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12 びっくりするのだ、とジュリエール様は言った。

「瓶?」


 壺というには大きすぎるのだ、とアリサからの手紙にはあった。


「瓶? わざわざ? 何処から来たのかな?」

それが、送り主が無いんですって」


 む、と弁護士二人は顔を見合わせた。


「ちょっとその辺りはその後気をつけてくれる様にアリサさんに言っておいて欲しいな。で、今日は――」

「あ、はい。サムサ夫人とお会いします」


 ので、少しだけ洒落てきた。

 と言っても、もともとの服はあの男爵家のお仕着せと、古着屋で買ったものなので、大したことは無い。

 ただ少しだけちょっとした飾りを付けてみるとか、帽子だけは奮発してみた、という程度だ。

 無論これは自己満足に過ぎないけど。

 それでもそのくらいのことを自分でできる様になっているというのはありがたい。

 ファデットに感謝だ。



 サムサ夫人ジュリエール様のところへ行ったら、さっそく収穫があった。

 まずはロルカ子爵家では聞かなかった前夫人の兄というひとのこと。

 フレデリックというひとのことは、子爵夫人はひとことも口にしなかった。

 それは他人には知られたくなかったのか、それとも。


「忘れてはいないとは思うわ」


 ジュリエール様はそう言った。


「ただやっぱり小母様もフレドが向こうで現地の女性と正式に結婚したってのは許せないんでしょうね」

「現地の女性」

「特に小母様としては、息子には自分の眼鏡にかなった女性を、という思いがあったはずなのよ。何と言っても跡取りなんだからね。だけどその息子がよりによって、向こうの女性と、というのはやっぱりね……」

「そんなに嫌なものですか?」


 うーん、とジュリエール様は首を傾げ、口をゆがめた。


「私にも息子は居るのだけど、そうね、別にこれといった誰かを考えていなかったとしても向こうの女とは嫌ね」

「何故ですか?」

「見た目」

 あっさりとジュリエール様は言った。

「見た目ですか」

「まずそれ。やっぱりあまりにも違うでしょう? そりゃあマハラジャの娘とかそういうのになれば、それはそれで、向こうから色んなものとか豪華な調度とか使用人とか連れてくるでしょうけど、それでもあの浅黒い肌と真っ黒な目はきっと私は受け付けないのよ。それは東洋人でもそうね。ミュゼットさん貴女、見たことある?」

「写真でしか」

「私はあるわ」


 ふっとジュルエール様は遠い目をした。


「夫は貿易であちこちよく回るひとなんだけど、結婚当初は一緒についていったこともあるのね。で、あちら方面を一通りまわったの。そうしたらびっくりしたわ。その、インドの辺りの浅黒い肌にしても、東洋のあの、平べったい顔にしても」

「平べったい顔ですか」


 何かにべもないけど、そうなのか。


「私達が会うのはそれなりに財力がある人々だったけど、そこの夫人達もそこでは美人だと聞くのだけど、やっぱり違うのよね。目は細いし鼻はぺったんこだし。そういうのは、何というか慣れないものだからびっくりするのよ」

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