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土の魔法

 次の日は、キキリの畑の世話から始まった。

アシュリは、魔草の育て方も教えるつもりらしい。



「午前中は、キキリの間引きをしましょう。これくらいの葉が練習用にいいでしょう。育ったキキリには、練習用の1000倍の魔力があります。危ないので、まだ触らないように。

 ククル魔法院では、育ったキキリ1株分を魔力耐久値1と換算しています。

 まず、朝、練習用キキリを自分で収穫すること。そして、午後、気を失って倒れても安全な場所で詠唱の練習をすること。

 この柵の中では、パンセナが火炎草ファイを5株育てています。火炎草は、魔力の耐久値1000以上の人だけが使用を許可されます。危険なので、絶対に触らないこと」



 収穫したキキリの葉は、3日で萎れて役に立たなくなってしまう。国内では育てられる人が少なく、かつ需要も多い、高価な薬草だ。自分で修行できるようにしてくれたのは、ありがたい。昨日は練習用キキリ1枚で限界だった。今日はまず2、3枚取って、1枚ずつ試してみよう。

 また、1枚で倒れてしまうかもしれないし。

 もぎたてのキキリの青々とした匂いが心地いい。


 午後、試してみると、練習用キキリ2枚までキュールを発動できた。2枚目は汗がぐっしょり出て、もう倒れそうだったから、これが今の限界だろう。でも、枚数が増えたことが、嬉しい。魔力の耐久値が0.002に増えたってことだ。勝手にレベルアップの音を想像してみる。



 あらためて、パンセナやアシュリのA4ランクの凄さがわかる。僕が大怪我をした時、練習用キキリの1000倍の魔力があるキキリを100個以上連続で使い切っていた。

 耐久値100以上。いや、ファイを育てているくらいだから耐久値1000は余裕であるんだろう。アシュリの背中がかなり遠く感じる。

 明日は、練習用キキリを5枚収穫してみよう。地道にコツコツ。



 翌日。



 練習用キキリ3枚を使い切ることができた。

 順調に一枚ずつ増えている。

 もしそうなら、明日は4枚になっているはずだ。まだ弱いけど、地道に継続しよう。

 

 そして、10日後、10枚。きたー!!これはすごい。やっと魔力の耐久値が0.01になったぞ!だんだん間引く手頃な葉っぱも少なくなってきたくらいだ。明日、アシュリに、相談してみよう。



 次の日、アシュリがどうしようか思案していた。



「ここまでは順調ですね。

 しかし、困りました。パンセナのキキリは、受注生産で、売り先が決まっています。間引く葉っぱももうないし」



「魔力の耐性値を高めるために、キキリを使いたいんですが。。。難しそうですね。。。」



「そうね。ピッケルも自分用の畑を作りましょうか。カリンの畑の隣を耕しましょう。それがいいわ。その方がカリンの励みになるし。それには、土の魔法を覚える必要があるわね。

土に手をつけて、畑の広さをイメージして。

それから詠唱。

偉大なる大地よ、魔力を蓄えよ!アスパワド」



 アシュリの手が触れた土から魔草畑全体にわずかな光が広がっていく。

 すごい。



「キキリ100株を育てるのには、土に魔力1000を与える必要があります。ククル魔法院では、キキリ100株の畑に100日で魔力1を与えるスピードをDクラスと換算しています。

 スピードが増えるのはすごく時間がかかるので、畑を耕しながら、いい修行になるでしょう。

 スピードAの私でもキキリを育てる土を作るのに3ヶ月かかります。

 ピッケルは3年で畑の完成を目指しましょう。それでスピードCクラスです。カリンとどっちが早く畑を完成できるかしらね。サボらずに、毎日畑作りに励むように。ふふふ。土ができたら、キキリを育てる草木の魔法を教えましょう」



スピードは、1日5時間アスパワドをするとして、

Dクラス100日で魔力1

Cクラス1日で魔力1

Bクラス1日で魔力5

Aクラス1日で魔力10

Sクラス1日で魔力100

SSクラス1日で魔力1000



 アシュリの真似をしてやってみるけど。。。

 ほとんど何も感じない。そう、魔力がない。

 でも、ぐっと集中すると、深い場所に微かな魔力を感じる。これを地表にまで吸い上げるのか。気が遠くなるような作業だ。



 土には、微量の魔力が含まれているが、より深いところにある土や岩石にはより魔力があるとされている。

 地面に手を触れて、より深い地中から魔力を吸い上げるイメージで畑の土に魔力を与えていく。

 地面は、全く光らない。なのに、汗がじっとり流れる。



「はぁ、はぁ。もう無理です」



「しんどいわよね。もう少し頑張りなさい」



あぁ、厳しい。でも、もう、身体が震えてできない。



「あぁ、あぁ!!」

 

 プルプルしながら、変な声が出て恥ずかしい。



「ふふふ。良いでしょう。

 ピッケルにもっと早く出会って、魔法を教えたかったわ。

 プリンパル国でも、土を作る魔法使いは少ないわ。みんなめんどくさくなってしまうのね。

 ほとんどの魔法使いは、誰かが育てた魔草を使って魔法使いを名乗っているの。特に貴族出身の魔法使いたちは」



 そうなのか。でも、確かに畑作りは地味だし、大変だ。お金で解決できるならそうする気持ちも分かる。



「そういえば、カリンは、最近ちゃんとやってるかしら?

 でも、土の魔法ができるとキキリやファイを自分で育てることができるようになるわ。土と草木の魔法を極めているのは、プリンパル国にも数人しかいない。その数人は、全員ゾゾ長老の弟子よ。

 パンセナは、畑作りの名人と呼ばれているわ。

 ファイ1株を育てるには、10000の魔力を土に与える必要があるのよ。パンセナや私でも3年かかります」



 そんなにも?!



「どう?気が遠くなるでしょう。それだけ、価値も高いわ。

 それに毎日限界まで魔法を使って、魔力の耐久値を伸ばせる。

 ふふ。あまり時間がありませんが、私が魔草作りの全てを可能な限り伝授しましょう。元々は、ゾゾ長老に教わったことですが」



 カリンが悔しそうに、アシュリに対して深く頭を下げた。



「先生、ごめんなさい。あの、少し、少しだけサボってしまいました。あ、あたしの方が先に畑を完成させます!」



 パンセナは、土と草木の魔法の達人だったのか。地味だ。地味だけど、有用なのは間違いない。よし、いい土を作ろう。

 僕とカリンは、それから毎日アスパワドで土に魔力を与え続けた。

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