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古代遺跡

 暗闇の中、ザラザラとした砂と一緒に斜面を転げ落ちた。



「いてて、おい、誰か明かりをつけてくれ」



 ガンダルの声が暗闇で響く。

 

「ファイポ!」



 炎犬の杖に灯りを灯す。

 なんだ、ここは?

 カリンもファイポで灯りをつける。



「どうやらみんな無事みたいね。不思議な場所だわ。自然にできた洞窟なのかしら」



 砂が溜まった場所に落ちたみたいだ。上を見上げると、はるか上に少しだけ光が差しているところがある。

かなりの深さまで落ちたみたいだ。

 飛竜の気配がない。それだけが救いだな。


 口に入った砂をペッと吐き出す。まだ口の中がジャリジャリする。


「ピッケル、ケガしてる?あたしは大丈夫みたい」


「ああ。でもありがとう。自分で治せるよ。ガンダルを治してあげて」


 擦り傷や打ち身をキュアで治す。ついでに汚れた服も綺麗になるから、この魔法が好きだ。


 暗くて湿ってカビ臭い洞窟になっている。



「ピッケル、これを見て」



 岩に模様が書いてある。どこかで見たな、この模様。そうだ、ゾゾ派の地下研究所アゴラスで見た模様に似ている。



「この模様、アゴラスの船着場でも似たものを見たよ。読めないけど。ここも古代遺跡なのかな」



「おい。こっちに石積みの通路があるぞ!ピッケル、灯りを持ってきてくれ!」



 石を切って組み上げられた通路が見える。うまくいけば、アゴラスにつながっているかも。行ってみるしかなさそうだ。



「どこに繋がっているのかしら。アゴラスまで続いているといいんだけど」



 大人10人が横並びに歩けそうな石造の通路。高さも5メートル以上はあるだろう。石と石が隙間なく組み合わっている。壁には、不思議な模様がところどころに描かれている。



「さ、寒いわね、ちょっと火を大きくするわ」



 カリンがファイポの火を少し大きくした。進んでいくと大きな広間についた。



「何ここ。どれだけ広いの?」



「地下にこんな広い空間があったなんてな。暗くてよくわからないな。おい、もう少し、灯りを大きくできるか?」



 僕もファイポの灯りを大きくしてみる。でも、やっぱり広すぎてよくわからない。

 床に無数の模様が書いてある。どんな意味なんだろう。

  

 一瞬、床に書いていある模様が鈍く光った気がする。



ゴゴゴッ!



ボボボボボボッ



 広間の壁のたいまつが勝手に一気に灯される。思ったよりも広い。高さも20メートルくらいありそうだ。 

 天井も模様がびっしり描かれている。何かの罠が作動したんだろうか?



「これは一体!?ピッケル、見て!真ん中に何かあるわ!」



 広間の中心に巨大な人形の像が石碑を守るように3体立っている。石像は3メートルほどの高さだ。



「まさか、動いたりしないわよね?」



ゴゴゴ!!



 石像の目が光る。



「おいおい、なんか石像が動き出しそうだぞ。ピッケル、カリン、気をつけろ!」



3体のゴーレムが素早く動き出す。部屋中に轟くその迫力に、ピッケル、カリン、そしてガンダルは即座に構えた。



「ちょっと、重そうな石像なのに動きが早すぎるわ!」



 いきなり激しい戦闘が始まる。石像が腕を振り回して攻撃してくる。猛スピードで動く重たい石の塊に一度でもヒットしたら即死だ。

 カリンが軽快な動きで回避する。ガンダルが壁際で身を屈めて、ロープの先に素早く石を結び付ける。

 

 ファイガスも効かなそうだし、水の魔法より、草木の魔法がいいかもしれない。動きを止めれるか、やってみるか。



「ウイプナ!」



 太い草のツルが石像の足に絡みつく。



「ピッケル、いいぞ!このロープでなんとかできるか、やってみるぜ」



 ガンダルが石付きのロープを振り回して、石像の足を狙った。ロープを石像の右足に絡みつかせて、思いっきり引っ張る。

 石像は、びくともしない。



「なんて重さだ。ロープを絡めたがパワーじゃ勝てねぇ!」



「あたしに任せて!」



 カリンが身のこなしを生かして、猫のように石像の周りを駆け回る。

 石像がカリンを捕まえようと手を伸ばすと、左足をロープに引っ掛けてグラリとバランスを崩す。



「今よ!ガンダル、ロープを引っ張って!」 



 ズシンッ



 石像がロープに脚をもつれさせて、転ぶ。



「床に縛り付けるわ!ウイプナ!」



 カリンも草舟の腕輪から草木の魔法を発動する。一体は身動きが取れなくなった。

 石像2体が踏み潰そうとしてくるが、カリンがその攻撃を見切りながら巧妙に回避する。



「ピッケル、また、同じ作戦で行くわよ!転ばせたら、すぐに床に縛り付けて!」



 カリンが走りながら、石像を翻弄する。ガンダルがロープを足に絡ませる。ロープに足を引っ掛けて、石像同士がぶつかる。



「うおぉ!!」



 ガンダルがロープを引っ張ると、重さに耐えきれずにロープが引きちぎれる。



「うぉ!!」



 ガンダルが尻餅をつく。もう汗だくだ。

 でも、しめた、2体とも転んだ!



「今よ!2体とも動けなくするの!」



 僕とカリンでウイプナをかける。

 2人で2体ともまとめて床に縛り付ける。



「ピッケル、カリン、やるじゃないか!」



 石像が力を失って、バラバラに崩れる。



「やったー!あたしの作戦のおかげね!ピッケルもよく頑張ったわ!」



「カリンって、走るのすごい速いね。こんな動きができるなんて。すごかったよ」



「そうでしょう?草舟のブーツの効果もあるけどね。何より毎日鍛えているもの!ほら!」



 カリンが側転とバク転を決める。体操選手みたいだ。



「ガッハッハ!すばしっこさなら、かなりのもんだな!

 おい、見ろ、石像が一箇所に集まってるぞ。なんか嫌な予感がするぜ」



 バラバラになった石像が集まって、大きな塊になっていく。



「やばい。嘘でしょ?合体して大きくなってるってこと?」



 ゴゴゴ!!



 3体が集まって、四つ足の大きな石像になった。巨大な獅子の様だ。これはまずい。

 しかも、口から何か魔法を出すつもりだ。魔力が集まって激しく発光している。



「おいおい、魔法まで使うのかよ。逃げ場がないぞ。せめて、散らばれ!的を絞らせるな!」



 カリンが右に、ガンダルが左に走り出す。

 石像が口を光らせたまま、右に左に顔を振る。カリンに向けて、極太の炎の束を3連続で放つ。

 ゾゾファイガス級の火力!



 ゴォオォ!!



 ゴォオォ!!



 ゴォオォ!!



 カリンがジャンプしながら、身軽に避けまくる。

 流石、武闘家の娘だ。

 それから照準を真っ直ぐ僕に合わせる。なんかさっきより炎の量が倍くらい多い気がする。



 まずい、うまく避けられるか?



 草舟のブーツを履いていても、間に合わない!

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