り着くまでに、どの位の量の血を使うのかも不明。
五、戦ったことが無い『王』にどの毒が一番効くかは、ほぼ手探りで試してかないといけない。
(今までの異形ノ者共は大体同じ個体が殆どで毒も殆ど同じ効果の物を使っても問題なかった)
その中で一番の不安要素は三と四だ。
当たり前だけどボクの血は無限にあるわけじゃない。
龍気で回復して増血するのだって限度がある。
初めは少し様子見程度で、でも血を使う量に気を付けて、ボクの血が含まれた氷の槍を何本か喰らわせた。
……結果は前述の通り、微妙なものだった。
刺さる前に奴が血毒が自分にとって良くない物と察したのか、血毒が付いた氷槍刺さる前に、皮膚を目茶苦茶固くしたのだ。
氷槍の殆どが砕けたげど、硬化が遅れた場所は刺さった。
……皮ニ枚程度しかいかなかったけどね。
肝心の毒の効果はただその部分が焼け爛れた程度だったけど、回復はせずゆっくりとそれが広がっているのが確認できたから少しは効果はあるのは分かった。
ただ、その後腹立つ事に奴がその部分を切り落としてまた再生してしまった。
どうやら、毒が回りきる前に切り落とせばいいと初手で気付いてしまった様だ。
同時にボクがヤツを血毒で殺そうとしているのにも気が付かれた。
本当、普通の奴等より知恵があるのとの戦闘は面倒くさい。
「(向こうに気付かれても血毒で殺すのは変わらないけどね。
ただ、どうやってあの面倒臭い皮膚を攻略するかだよ。さて、どうするかなぁ……ん?)」
襲い掛かって来た触手を横に飛んで避けた時だった、着地した自分の足元を見た。
「地面がある?」
あの時は殆ど余裕が無かったから気付くのが遅れてしまったんだけど、あの貪食な異形ノ者共の住処の『虚』に外の物と殆ど変わらない地面があったんだよ。
何で地面があるだけで大袈裟に驚くんだと思うでしょう?
それは何回も説明したけど、異形ノ者共は何でも喰らうのは覚えているよね?
それは普通の地面も捕食対象になる。
奴等が食った部分は何も無い『無』になる。
そう、何も無いんだ。
でも、この異形ノ者共の住処であるこの『虚』には何故か地面がある。
喰われた形跡が無い地面が、だ。
地面だけじゃない、ここには大小形の違う岩もゴロゴロそこら中に転がっていた。
「ふぅん」
表情には出さなかったけど、内心ボクは悪い顔して笑った。
だって、長年の本能で察したんだもの。
───これは使える、と。
どういう事情で奴等がこれらに食手を向けないのかはわからないけど、これを利用しない手はない。
正直、未知の場である『虚』にある物を使う事で何が起こるかは予測は出来ないけど、外で待っているはずの白朧に再開する為なら、それを躊躇う気持ちも恐怖も一欠片も無かった。




