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魔王の封印

「ドキドキして、楽しかった!

またやりたいな」


 カリンが初めて遊園地に来た子供のようにはしゃいでいる。

 絶叫系が苦手な僕には何も楽しくなかったけど。

 それに、またやりたいんだったら往復すればみんなを運べるんじゃないのか?


「そうでもないか」


 目の前に広がる大きな魔法陣を見ると、人数で解決できるものでもなさそうだ。

 陸上競技の400メートルトラックくらいの広さ。

 魔法陣の紫の光があたりを照らす。ファイポをつける必要もないくらいに。

 ゴツゴツとした平らな面から少し浮くように魔法陣が光る。

 よく見ると古代の魔法文字がくるくると流れて動いている。

 見るからに高度で強力な魔法が使われていそうだ。


「で、ピッケルよ。どうする?」


 どうするじゃねぇ!っと思わずラカンにつっこみたくなる。

 全く見当もつかない。ラカンも分からない様子だ。

 足元でちょこちょこ歩き回りながら、ミニゴーレムも考え事をしている。


「ちょっと見てくるよ」


 魔法陣の周りをぐるりと歩いて見ても、なにも手がかりがない。

 歩いて一周5分くらいかかる。

 ケルベウスが弟を心配するように小さく吠える。


 ガウ、グワ、グルル


 そうだよな。弟、助けたいよな。僕だって助けてやりたい。

 で、どうするかだ。


 ケルベウスが地面に刻まれた円形の魔法陣の外側を爪先で撫でる。

 それだけで手の毛が逆立って、ビリビリとダメージを受けているのが分かる。


「我も入れぬな。入ったら肉体が崩れ落ちそうだ。ピッケルもやめておけ」


 魔法陣の結界に少し手を近づけるだけで、低周波のようなビリビリが伝わってくる。

 ケルベウスの弟もかなりキツそうだ。姉に甘えるように鳴いている。


 キュウ、クー、クゥン


 早く助けてあげないと。

 でもどうすれば。。。

 

 試しに魔王の剣を抜いて、魔法陣に触れてみる。

 剣先がスッと入る。

 でも、魔法陣も切れないし、結界も切れない。


「ダメか。。。」


 ラカンが石を投げ入れる。コロンコロンと普通に転がっていく。


 ふと見ると、ミニゴーレムが結界の中でピョンピョン元気にジャンプしている。


「お前!動けるのか?!」


 結界の中でわーいわーいと喜んでいる。

 ミニゴーレムは結界に入れるのか!

 無生物ならいけるのかな。石の身体のミニゴーレムがダメージを受けずに自由に走り回っている。

 でも、だからと言って、何も解決できない。


 黙っていたキーラがやっと口を開く。


「ミニゴーレムとどれくらい意思疎通できますか?」


「勝手に動き回ってる感じだよ。

 何を見ているのか、考えているのか、分からない。分かるのは身振り手振りだけなんだ」


「そうですか。なんの指示もなく、何も共有しないで、自律して動く。

なんて神秘的なんでしょう」


「そういえば、ラカンが空から落ちきた夜、砂浜で色々試してみたんだ。

 レゴレで作ったミニゴーレムの身体の中に乗り移って動くことができるよ。

 一度に動けるのは一体だけだけどね。

 あと、僕が使える魔法も一部使えるみたい。魔法もミニサイズだけど」


「魔法まで使えるんですね。どれくらい離れていても乗り移れるのでしょうか」


「さぁ。。。」


 ラカンが呆れている。


「人類は、魂について信じられないくらい無知だな。

 我が教えてやろう。魂とはな、時空を超越できるのだ。距離は関係ない。行ったことがあったり、触れたことさえあれば、座標が魂に刻まれる。座標さえ分かれば、宇宙の端から端まで一瞬で移動できるのが魂というものよ」


 座標?

 なるほど、分からん。


 キーラも理解が追いついていないみたいだ。


「確かに魂は、人知を遥かに超えますね。。。なるほど座標か。。。」


 座標について、キーラには心当たりがありそうだ。落ち着いたらキーラに聞いてみよう。


 

 しばらくすると、キーラが何かひらめいたみたいだ。


「ところで、ピッケル。ポムルスをケルベウスの弟に届けて食べさせることはできますか?」


「おーい!ミニゴーレム、こっちにきて!ポムルスをケルベウスに食べさせてやって欲しいんだ」


 ミニゴーレムがちょこちょこ小走りで魔法陣の中から出てきて、バンザイしてポムルスを受け取る。

 魔法陣に入るとポムルスがボンッと爆発して、コナゴナになってしまった。

 爆発の反動でミニゴーレムがコロンと転んで受け身を取る。


「植物もだめか。。。」


 むしろケルベウスの弟はよく耐えている。よほどの強さなんだろうな。

 

 ミニゴーレムが魔法陣の真ん中あたりに横たわる弟のケルベウスのところに走っていく。

 ミニゴーレムが小さすぎて魔法陣の外から見えない。

 

 ゴゴゴゴッ


魔法陣の中心の地面から石が盛り上がっていく。


 なんだ?


 瞬く間に大きな神殿が現れた。

 なにがどうした?


 ラカンがつぶやく。


「もしや女神様が大地の割れ目を目指せと言っていたのは、これが目的か?

 目指せというのが引っかかっていた。目指して進む途中に、必要なことが起こるということかもしれん。いやまてよ。。。」


 キーラが考え込む。


「ミニゴーレムが神殿を呼び起こしたのでは?さっき、レゴレで作った他の身体に乗り移れるっていいましたよね?誰が作ったレゴレでもいいのかもしれませんよ!

 あの神殿がもともとレゴレで作られて地中に埋もれていとしたら。。。」


 あぁ、確かに。でもあんな大きなものを動かせるのか?


 しばらくすると、ミニゴーレムが帰ってきた。

 ピョンピョン跳ねながら何かを伝えている。

 ジェスチャーゲームみたいで、まどろっこしい。


 ラカンが思いつく。


「お腹が空いたんだろう!我もお腹がすいたところじゃ!」


 ミニゴーレムが違う違うと首を振る。


キーラが小さく手をあげる。


「神殿を動かしたのは君ですか?」


 ミニゴーレムがウンウン頷いて、得意げに小さな胸を叩く。


「なるほど。すごいですね」


 ミニゴーレムが照れくさそうにしている。


「褒められて喜ぶ。。。情緒があるですね。。。

君は何か見つけたのかな?」


 キーラはミニゴーレムとのやりとりが上手だ。

 ミニゴーレムがまたウンウンと頷く。

 それから身振り手振りで何かを伝えようとしてくる。


 なんだろう。扉があって、穴があって、クルクル。

 クルクルってなんだ。

 んー。そうか。


「鍵のかかった扉!?」


 ソレ!という感じで、ミニゴーレムがぴょんぴょこ飛び跳ねる。

 

「でも鍵かぁ。鍵なんか持ってないよ。

 この剣が鍵になるのかな」


 ブルブルとミニゴーレムが首を振る。身振り手振りで、もっと小さい穴だと伝えてくる。だんだん会話ができるようになってきた。

 キーラが僕の剣を指差す。


「古い剣には、柄に鍵などをしまえる細工をしてあるものがあります。

 調べてみてください」


 魔王の剣の柄をよく見ても、何も見つからない。

 キーラに調べてもらっても何も見つからない。


「ないですね。。。」


 ラカンも念入りに剣を調べる。


「ないな。。。」


 ミニゴーレムが剣を見せろと催促してくる。

 ミニゴーレムが剣の柄に触れると、ピョコンと見たことがない形の鍵が出てきた。

 3人で顔を見合わせる。


「お!!!」


 鍵だ!

 ミニゴーレムが嬉しそうに飛び跳ねる。

 剣にも一部レゴレが使われていたということか。

 この鍵を使うってこと?なのか?

 ミニゴーレムが戸惑いながら、頷く。


 分からないけど、やってみるって事か。


「よし、行け!よくわからないけど、扉が開くか、試してみよう!」


 ミニゴーレムが片手を上に上げて、威勢のいいポーズを決める。


 やってやるぜ!ってことかな?


 


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