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レゴレの発見

 ゴレゴレムをイメージすると、ゴサスチ様が僕の頭に手を乗せた時の、頭のてっぺんから身体の芯までじんわり温かくなる感覚が蘇る。

 なんだか行けそうな気がする。



「詠唱付きでいくよ。


 我が魂よ、万物に宿れ!形を作り、自ら動け。ゴレゴレム!」



 沈黙。



 何も起こらない。

 うわー!やってしまった。失敗だ。みんなの視線が痛い。詠唱が違ったかな?合ってたと思うけど。。。

 カリンが笑う。



「見て!ちっさ!小さすぎ!可愛い!あははは!」



 僕の足元に、手のひらに乗るサイズの石のミニゴーレムがヨチヨチ歩いている。

 カリファが驚く。



「なんてこと。自律して動けるなんて!まるで生命があるみたい。。。ピッケルなんともない?

 この魔法、人類の身にすぎた力だわ。魔法を使う人に命の危険があってもおかしくない」



 そんな大袈裟な。なんともないし、平気だ。



「今のところ大丈夫、かな」

 カリファにそこまで言われると、ちょっと得意げな気分だ。

 カリンがごつごつした石のミニゴーレムをつまみ上げて、手の平に乗せて遊ぶ。ミニゴーレムがカリンにお辞儀をしたりしている。ジャンプしろと念じると、ぴょんとカリンの手のひらから地面に飛び降りて着地を決めた。



「むぅ。確かに小さいが、立派なゴーレムじゃ。ピッケルの意思が通じるとはな。

 我が魂よ、万物に宿れ。。。そうか、そういうことか。いや、違うな。そうじゃ、これじゃな。ちょっと力を抑え気味がいいか。

 未知の魔法じゃ。危険な雰囲気もある。慎重にいくが吉じゃ。

 我が魂よ、万物に宿れ!形を作り、自ら動け。ゴレゴレム!」



 地面からむくむくと大きな石像が立ち上がる。5メートルほどの巨大な石像ができる。しかし、動かない。



「おお!ちょっと大きすぎたな。なるほどこんな感じじゃな。いいぞピッケル!いい感じじゃ!ちょっと難しい魔法じゃな。どうやって動くんじゃ?カリファ、キーラ、お前たちできるか?」



 キーラがゴレゴレムを詠唱して、人間大の石像を作る。



「ちょっと難しいですね。

 石像までは作れますが、自律して動かすイメージと、思い通り動かすイメージや意思を伝えて従えるのがどうにもなりません。悔しいですが」


 カリファも同じだ。


「ゴレゴレムは、おそらく複合魔法ね。魔法を複合して使えると言うのは、特大の大発見だわ。

 魂の部分と意思を持たせ従わせる部分が難しいけど。あ、形を作ることだけならできるかも!」


 ゾゾ長老が目をキラキラさせている。


「魂を表す古代の言葉が【ゴ】、形が【レゴ】じゃな。。。」


 カリファが手を叩いて、声をあげる。

 何かひらめいたみたいだ。


「そうか、魂と土の精霊ということは、土の魔法!?土の魔法だけなら使いこなせる!

 レゴレ、私も何かの古文書で読んだことがある気がするの。

 試しにやってみる!

 形を作れ!レゴレ!」



 同じように石像だけできた。これが天才カリファ。。。

 カリンがガッカリと悔しさを隠さずに吐き捨てる。


「レゴレ、、、あたしが見つけたかった」


 そうだよな。



「あたしもゴレゴレム、うまくできないわ。

 ピッケル、何かコツというか、イメージしているものを教えてよ!」



「ええっと、頭のてっぺんからじんわり温かくなる。。。感じ。。。」



「なによそれ!全然わからないわ!」



「そうじゃろうな。ピッケルは、ゴサスチ様からゴレゴレムに必要な何かを注入されたのかもしれんな。

 かなり複雑で高度な魔法じゃ。わしもレゴレで石像を作れても、動かせん。

 魂の部分が無理じゃな。

 だが、カリファのおかげで土の魔法レゴレを知った。これも、とんでもなく有用じゃ!」



 ぴょん飛び跳ねていたミニゴーレムは、電池が切れたおもちゃのように動かなくなった。



「おい、ピッケル、この炎犬の骨のかけらを使ってみろ」



 ガンダルがくれた小さな炎犬の骨のかけらをミニゴーレムの背中の小さな穴に差し込む。

 するとミニゴーレムがまた元気に動き回り始めた。おお。

 それにしてもゴレゴレム、僕にしか扱えないって、ちょっと嬉しい。いや、なんかすごく嬉しいぞ。



 ブハッっ!!



 いきなりカリンに顔面を張り手された。



「ズルい!ズルすぎる!その浮かれた得意げな顔がムカつくわ!」



 そんな。ひどい。



「悔しいが、まぁ、いいじゃろう。ピッケルがゴーレムを作ればいいだけの話じゃ。

 確かにパンを大量に焼くのにゴーレムが使えそうじゃ。

 パン工場の件は、カリファとドワラゴンとパンセナと要件をまとめて、基本設計を作るとしよう。エタンの知恵も借りるか。アシュリにも手伝わせよう。

 よし!充分じゃ」



 動く床やゴーレムの活用、そんな摩訶不思議な無理難題を押し付けられて苦悩するドワラゴンが目に浮かぶようだ。頑張れ、ドワラゴン。

 ゾゾ長老が唐突に言い放つ。



「お前たち!明日にでもアスチ様に会いに大地の割れ目へ旅立つのじゃ」



 え?



「明日?!」



 急じゃない?



「そうじゃ。ピッケル、キーラ、ガンダル、ヤードル、カリン、このメンバーでいいじゃろう。

 ザーシル王の勅令では単独で行けと言うことじゃったが、気にしなくていいじゃろ。どうせザーシル王は失脚する」



 ザーシル王、ひどい言われようだ。でも、ゾゾ長老が言うと説得力がある。それに旅の仲間がいる方がいい。

 ガンダルが明るくキーラと握手する。



「よろしくな。俺は、良いぜ。強い奴がいるほうがいい。

 それに出発はいつでも早い方がいいって決まってる」



 ヤードルさんが腕を組んだまま、相変わらず短く言う。



「同意だ」



 ガンダルとヤードルさんとキーラの間には、命のやり取りをした結果生まれる、ある種の信頼関係がもうあるのかもしれない。

 カリンが怒りなが、顔を逸らす。



「あたしは、まだキーラを信用してないから!」



「僕は、キーラを信じる。キーラが僕を信じないって言った理由もよくわかる。僕の力が足りないのも確かだ。

 みんなを救うには僕の幸運を解明する必要がある。そのためには、キーラの力が必要だ」



「ガンダル、ヤードル、そして、ピッケル。ありがとう。

 カリンが私をすぐに信用できないのも理解できます。

 私は、確かにピッケルを信じないと言いました。

 日々の鍛錬では問題が解決しなかったのも事実です。

 しかし、ピッケルが毎日鍛錬を続けたことが本当だということは、分かります。

 それは、一人の人間として、尊敬に値します。

 私のやるべきことは、変わりました。

 人類が存続するために今必要なのは、ピッケルの幸運を解明することです。

 ドラゴンが一体欠けた今。

 隕石の危機を避けるために力を溜めたドラゴンでも、隕石を退けることができません。

 この星の運命は、ピッケルの幸運が隕石を退けるしかないのです。

 私の信条は、初めから変わっていません。共に戦い、幸運を解明しましょう」



 カリンが舌を出してベーっとキーラをからかう。



「ペテン師!嘘つきは、口が達者ね!あたしが見張ってやるわ!」



「これこれ、カリン。

 まぁ、いいじゃろ。

 魔獣の森を抜けるのじゃ!アスチ様に会って、知恵をもらって来い。

 わしは、博物館にまず3日籠る。メルロにアシュリとドワラゴンとパンセナをここに呼ぶように伝えておくれ。

 総督府の仕事は、エタンさえいれば大丈夫じゃろ。

 さっきからワクワクして、たまらないんじゃ!ヒッヒッヒ!」



 ゾゾ長老が新しいおもちゃを与えられた子供のようにウキウキしている。ニコニコしながら、シャリシャリとポムルスをかじる。



 僕たちも急いで旅の準備をしないと。

 エタンとパンセナにどう話したらいいんだろう。



 このままアシュリと何も話さないで、旅立つんだろうか。

 嫌だ!アシュリと話したいことがたくさんある。

 僕にしか使えないゴレゴレムのことも、アシュリに話したらびっくりするだろう!

 アシュリに自慢するのが楽しみだ!

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