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クレーターダンジョン

「ごっめーーーん!カリンちゃん!」


 試しにやっとポムルスを食べさせたら、ライライの酔いが覚めたみたいだ。


「い、いいの。あれはあれで楽しかったよ。あははは。。。」


 酔いが覚めて、ただただ安心したけどね。


 ライライが大袈裟に頭を抱えて恥ずかしがる。


「俺さー、初対面緊張すると思って、朝からお酒飲み過ぎちゃってさ。

 やっちまったー!

 あー!恥ずかしー!テンション高すぎたよね!

 もー!ほんと無理!ちょっとボルトド自分にかける!ボルトド!」


 ビリビリっと、ライライが自分に電気を流す。

 身体中を黄色い光がチリチリと輝いて綺麗だ。

 これが雷の魔法の回復か。


「ふぁー!スッキリー!カリンもビリビリやっとく?今ど?」


 興味は、あるけど。


「あ、あたし今はいいや。大丈夫」


「オッケー!ぶっとい絆で魔獣もぶっ飛ぶ大丈夫!だね!」


 いや、テンションは今も高いけどね。あははは。

 ダンジョンの洞窟に入る前にライライがシラフに戻ってよかった。酔った時だけなら、可愛いし、あのテンションの高さも許せる。

 あのアゲアゲでずっとは無理だ。

 きっと仲良くやっていけるはずだ。


「ライライ、大丈夫?気を引き締めていこうね!」


「ああ!カリンちゃん、安心して。ここは俺の庭みたいなもんだ。

 途中までは魔道具のランプも灯ってるよ。

 ただ毒蛇に気をつけて。

 太い毒蛇は、A級だよ。たまにS級もでるし」


「いやだなぁ。蛇かぁ」


 アレイオスで見た青い蛇を思い出す。あれはやばかったな。今のあたしなら通用するんだろうか。

 

「ま、大丈夫、大丈夫!さあ、行こうぜ!」


「うん!前進!前進!」


「きゃあ!」


 後ろから二の腕に細い蛇が噛み付いてきた!


「カリン!!」


 ライライがすぐに毒蛇をナイフで切り落とした。


「ライライ、ありがとう。腕が紫色に腫れてきたよ。蛇の毒、こんなに早く回るのね。。。」


 吐き気がすごい。目の前がクラクラする。危険な感じ。。。


「毒蛇の毒は、強力なんだ。

 毒牙が地面に触れると、周囲の植物が瞬時に枯れていくくらい。

 触れた者は激しい痛みに襲われて、その毒は一緒で体内に侵入し、内臓を腐らせてしまう」


「そ、そうなの?でも、大丈夫。さっきのポムルスは、解毒の効果があって。。。」


 まずい、早く解毒しないと!


「だめだめ!

 草木の魔法や水の魔法の回復をかけると、かえって悪化しちゃうんだ。

 光の魔法か雷の魔法の回復が必要だから気をつけて。

 何にでも相性があるんだよ。

 だからボルトドかけるね」


「お、お願い。。。」


 ビリビリビリビリ!!!!

 うひょーーー!!!


 さすがS級冒険者。知らなかったら大変な事になってたな。最悪、死んでたかも。


「はぁはぁ、ボルトド、すごいね。

 でも、毒が治ったみたい。

 この肉が腐ったような臭い匂いは、蛇の匂いなのかな?」



「そうだよ。毒牙の表面には悪臭漂う粘液が滴ってるんだ。見て、早速出てきたな。この太さならB級くらいかな」


 恐ろしい毒蛇は、蛍光緑色の猛毒を帯びた極彩色に光る鱗で覆われている。

 長さは5メートル位、胴回りは50センチくらいか。これでB級。5匹いるな。

 

 その毒蛇の目が赤く燃えるように光っている。

 その瞳には邪悪な知性が宿り、まるで死を呼ぶ呪いが込められているかのようだ。

 その毒牙は、鋭く長い。

 洞窟の壁を縦横無尽にゆっくりと動き回っている。

 シュルシュルと不気味な音を立てながら。


「ライライ、左から毒蛇が来る!」


 怒りに満ちた毒蛇が、黒い鱗と赤い目を持ち、毒牙を光らして飛びかかってきた。


「了解!俺が左を!ラッタカラッター!」


 ラッタカラッターは、風の魔法だったのか!本当にそれ古文書通り?!

 毒蛇がスパスパと輪切なっていく。

 ライライ、強い。


 ライライの手から放たれる風の魔法が、竜巻のように襲いかかり、毒蛇たちを巻き込んでいく。


 一気に3匹倒した。


「右にも毒蛇が!」


 右方向からも毒蛇の襲撃が迫る。毒蛇の毒牙は猛毒を滴らせている。


「右もか任せろ!デンデデン!」


 ライライが雷の力を解き放ち、電気の爆発が毒蛇たちを襲う。


 デンデデンは、雷の魔法!


 シュルシュル


 ポタポタ


 天井から毒蛇の毒が落ちて、地面に落ちて嫌な匂いと白い煙を出す。

 何匹もひっそりと忍び寄ってくる。


「上にも!」


「上もか!よし、来た!任せろ!

 ラッタカラッター!」


 風の魔法が上方向に向かって吹き荒れ、毒蛇たちを切り刻む。


「下からも!」


床下から毒蛇が現れ、その動きはしなやかで、牙は鋭い!


「下もか!デンデデン!」


 雷鳴が轟き、床下からの毒蛇たちも次々と倒れる。


 気がつくと20匹以上の毒蛇が死んでいる。


「ライライ強いね!」


「ま、こんなん楽勝よ」


「ねぇ、そういえばこのダンジョンに結界で封印された場所ってある?」


「奥にあるよ。誰も封印を解けないんだ。どうして知ってるの?

 こっちだよ。ちょうど通り道にある」


 どんどん洞窟を進んで行った。

 そして、大きな洞窟の道の壁にある、細い割れ目に身をかがめて入っていく。知らなかったら気づかないような隠し通路だ。


 通路の先が大きく開ける。

 やっとダンジョンの奥深くにある封印された入り口にたどり着いた。


 その入り口からは、強力な魔力の波動が漏れている。

 

「あたしの婚約者が結界を解くことができるの。

 すべてのダンジョンを作った土と魂の精霊ゲムルス様の加護を受けているの。

 ダンジョンには必ず結界で封印された入り口があるんだって」


 ラトタスをポシェタから出せば、あたしでも結界を解けるかもしれないけど。。。


「そりゃすごい情報!

 どんな強敵が待っているんだろう。ワクワクする」


「ま、それはまた次の機会にしよう。

 今は、先を急ぎたいから。ライライ、案内して見せてくれてありがとう」


「賢明だね。初めての場所は、危険度が分からないから、改めて計画を立てた方がいい。

 無謀な冒険者はすぐに死ぬ。勇敢と無計画は違うんだ。

 もうすぐダンジョンを抜けるよ。こっからは魔道具の灯りがないから、魔法で照らす必要があるね」


「それくらいあたしにやらせてよ。

 ファイポ!」


 壁沿いに10メートル間隔で100メートル先までファイポをつけていく。


「便利だね!あんなに先まで!」


「最初は一個ずつつけてたんだけどね。一気に先の方まで灯りをつけれたら便利だなって思って。魔法書に書き起こして研究したり、イメージを表現できるように何度も練習したの」


「基礎魔法の応用を研究するのは、大切だよ。カリンちゃんも流石だね。感動したよ」


 それからライライと基礎魔法の応用について、話が盛り上がった。

 魔法の話は、やっぱり楽しい。ライライは、魔法に対して情熱を持ってる。アシュリとも話が合いそうだ。

 ラッタカラッターとデンデテンも、確かに古文書そのままらしい。


「さぁ、ここが出口だよ。

 暗くなる前に来れたね。

 星空も綺麗だけど、やっぱり明るい景色を見せれてよかった」


 ライライのおかげで迷路のようなダンジョンを最短距離でクリアできた。毒蛇も300匹以上倒した。

 今日は、B級ばかりが大量に発生していたみたい。

 1人だったら何十倍も時間がかかっただろうし、毒蛇の知識もなかった。

 宝箱がいくつかあったけど、中身を確かめずにポシェタにしまって先を急いだ。


「眩しい!」


 洞窟の暗さに慣れた瞳が、外に飛び出した瞬間、明るさに目が眩んで真っ白になった。眼を瞑っても、瞼を貫通して視界を赤く染めるほどの日光。

 目が唐突なその眩しい輝きにしばらく適応できない。


 クラクラする。


 だんだん目がなれて、手で日光を遮りながら、ゆっくりと瞼を開ける。


 目の前に広がるのは、まるで神話の中に登場するような壮大な景色だった。


「わぁ!」

 

 緑濃い丘陵地帯が雄大に広がり、その中央に広がるクレーター湖マプタパターが、まるで天空からの贈り物のように美しく輝いている。


「なんて清々しい空気!」


 その湖面は太陽の光を受けて輝き、まるでクリスタルのようにきらめいていた。

 湖畔に広がる背の低い植物たちは、緑の絨毯のように豊かだ。


 そこかしこで咲き誇って薫る花々が、まるで彩り豊かな宝石のように輝いている。

 風に揺れ草木の葉は、柔らかな緑色を放ち、マプタパター湖に映る光を一層美しく彩る。


 クレーターの縁が連なる山々のように青空に映えている。

 この圧倒的な美しさに見とれない者はいないだろう。


「こんな場所があるなんて!」


 ピッケルとまた一緒にこよう。アシュリやターニュ、お父さんやお母さんとも!

 お店のみんなの懇親旅行とかにもいいかもしれない。


「綺麗だろ?ジューケイで一番美しい湖、マプタパター。ダンジョンを抜けたものだけが見れる絶景だよ」


 突然、クレーターの内側全体に影が落ちたかのように暗くなった。


 そして、マプタパター湖に巨大な鳥、大鵬が悠然と舞い降りてきた。

 なんて大きさ。高さ15メールはある。翼を広げたら100メートルくらいありそうだ。


「おいおい!運がいいね!あんなでかい鳥、本当にいるのかよ!」


「あれが大鵬?!」


 大鵬が静かにその大きな翼を休ませて

、マプタパター湖のほとりで水を飲んできる。

 その姿は、まるで神話の中から抜け出してきたような圧倒的な存在感。


 あたしとライライは、ゆっくりと大鵬に近づいていく。


 言葉通り見上げる高さの大鵬が、こちらを見つけた。

 飛び去るわけでもなく、あたしたちが近づくのを待っていてくれた。


「あなたが大鵬?

 あたしは、ロム・カリン。

 あなたに会いにたくて、あなたを探してここまできたの」


 大鵬が大きな顔を近づけて話しかけてきた。


「ほほほ。一万年前にも、同じようなことがあったかしら。

 私に名前などないよ。人間たちが私たちを大鵬と呼ぶけどね。

 私たちは、個でもあり、全体でもあり、生も死も気にしない。

 ふむふむ、どれどれ?

 なるほど。恋人に会いに行きたいんだね。魔法で飛ばされて、離れ離れに。

 そりゃあ、不憫だ」


 あたしの心や記憶を読めるの?


「あなたは、どうして人の言葉が分かるの?」


 大鵬が再び笑いながら言った。


「ほほほ。前に人間と仲良くなった時に言葉を覚えたのさ。もともと生き物なら考えていることや気持ちも、察することができるしね」


 やっぱり。気持ちを読めるんだ。


「そ、そう。恋人と故郷に帰りたいの」


大鵬が笑って言った。


「ほほほ。まだ会ったばかりの相手に、いきなり頼み事をするとは、不作法だね。

 まぁ、カリンの心を勝手に覗いた私も大概か。

 私はね、人間の恋愛沙汰に関わるのが楽しみなのさ。

 あぁ、張り裂けるような胸の高鳴り!頬を染める恋の初々しさ!

 聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうよねぇ。

 飛びながら根掘り葉掘りと馴れ初めを聞かせてもらえるならいいとしよう」


 う。


 なんかそう面と向かって言われると恥ずかしいな。

 心を読めるくせにわざわざ話をさせるつもりってこと?

 そんなの辱めもいいところだ。


 ライライがとなりでニヤニヤ笑っている。


「カリン、恋人に会いに行っておいでよ。

 ジューケイに戻ったら、俺にも恋人との馴れ初めを今度教えてくれよな!」


 あーもー!なんでこんなに照れることばかり!


 でも、やっと大鵬を見つけた。いきなりリノスに行って、ピッケルを驚かせてやろう。

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