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16 スリール夫人に昔のハイロール男爵家のことを聞いてみた。

 そしていい人と言えば。

 スリール子爵のところにもちょいちょい顔を出しているのだが。


「この家に住んでちょうだいな」


 そう夫人の方が言うのだ。

 確かに子爵が私の本当の父だというなら、それはありがたい申し出だ。

 子爵は無論、結婚せず、子供もできないのだろうかと思っていたところだし、と乗り気だ。

 いつまでもマルティーヌのところにお世話になっているのも心苦しい。

 ただ、その前に落とし前をつけたいと思う。

 これは私の我が儘だ。

 それに、いざ引き取られてしまったとなったら、こんなことをあれこれ調べ回ることもできない気がする。

 スリール子爵も夫人もいいひとだ。

 いいひと故に、今私が調べ回っていることとは無縁でいて欲しいと思ってしまう。

 そう、例えば今話題にしているペットの話。

 とてもあのひと達とは無縁の世界に感じる。


「閨に送り込まれるということは」

「まあ、そういうことですね。……ってまだミュゼットさん若かったですね」

「いいえ、そういうのは耳年増ですし。ただ、それが送られたとして、男爵は知っているのかしら」

「さてそこですね」


 うーむ、と皆考え込む。

 アリサの手紙によると、送り主は書かれていなかったという。 


「まあ蛇の道は蛇という風に、そういうものを扱っているところはあるので、ちょっとばかりその辺りの情報は待っている方がいいですよ。それに、はい」


 キャビンさんはぶ厚い封筒を渡してきた。


「これ、もしかして」

「ええ。一応探してきた資料をまとめてみたものです」


 結構な量がある。


「気になる箇所には赤インクで印をいれておきましたから、アリサさんにも分かり易いと思いますよ」

「ありがとうございます」


 よし。

 こうなったらもっと情報を――


「あ」



「ハイロール男爵家のこと?」


 私はスリール夫人に、昔のハイロール男爵家のことを知らないか、と聞いてみた。


「お付き合いは無かったけど、まあ目立つ家でしたからねえ」

「目立つ?」


 このおっとりした夫人が覚えている程のものだったのか。


「ともかく浮世離れしていた人達でね。当時結構大きな領地を持っていたんですがね、全部金に換えて東へ行ってしまったんですよ」

「全部ですか!」

「そう。全部なのよ。当時は皆びっくりしたけど、その一方であああの一族ならするだろうな、ということも言われていたわ」

「そうなんですか……」

「で、もともと領地も相当な良い場所を広々と持っていたね。かなりの資産を持ち出したんじゃないかしら。だから向こうの商売なんて、本当に道楽で、ただもう違う文化のところで、のんびり観察したり遊んで暮らすつもりだったんだと思いますよ」


 なるほど、と私はうなづいた。

 でもね、と夫人はそこでやや首を傾げる。


「だから今の男爵の貿易や商売に精を出すというのがどうにもぴんと来なくてね……」

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