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アナザーフロンティア  作者: クロネコ
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第二話 咆哮

続きです。

あの後、何とか紋章の光は収まったのだがネルに対する言い訳がなく白状する事にした。



「そんな事があったんですね…それでお母さんはいらっしゃるのですか?」



「いたんだけど転移した時に別の場所へ飛ばされたみたいでそこからは全く」


元々、俺達家族は日本という国に住む普通の人間だった。

しかしある日()()()が開き異世界へ飛ばされてしまった。

その時に父親は死亡、母親は行方不明となった。



「うぅ、可哀想ですぅ」



気付くとネルが泣いていた。



「他人の為に泣けるなんて、優しいんだな」


「そのぐらいは普通ですよぉ」


「まあでも一人で5年間生きれたしこれからも大丈夫だよ」



そう俺が言うとネルもコクコクと頷いていた。



「ヒカルは強い人ですね」


そう言っているネルを見た俺は母親を思い出した。










「ヒカルは強い子だねえ」


「うん!俺もっと強くなってお母さんも守るよ!!」


「あら、頼もしい」



守れなかった過去の約束だが今でも強くなる事で、もしかしたら母さんと会えるかもしれないと思っている自分がいる。




「ハハッ、懐かしいなあ」


「どうしたの?」


「自分もヒーローに憧れてた時があったなと思って」



そう言って人を助ける自分を夢想する。



「あっ、時間だもう行かなきゃ」


「両親の所へ行くのか?」


「はい!一年ぶりに会える機会なので」


「そうか、じゃあ」


「はい!また!!」



そう言って彼女を見送り自分の用事をし始める。



「さあてクエストでも行きますか」



生活費を稼ぐためにギルドへ行き、クエストをこなす日々、これが5年も続いている。

ギルドへ着き、入ると誰かが話しかけてきた。



「おうヒカルじゃねえか!!!!」



そこには30代位の細身だが筋肉質な男性がいた。彼はヒカルが10歳の転移した時から気にかけており仲間でもある。



「ルア」


俺は彼の名前を呼ぶと



「薬草の採取でもやってた頃が懐かしいなお前!」



そう言いながら背中を容赦無く叩いてきたルアは5年前に行っていたクエストの内容を引き合いに出してきた。



「やめろよ!あれは10歳の頃なんだから仕方ないだろ?」



そう言い返しながらも俺はこうやって掛け合える仲間がいることに嬉しさを感じている。

仲間や友達は大事だ。



「ルア、クエストに行かないか?」



「おう!!!!なんでも来やがれ!!!!」



彼のうるさい快諾を得た俺はクエストが張り出されているボードに行きボードと睨めっこをした。




「うーん…このクエ位しかないな」


「どれどれ…ダイアウルフ3頭の討伐か、まあまあだな」


「まあこれにするか」



そう言って俺達二人は街を出てダイアウルフの討伐へ赴いた。

最近は何故か討伐クエストが少なく自分もクエスト探しに苦労しているが何となく()()()()がするが、目の前の事に集中する為に気に留めないでおこう。



「ルア、ここら辺だよな?」



「ああ!大体この辺りにいるはずだ」



ムルの森という所に着き辺りを見回す。

実を言うとダイアウルフの討伐は初めてで少し怖いが二級冒険者のルアもいるし流石に大丈夫だろう。



「身の丈に合わない事する癖治さなきゃなあ…」





「ん?何を独り言言ってんだ?」


「聞こえてんのかよ流石二級だな」


「ガハハ!!!!耳が良いからな俺は!!!!!!!!!」


「お前のセリフビックリマーク多くね?」


そんな事を言う内に狼の咆哮が聞こえてくる。しかし数がおかしい。





「オイオイ…これまずくないかルア?」


「ああ、数が明らかに多いという事は…」


ザッザッ


土を踏む音が聞こえてくると()()は姿を表した。




「グルオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!」




巨大な体躯を持ち逆立っている毛は正に怒りの化身の様である。




「ゴア゛ア゛ア゛ア゛」


「ヒカル!!!!!」


「「うわああぁぁぁ!!!!」」


()()が軽く手で薙ぐと二人は軽々と吹き飛ばされ所持していた盾も破壊されてしまった。

その時にルアが咄嗟にヒカルの前に出てダメージを軽減出来たが、ルア自身は気絶してしまった。



「ルアッ!!起きろ!!!」



呼び起こそうとするが応答しない彼。

明らかに開いている力の差、ヒカルはどうすれば良いか策を巡らせるが何も思いつかない。



「クソッ!!!こんな所で簡単に死ねるか!!!まだ俺は生きなくちゃいけないんだ!!!」



だが現実は襲いかかる。

無惨にもヒカルは爪による袈裟斬りを喰らい意識が沈んで行く。


「うぅ…母さんに会わなきゃ…俺は……」















ゴオオォォォォォォォォォォォォ!!!!!

ヒカルの手に在る紋章が光る。するとたちまちヒカルの傷が治って行く。


「なんだこの力…」


「グオオオォォォォォオ!!!」


再び攻撃を仕掛けて来るがヒカルは咄嗟に体が動いた。

ブワッ








狼の攻撃が空を切り、その隙に懐に潜り込むと一層紋章

の輝きが増した。



「俺はここで死ねない…だからごめんな」


そう言って俺は輝きを放っている拳を狼に叩き込んだ。



「うぉぉぉぉおおおおお!!!!!」




拳から出る光の柱によって腹を貫き吹き飛ばした。



「グガアアアアアア゛ア゛ア゛ア!!!!!!!」


飛ばされた狼はピクリとも動かなくなり俺は一つの生命(いのち)を終わらせた事を淡く輝く拳を見て実感した。


「ウグッ、力が抜け…」


そうして俺は沈む意識の中で声を聞いた。



ーーーーーオイッ コッチだ!!!



目を覚ますと俺は見知らぬ部屋にいるようで隣にベッドがありルアが寝ていた。


「良かった…」


俺は安堵の声を流し、周りを見渡す。

かなり豪華な装飾が成されていることが散見されて、ドアを開けると広い廊下があり屋敷である事が何となく推測できる。


そうすると瞼が重くなったので、元のベッドに横たわり眠りについた。


ーーーヒカルさん?


見知った声が聞こえてくるので目を開けるとそこにはネルがいた。


「ヒカルさん!!!良かった目を醒まして」


「ネル…もしかして君が助けてくれたのか?」


「いや、私の母親が手配をしてくれたんですよ」


「ネルのお母さんが?何故だ?」


ーーーガチャリ

ドアが開き長身の黒髪の女性が入ってきた。

ヒカルはその姿を見て愕然とし、僅かな声を絞り出した。


「母さん?」


第二話【完】


冒険者のランクは基本的に

1級→2級→3級→4級→5級

の五つで構成されており主人公であるヒカルは4級に当たります。

またランクに当てはまらない例外もいる場合があります。ルアの2級はそこそこ高いです。

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