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ニャダスとノランダン

 案の定、冒険者ギルドに着くと、ニャダスが乗り込んできていて、ラトタスを出せと暴れていた。


あたしは、ニャダスの態度に困惑しつつも、冷静に対処しようと心に決めた。

 自分の身を守るためにも、落ち着いて対応しなければならないと思った。


「ニャダス。あたしは、ここよ。

 ここでトラブルを起こすつもりはないわ。冒険者ギルドは、世界を平和にするための場所でしょ?」


 ニャダスが手にしているロープを見つめながら、穏やかな声で続けた。


「お前!ラトタスをどこに隠した!早く出せ!金なら持ってきたぞ!1億オクならいいじゃろう!」


「いくら積まれても売らないわ。

 あたしは、冒険者ギルドマスターのノランダンに会いに来たの。交渉があるならノランダンの前でして。

 あなたに何か正義があるなら」


 ニャダスが一瞬躊躇したような表情を浮かべたが、一緒にノランダンに会うことになった。


 冒険者ギルドの内部は、活気に満ちていた。様々な種族の冒険者たちが、任務の情報を交換したり、新しい仲間を募ったりしている。


 ギルドマスターの部屋についた。

 若いエルフのノランダンは、堂々とした雰囲気を漂わせて、冒険者ギルドの会議室に座っていた。あたしとニャダスが入ってくると、彼はニャダスを見つめ、不審そうな表情を浮かべた。


「あたしは、ロム・カリン。

 ニャダスがあたしのラトタスをお金を積んで無理やり奪おうとして困ってるわ。

 こんな横暴なことをする人が、この街の商業ギルドマスターだなんて!」


 あたしは、猛抗議するつもりだ。

 ノランダンがゆっくりと口を開いた。


「私は、ゾゾ・ノランダン。ジューケイの冒険者ギルドマスターだ。

 なぜ、こんな大騒ぎを起こしているだ?ニャダス。お前らしくない」


 ノランダンの問いに、ニャダスがやっと説明を始めた。


「今年のロボットリーグに勝ためじゃよ!知っているだろう?

 サザランガ商会のやつらがやりたい放題なのを!」


 ニャダスは、ノランダンの冷やかで厳しい目つきに対峙して、堂々と主張を続ける。


「私利私欲のために暴利を貪るサザランガ商会を倒すために、娘のロボット、ラトタスの力が必要なんじゃ」


 やれやれという表情でノランダンが呆れている。


「商業ギルドでもロボットを作っているだろう?なぜカリンから無理やり奪おうとする?」


「商業ギルドで開発した技術は、ロボットも技術者もサザランガ商会に丸ごと奪われてしまったんじゃ。

 今夜のサザランガ商会が出すロボットも、実は、商業ギルドが作ったものなんじゃ。おかげで、こっちにはロボットがない!

 あいつらやることが汚すぎるんじゃ!」


「だからって、あたしのラタトスを強奪しようとするなんて、ニャダスだって、悪徳よ!」


「それは。。。だから金を積んでいるだろう?」


 ノランダンが間にはいる。


「まぁ、落ち着け、ニャダス。

 言い分は分かった。

 次は、カリンの話を聞かせてくれ。

 どうしてジューケイに?どこからきた?」


 あたしは、ポシェタから取り出したショータの紹介状をノランダンとニャダスに差し出した。


「あたしは、マツモトから来たの。ジューケイにロム万能薬を開業するために。 

 ショータから話を聞いていない?」


 ノランダンが紹介状を受け取って読み始めた。

 その間、ニャダスがやっと己の過ちに気づいて、あたふたし始めた。


「もももも、もしかしてグランドギルドマスターゴーヨンの紹介でマツモトから来る使者というのは、カリンのことだったのか?!」


「これは間違いなくゾゾ家の印。本物の紹介状だね。

 ショータがいつもお世話になっているね。カリン」


 ノランダンが冷静な声で言った。


 ノランダンの言葉に、ニャダスがしばらく黙り込んだ。

 そして、悔しさを込めたような表情で頭を下げた。


「すまん!カリン!

 わしの行いを詫びる!

 商業ギルドマスターとして、恥ずかしいことをした」


 なんて小物。こんなんだからサザランガ商会にしてやられっぱなしなのよ。

 ロボットリーグ、これはチャンスだ。これでロム万能薬の宣伝と商業ギルドに恩を売れる。


「ニャダス。サザランガ商会に勝ちたい気持ちは、分かったわ。

 ロム万能薬の開業を全面的に支援してくれるなら、あたしも商業ギルドに協力するわ」


 ニャダスが唇を噛み締めて頷いた。


 まぁ、これでよしとしよう。


 ノランダンは、落ち着いた口調でニャダスに向かって言った。


「よし、これで騒ぎは収まったようだな。

 改めて、カリン、ようこそジューケイへ。

 ジューケイの予選優勝者ライライも後ほど紹介するよ」


 ニャダスは、ノランダンの言葉に感謝の意を示すと、改めて謝罪の言葉を口にした。


「ノランダン、不恰好なところを見せてしまったな。すまんかった」


 ノランダンがニャダスの態度の変化を見て、少し和らいだ表情で言った。


「ニャダス、お前が街のことを思っていることは分かっているさ。

 過ちは誰にでもあるさ。カリンが協力してくれることになってよかったな」


 こうしてあたしは、商業ギルドの代表として出場し、同時に自分の目標であるロム万能薬の宣伝の機会を得た。


 夜になっていよいよ、今年のロボットリーグ決勝が始まる。

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