第2戦:さくら、ペアします!(11)
第2戦の11を公開します。
スフレと出会う事になる問題の少女、キャトネラ。
その実態は、、。
読んで確認して下さい。
楽しんで頂けたら、嬉しいです。
(11)
「にいさま、それじゃ行ってくるよ〜。」
機材と一緒に用意されていたリクライニングチェアに体を預け、エルドメットを装着した瀬莉維が兄に声を掛けた。
「ああ。
それじゃ、頼んだぞ。」
「まかせて〜。」
朗らかに答え、右手でピースサインなんてしている瀬莉維を兄が冷ややかな目で見ている事に気付いていなかった。
『せいぜい俺の役に立ってくれよ、愚妹。』
兄の計略など知らず、
「接続〜。」
ネット接続の指示語を発した。
ヒュイーーーーーン!
小さな駆動音が響き、エルドメットのバイザーに正常に接続された事を知らせる青いLEDが点灯した。
それを確認すると、
「ダイビング〜!」
"UFT"に入る為の指示語を発し、ゲーム世界に入っていった。
瀬莉維のログインが完了したのを確認した兄はそっと部屋を出た。
ドアを閉め、ポケットからスマホを取り出して電話を掛けた。
呼び出し音が鳴り、程なく、
『社長、お疲れ様です。』
秘書の姫野登音良に繋がった。
「今、瀬莉維がダイブした。
モニタリングは出来ているか?」
『はい、問題ありません。』
「よし。それじゃ記録しておいてくれ。」
『はい、そのように。』
返事を聞き、兄は通話を終えた。
「これで準備は整った。
黄烈、お前の全てを奪い取ってやるぞ!」
兄が狂気の籠った声で思いをぶちまけた。
>な~な~、しってるか~。
>悪の栄えた試しは~ないねんで~。
>いずれ~悪は滅びんで~。
>By謎の解説さ~ん。
「ん?今、何か変な声が聞こえたような。。」
不思議そうな顔をしながら、兄は居間に戻って行った。
(12)
「え、何、ここ~!?」
目を開いた瀬莉維は、目の前の光景に唖然とした。
「まっしろだ~。。」
兄が初期登録しておいてくれたので、自室がログインポイントになっている。
その自室は初期選択のままの真っ白な状態だった。
そういえば、
「とりあえずキャラを作っただけだから、後は自由にやってくれ。」
と言っていた。
「これ、どうしたらいいの~?」
瀬莉維はフルダイブVRをもっと簡単に考えていた。
おっきなパソコンの中に作られた架空の世界に入って、現実と同じように動ける。
そんな感じ、くらいの認識だった。
そう、全国空手道選手権大会で優勝する程の猛者の瀬莉維は、頭脳労働が大の苦手だった。
「と、とにかく街に行ってみよ~。
うんうん、そうしよ~。」
現実逃避する事にした。
「えっと、たしか~。」
兄が教えてくれた事を思い出す。
「街に行く指示語は~。
あれだ~。
移動、街区、エリア5!」
指示語に反応し、足元に青い三重円が現れ、瀬莉維が吸い込まれるように消えた。
一瞬で街区エリア5の転送ポイントに移動した瀬莉維は街の凄さに目を奪われた。
「うっわ~、すっご~。」
目をキラキラさせて周りを見回す。
そこには現実と変わらない街並みが広がっていた。
そういえば、街区エリア5はスイーツエリアだから最初に行ってみろ、と兄が言っていた。
「それで、たしか~、」
・街区を散策し、京姫とゆう少女を探すこと
・見つけたら友達になって、フレンド登録すること
・”UFT”に詳しい娘なので、いろいろ教えて貰うこと
「って、にいさま言ってたな~。
それと、ゲームを楽しめって言ってた~。」
兄に頼まれていた事はなんとか覚えていたようだ。
それなら、まず散策しながらゲームを楽しもう。
って事で、
「たしか”お金は使えるようになっているから、好きな物買っていい”って言ってた~。」
こうゆう事はしっかり覚えていたようで、さっそく目についたテイクアウトのクレープ屋に向かった。
このお店は”おしゃれで美味しい”と雑誌で紹介されていた。
けれど、東京と大阪にしか店舗がなく、どちらもそれなりに距離のある場所に住んでいる瀬莉維は、いつか食べたいと思っていた。
のが、ゲームの中にお店を出している。
改めてゲーム凄い、と感動していた。
お店はゲームの中でも行列が出来ていて、数十人の行列が出来ていたが、注文すると一瞬で商品が出来上がるゲーム内では、それほど待ち時間は長くないようだった。
※人が多いのは、この日から観客ユーザーが入れるようになったから、だったりする。
うきうきしながら並ぶ事、10数分。
瀬莉維の番になった。
メニューを見ると、どれも美味しそうだ。
「どれにしようかな~。」
悩むこと30秒(早っ)。
「完熟マンゴーすぺしゃる1つ~。」
元気いっぱいの声で注文した。
のだが、
「60アイトになります。」
「はい、、うにゅ~?」
「60アイトになります。」
「わかってます~。
えっと、その、、どうやって払うの~!?」
支払い方を知らなかった。
それくらい気付いとこうよ。。
顔を真っ赤にして、半泣きパニック状態になっていると、
「まったく、何やってるなのですわ。
早く、”ステータスパネル”を開くなのですわ。」
後ろに並んでいた女の子が声を掛けてきた。
救いの女神の声に反応し、振り返る。
そこに居たのは兄に見せられた写真の少女、京姫、だとまったく気付いていなかった。
これが京姫とキャトネラの出会いだった。
「どうやった~?」
「あれが、れっちゃんの言ってたキャトネラさん、だよね?
なんだか印象が。。」
「もっちゃん、それは~触れたらあかんやつやで~。」
「え、そうなの?」
「それは~置いといて~。」
「次回は3/8の22時更新予定だよ。」
「よろしゅ~な~。」




