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キーラからの手紙

 ダダダッ


 階段を駆け上がる。


 プルーンとぶつかりそうになる。


「きゃあ!アシュリ様!お気をつけて」


「プルーン、ごめん!」


 私は、とにかく急いでいた。早く、大広間に行かないと。


 バーン!


 勢いよく扉を開けて大広間に飛び込む。


 そこには、ゾゾ長老とエタン、ソニレテ団長、カリファ、メルロ、クロロ、パンセナ。いつもの面々がすでにそこにあつまっていた。


「アシュリ、遅いぞ」


「はぁ、はぁ!それでみんなどこに?」


ゾゾ長老がゆったりとこちらを見る。


「まぁ、アシュリ落ち着け。と言っても無理か。わしだって、昨日の夜は、興奮してどうにかなりそうじゃった。

 今朝、古代博物館で研究の合間に仮眠をしていたら、司書のゴーレム、ルーマンが動き出したんじゃ。

 しかも、筆談ができたんじゃ。わしは、驚きながらカリンとピッケルと筆談を交わした。

 なんと、カリンはパナードの反対側、ピッケルも遠い遠い砂漠に飛ばされてしまったらしい」


 ええ?出発してまだ3日でそんなことに?!


「それで、ピッケルとカリンは無事なの?」

 

 思わずゾゾ長老につかみ掛かるように詰め寄る。


「無事じゃ。カリンは草木の精霊の元におる。ピッケルは、光のドラゴンを目指すそうじゃ」


 はぁ。今のところ無事なんだ。力が抜けて、床にへたり込む。

 ゾゾ長老を見上げると、ゾゾ長老が平気な顔をしている。なんでこの人はいつも堂々としているんだろう。


「大丈夫じゃ。アシュリ。お前がうろたえてどうする。大変なのは、パナード中に飛ばされた彼らじゃ」


 そうだ。その通りだ。よろよろと立ち上がる。


「他のラカン、キーラ、ガンダル、ヤードルは?」


 なかなかしぶとそうな面々ではあるけど。


「それは、ちょうどさっき伝書鳩からキーラの手紙が届いた。

 ラカン、キーラ、ガンダル、ヤードルは、怒っている時空と水の精霊ゴリムートに遭遇したらしい。

 そして、転移の魔法でパナードのどこかにみんな飛ばされてしまった。おそらく、ピッケルとカリンを転移させたのもゴリムートじゃろう。

 キーラは、氷の地域に1人飛ばされたが、自分が帰る場所に設定した場所に帰る時空の魔法ホウムでマルキド国に自力で転移して帰ることができたということじゃ」


 時空と水の精霊ゴリムートは、どうして怒っていたんだろう。

 確か、キーラが時空の精霊パルキオがピッケルを危険視していると言っていたけど。関係があるんだろうか。


「ラカンとガンダルとヤードルは?」



「それがわからんのじゃ。パナードのどこかに転移させられたということは、間違いなさそうじゃ。

 無事だといいんじゃが」


「そんな。どうしてこんなことに」


「ピッケルとカリンと毎日筆談できるだけでも、幸運だったと思うしかないな。 

 あとは、地道に情報を集めるしかない。

 それに、まだまだ大変なことがあるんじゃ」


 確かに。連絡がとれたり情報を交換できるというのは、大きい。ゴレゴレム、すごい魔法だ。

 円卓の上には、何通かの手紙や文書がある。


「ほかにも?」


「そうじゃ。また別の文章がアレイオスのエタン宛に届いてな。エタン、説明してくれ」


 エタンが重い表情で円卓から立派な巻物を手に取った。


「蛮勇王ガラガラからの宣戦布告だ。懲りずにまた、攻めてくるらしい。

 蛮勇王ガラガラが言うには、アレイオスのエタンは、正式な国王であるザーシル王から国の実権を奪った簒奪者だと。

 蛮勇王ガラガラは、ザーシル王が元の王座に戻ることを助けるために、逆賊エタンの牛耳るアレイオスを攻め滅ぼし、再び栄光のプリンパル国の再建を助ける。ということらしい」


 なんて強引な。

 ゾゾ長老も呆れている。


「蛮勇王とはよく言ったものじゃ。ザーシル王を操り人形にして、自分の支配下に置くつもりじゃろうて。

 エタン、どうするつもりじゃ?」


 エタンが勝負師のようなギラリとした目でみんなを見渡す。

 こういう時のエタンほど頼りになる人はいない。


「そうですね。

賢王パピペコに書簡を送りましょう。

 実は、賢王パピペコとは、個人的に繋がりがありまして」


 賢王パピペコと?!人付き合いが得意な人ではないと思っていたのに、そんな人脈が?


「どうせブブンパの愛好の友と言ったところじゃろう」


 なるほど。


「ご明察。

 表立っては、プリンパル国とマルキド国は、あまり仲が良くない体裁にしています。

 それは、いざと言うときにゴリアテ国を挟撃するための仕込みを隠して、蛮勇王ガラガラを油断させるためです」


 策士だな。外交のことはよく分からないけど、裏の裏をかく。そういうものなんだろう。


「なるほど。

 では、あえて蛮勇王ガラガラをプリンパル国に誘い込むということか」


「そうですが、何度もカラメルに侵攻されるのは、面白くありません。ペカリ・ゾンビのせいで荒廃したとはいえ、王都は王都です。

 そこでクロロを王都の守護に派遣します。彼なら王都を守り、王都に残る貴族たちを、懐柔できるでしょう。

 今更ザーシル王が戻っても、利益などありません」


「なるほど。王都カラメルの周りにはペカリ・ゾンビを封じた壁があるからな。守りは強固じゃ。

 エタンの策を授ければクロロなら充分守り切れるじゃろう」


 確かに、あの壁は城壁にも使えるな。みんなで作った甲斐があった。

 レゴレの発見以降、世界の見え方や戦いのあり方が大きく変化してきている。


「蛮勇王ガラガラをカラメルで足止めしている間に、賢王パピペコがゴリアテ国に侵攻します。

 退路を断たれた蛮勇王ガラガラとザーシル王を滅ぼします。

 そして、賢王パピペコと統一国家樹立に向けて歩み寄りましょう。

 私は、宰相が落ち着きます。国王はパピペコに譲りましょう」


 エタン、恐ろしい人だ。味方でよかった。

 あぁ、これを見越してエタンが壁を高く作ったのか。

 どの段階からこの展開を読んでいたんだろう。


「ヒッヒッヒ!恐ろしく冷徹な作戦じゃ。

 しかし、それには魔法使いと騎士団の活躍が必要じゃな」


 そんなにうまく行くだろうか?しかし、エタンの策なら。そう思わせる説得力がエタンにはある。

 

「ソニレテ団長、やれますね?」


 最強の騎士、ソニレテ団長。この人がいれば頼もしいこと限りない。


「もちろんです、エタン。私は、正義の剣になって、蛮勇王ガラガラを滅ぼしましょう」


 これからアレイオスは、戦乱に巻き込まれていく。

 でも、きっと大丈夫だ。


 私は、私にできることがなにかを懸命に考えよう。


 きっと世界をよりよくできるはずだ。

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