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人間道

作者: 雪狼

嗚呼嫌だ心底嫌だ。人生は塞翁が馬。苦労もあれば楽があるとはよくも言ったものだ。私は人に生まれたことを心底恨んでいる。誰かに人にしてくれと頼んだ訳でも無い。仏教には六道があるとよく説法するが、この世は人間道。天道に行ける言わばチャンスがある世界らしい。私の家は没落した地主だ。地主は四家あって、名にすら上がらない死んだ家だ。故に過去に縋る畜生が我が家には蔓延っている。生まれた時から自由は許されない。家の為に生き、家の為に死ぬことを強要される。なんとつまらない人生だ!これが人なのか!人なのだろうか!お金に尻尾を振り!他人に尻尾を振り!他人に流されて日々過ごすのが世の常なのか!見たまえこの夜空を。街灯すら灯らぬこの夜を。とても綺麗だ。この冴え渡る寒さの中清廉さすら感じる怖さを。邪魔な物は一切無い。親を家を言い訳に、逃げに逃げ気付けば20歳。自分の事を分からずに生きてしまいました。申し訳ない。生きていて本当に申し訳ない。自分の性別すら理解出来ず嗚呼申し訳ない。空にはしがらみが無いのに私は雁字搦め。汚い鎖まみれだ。眼前に立つことすら畏れ多い。惨めだ。自分の性別が曖昧なのに、体は男性だ。女性の裸を見りゃ否が応でも勃起する。いざ性行為と考えてみたら止まらない吐き気。気持ち悪い。まだ恋のABCのABは何とか許容出来る。自分が本当に嫌になる。この夜空を我が物顔で滑空する梟のように悠々自適に生きたい。この夜空の下仲間と共に凛として吼える狼のように強くなりたい。僕はこんな情けない人で居るのが本当に恥ずかしい。どうして、どうして何故何故こんなにも生きづらいのか、何故何故涙が止まらないのか何故何故疑問と怒りしか湧かない。嗚呼仏様よどうか来世は畜生道に落としてください。嗚呼仏様、この世に救いがあるとするならば、今私を殺すことが私にとって何よりもの救いであり慈悲でございます。最後まで他力本願な私めでございますが、願わくば地獄までの道中道案内お願い申し上げます。

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