第1戦:さくら、挑みます!(56)
第1戦の56を公開します。
1日遅れ、申し訳ありません。
お待ち頂いていた方々、しょっちゅう遅れてしまい申し訳ないです。
今回はかなり繊細な内容で、上手く纏らず、何度も見直し、書き直してました。
そんな思いの詰まった今話、楽しんで頂けたら嬉しいです。
(5)
「もっちゃ~ん、しっかりして~。」
さくら の体は明滅を繰り返し、少しづつ薄らいでいるように見える。
ひまわり は泣きそうになるのを堪えながら、必死に声を掛けることしか出来なかった。
その時、転送円が光り、ネイビーと京姫が姿を現した。
「京姫ちゃん、と~、、どなた~?」
ネイビーは ひまわり の担当ではなかったので、知らない人が入ってきて困惑していた。
「京姫、ちゃん、受付嬢、さん、どうし、て、、うっ。。」
まともに話せない程の状態になっている さくら に、
「さくらもち ちゃん、気持ちを落ち着けて。
あれが、あなたの本意じゃないって分かっているから。」
ネイビーは さくら の側に寄り添い、優しく声を掛けながら頭を撫でた。
「わたし、ほんとは、あんな事、したく、ないんです。
あんな、ひどい事。。」
「分かってるわ。
でも、そうしないと勝てなかった。」
こくん
さくら が小さく頷いた。
2人の会話で ひまわり も異変の原因に気付く事が出来た。
「もっちゃん、ごめんな~。
うちのアドバイスで~苦しめてたんやな~。
ごめんな~。」
顔をくしゃくしゃにして謝る ひまわり に、
「あやまら、ないで。
そうしないと、勝てなかった、んだから。」
さくら が必死に話し掛けた。
「わたしの、覚悟が、足りなかった、から、、。」
「そうなのですわ!」
様子を伺っていた京姫が さくら の言葉を遮って強く言い放った。
「あなたはそんなに弱くないはずなのですわ、守道さくら!」
「どうして、知ってる、の。。」
「そんなの簡単なのですわ。
あんな”RJN”見せられたら分かるなのですわ。
私の解析力をなめないでほしいなのですわ。」
「けっこう、わかっちゃう、んだね。。」
苦笑う さくら に、
「そんな事はどうでもいいなのですわ。
”世界”を相手にしてきたあなたの心が、そんなに弱いはずないなのですわ!」
京姫が強い口調で思いをぶつけた。
「世界、、。」
その言葉が さくら の心に突き刺さった。
頭の中で"あの大会"の事が思い出された。
そうだ、わたしは体操競技で世界の強者たちと競い合っていた。
ものすごい重圧を感じながらも、完璧な演技で高得点を叩き出し、全種目制覇目前だった。
そんな"世界"で何を学んできたのか?
さくら はゆっくりと、大きく深呼吸をした。
胸の奥の痛みが薄れていく。
そして、明滅が止まった。
さくら が少し落ち着いたと感じた京姫が話し始めた。
「私は"Dランク"の時、大好きで信頼していた人に裏切られたなのですわ。
それで、"メンタルブレイク"を起こしかけたなのですわ。」
「それがランク落ちの理由、だったんだね。」
「私は絶望し、心が折れかけたなのですわ。
でも、気付いたなのですわ。
これで終わったら、あいつの思惑通りになる、と思ったなのですわ。」
京姫はひとつ大きく深呼吸し、間を空けてから、
「だから私は強くなって、あいつを倒すなのですわ。」
さくら の目を見つめ、強く思いを言い放った。
京姫の目から伝わってくる熱さが、さくら の心の奥で消えかかっていた小さな火に力を与えた。
自分は"UFT"に何をしにきたのか?
"UFT"で楽しく遊びたかった?
そうじゃない。
好きな格闘技漫画や映画の主人公のように"強く"なりたい。
そして、今度こそ"UFT"の頂点を目指すのだ、と。
さくら の心の奥の火が少しづつ強さを増していた。
「私の実名は壱御野京姫、なのですわ。
私の試合、しっかり見ているなのですわ。
勝って、あなたと、、なのですわ!」
京姫は少し顔を赤らめながら、ぶっきらぼうに言い放つと、
「バックルーム。」
慌てて部屋に戻っていった。
「わかった。
しっかり見てるんだよ。」
さくら は京姫が消えた移動円の所を見つめながら、しっかり答えた。
「とりあえず、大丈夫のようね。
ほんと不器用なのよね、あの子。」
「京姫ちゃんとはどうゆう関係なんですか?」
「んーー、ま、いいかな。
本当の姉よ。
あの子、かなり辛い思いしたのよ。
でね、あの子の"ペア"になってあげてほしいの。
それが、あの子の望みなのよ。」
「"ペア"、ですか?」
さくら が困っているようなので、
「ヒラソルちゃん、あなたは"ペア"の事、知ってる?」
ネイビーは ひまわり に話を振った。
「知ってるで〜。。
あとで〜説明しとくわ〜。」
「お願いするわ。
あの子の思い、受け取って上げてね。」
そう言って、頭を下げたネイビーに、
「ところで〜お姉さんは〜何者な〜ん?」
ひまわり が気になっていた事を尋ねた。
「え、わたし?
謎の受付嬢、では納得してくれなさそうね。
わたしは"UFT"を運営しているエンジニアよ。
それ以上は、な、い、しょ、ね。」
唇に人差し指を付けて、しっかりウィンクすると、
「それじゃ、またね。」
2人の言葉を待たず、転送円を使って、
「ムーブ、プライベートルーム、スフレ。」
スフレの部屋に移動した。
「ふぅぅ。」
さくら はひとつ大きく息を吐いてから、
「る〜ちゃん、心配させてごめんなさい!」
力強く謝った。
「わたしがもっと強かったら、、。」
「そんな事ないで〜。
もっちゃんは〜すごくすっごくすご〜くがんばってた〜。
うちが〜もっと気を付けてたら〜こんな大事には〜ならんかったんや〜。」
落ち込む ひまわり に、
「ううん、る〜ちゃんは悪くないよ。
わたしがちゃんと話してたら良かったんだよ。」
「ちゃうよ〜うちがな〜。」
「そうじゃなくて、わたしが、、。」
ぷっ
「「あはははは。」」
2人は笑い出してしまった。
「うん、そうだね。」
「どっちも〜悪かったってことや〜。」
お互い、まだ遠慮があったのだろう。
2人は改めて、今、思っている事を話し合った。
「う〜ん、やっぱり"折る"とかはちょっと心苦しいな。
いくらゲームでも、すごくすっごくすごく痛いから。。」
「せやな〜そこはちょっと〜考えんとな〜。
痛いんは〜身に沁みてるし〜。」
ひまわり は事故の事を思い出し、右肘をさすった。
そんな話をしているうちに、
〔MC〕『さーて、時間だー!
準決勝のー、第2試合がー、始まるぞー!
観客達ー、盛り上がる準備はいいかー!』
準決勝第2試合、スフレVSメルメ・ルル戦の開始を告げる しゃべ九郎のアナウンスがスピーカーから響いてきた。
如何だったでしょうか?
スフレの思い、ネイビーの思い、さくらの、ひまわりの思い。
今、書ける最大限の思いを込めました。
そんな思いをぶつけるスフレのバトルは次回。
水曜の13時更新予定。
よろしくお願い致します。




