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「ほかに何か気づいたことはないか?小さなことでもなんでもいい」
「うーん……。あ、そういえばずっと青色の仮面だったロビンさんが、急に紫色の仮面になったのは、新しい子がたくさん来るようになってからだったかも」
ローナの言葉にエリックは眉をひそめた。メラン劇場の売人にはランクがある。仮面の色が黄色、青色、赤色、紫色に変わるにつれてランクが上がるが、ロニーは短期間で二段階もランクが上がったということになる。
「ありがとう。ローナ、フェイ。参考になったよ」
エリックは二人にお礼を言うと、アイリスと部屋を出た。
別の部屋で二人は作戦会議を始める。
「二人の話から考えると、エイミーが孤児院の子供を劇場に流していたって説は当たっている可能性が高いようね」
「ああ。後はローナから聞き出した子供の名前と、半年以内にあの孤児院を出て行った子供の名前が一致すればほぼ間違いない。後で孤児院に確認に行こう」
「そうね。でも、どうすればいいかしら。フェイとローナの証言と、半年以内に孤児院から出て行った子供の一覧があれば、信じてもらえるかしら」
「……それだけでは揉み消される可能性が高いだろうな。もっと確実な証拠がないと」
エリックは眉をひそめて言う。
「確実な証拠……。そんなものあるかしら」
「目の前でやったことを白状させるくらいやらないと駄目かもしれない。でも、本人たちがべらべらと悪事を話すわけないし……」
エリックがため息交じりに言うのを聞いて、アイリスは考え込んだ。そうして、小声で提案する。
「……あるかもしれないわ。みんなの前でやったことを白状させる方法」
「え?どうやって?」
アイリスはそっとエリックに耳打ちした。エリックの目が見開かれる。
「……うまくいくだろうか」
「やってみる価値はあると思うわ。今のままだと打つ手がないんですもの」
「……それもそうだな。試してみよう」
エリックは静かに頷いた。
二人は細かい作戦の打ち合わせを始める。順調に準備は進んでいったが、アイリスはふと気になった。
「エリック様。どんどん話を進めてしまったけれど、本当にいいの?エイミーが好きだったんでしょう?自分の手で追い詰めるのは辛くない?」
「あ、いや。それは気にすることはない。その、この問題を放っておくわけにはいかないからな」
エリックは目を泳がせながら言った。アイリスはじっとその顔を見る。エリックは普段はいたって冷静なのに、この話題になると明らかに動揺している。アイリスは、エリックが無理をしているのだと思った。
いくら本性がわかったとは言え、今まで好きだった人を陥れる形になるのは辛いだろう。しかし、本人がその気持ちを押し殺してまで問題解決を図ろうとしているのだ。アイリスは彼の意思を尊重することにした。
「エリック様は立派だわ。正義のためならご自分の気持ちを押し殺せるのですもの……」
「そういうわけではないんだが……」
「頑張って成功させましょうね!あなたの気持ちを無駄にはしないわ!」
「あ、ああ……」
目に涙まで浮かべて言うアイリスに、エリックはどこか落ち着かない様子で返事をしていた。




