第1戦:さくら、挑みます!(55)
第1戦の55を公開します。
今回はちょっと重いです。
このところ、ちょいちょい異変を感じていたさくらが!?
いろいろ大変な事になってます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(2)
「主任、”注意警告”が出ました、9回目です。」
早華が さくら の試合をモニターで見ている主任に報告した。
「ありがとう。」
ネイビーはモニターを見つめたまま短く答えた。
さくら の試合の最中に出た”注意警告”のタイミングで、
『やはり”アレ”が心的負荷になっているのは間違いないわね。
まぁ、よくある事だし慣れれば治まるでしょう。』
そう結論付けた。
試合は さくら が勝利した。
『これで京姫ちゃんが勝てば、決勝で対戦ね。
楽しみだわ。』
そんな事を思いながらモニターを見ていると、突然さくらの様子が変わった。
と同時に、
ピー、ピー、ピー!
ピー、ピー、ピー!
ピー、ピー、ピー!
警告音が鳴り響いた。
「主任、”危険警告”継続です。」
早華が焦り声で伝えた。
これはかなり危険な状態だった。
早急に対処しなければ、さくら の選手生命を終わらせてしまう。
「”警告音”を止めて。
私は さくらもち選手の”対処”に行くわ。
それとスフレ選手に簡易の管理権限を付けておいて。」
「了解しました。」
早華は指示通り”警告音”を止めた。
モニターに表示されている さくら の精神状態を表す波形が激しく上下し、徐々に高い位置の持続時間が増している。
「これが ”メンタルブレイク” の前兆、なのですね。。」
初めての経験で早華の顔が強張っていた。
「そうよ。
このまま続くと ”メンタルブレイク” を起こすわ。
でも、そうならないようにするのが私達の仕事よ。
それじゃ、行ってくるわ。
あとはお願いね。」
そう言って転送室に移動する主任の背中に、
「はい。
状況に変化があれば連絡します。」
声を掛け、早華は京姫の登録情報をモニターに表示させ、データの書き換えを始めた。
転送室に入ったネイビーは、
「ムーブ、プライベートルーム、スフレ。」
京姫の部屋に移動した。
(3)
「いやぁ、まさか負けるとは思わなかったよ。
君、凄い速さだなぁ。
最後のは全然見えなかったよ。」
ダメージがクリアされたタンクタートルが立ち上がり、さわやか笑顔で話し掛けた。
「タンクタートルさんの必殺技、すごくすっごくすごかったです。
避けられなかったら負けてました。」
さくら も笑顔で返した。
「もっと鍛えて君の速さに追い付くとしよう。
また、戦おう。」
そう言ってタンクタートルが今度は左手を差し出した。
その再戦希望の左手を、
「次も勝てるように、しっかり鍛えておきます。
また、戦おましょう。」
さくら がしっかり握った。
手を離したタンクタートルは、
「はっはっはっ。
それじゃ、またいつか。」
そう言って、にっと笑い、白い歯を輝かせると、
タッタッタッタッタッ
と闘技場の端まで走って行き、
「はーーーい、サーーーイドチェストーーーーー!!!」
観客を締めのパフォーマンスで沸かせてから、待機室に走り込んだ。
その時、一滴泪が飛んだのに気付いた者は居なかった。
走り去るタンクタートルを見送っていた さくら にひまわり が近付いてきた。
「もっちゃん、おつかれや〜。」
言って、いつものようにハイタッチしようとして、さくら の様子がおかしいのに気付いた。
その時、
〔MC〕「こっの試合もー、エグ技全開だった さっくらもち選手ー!
ぎっりぎりの攻防だーったけどー、勝因は何だー?」
しゃべ九郎の勝利者インタビューが始まった。
その声を聞いた さくら が、
「うっ、くぅ、、。」
突然、胸を押さえて苦しみだした。
一瞬、体が明滅したようにも見えた。
良くない状況だと判断した ひまわり が、
「しゃべ九郎さ〜ん、もっちゃん疲れてるみたいやから〜インタビューはなしでええですか〜?」
しゃべ九郎に声を掛けると、
〔MC〕「たーしかに、たしかにー。
あの激戦を勝ち抜いたんだー、インタビューは諦めよー!」
了承の返事が返ってきた。
「お〜きにや〜。」
ひまわり はお礼を言うと、
「もっちゃん、部屋にもどろ〜。」
声を掛け、さくら の支えになりながら待機室に戻り、部屋に移動した。
直後、
「あぁぁぁぁぁ!!」
さくら が悲鳴を上げ、胸を押さえながら倒れた。
「もっちゃん、どないした〜ん。
だいじょうぶ〜?」
ひまわり の必死の声に、
「胸の、奥が、いたいん、だよ。。」
苦しげに答えた後、さくら の体が明滅を始めた。
(4)
「京姫、緊急事態なの!」
京姫の部屋に現れるなり、姉が余裕なさげな声を掛けた。
さくら の試合をモニターで観ていた京姫は、
「慌てて何なのですわ?
もしかして、さくらもち に何かあったなのですわ?」
試合の後の様子から察し、尋ねた。
「さくらもち ちゃんが "メンタルブレイク" を起こしかけてるの。
一緒に来て。」
「わ、わかったなのですわ。」
姉の言葉に京姫は事の重大さに気付いて、了承した。
"メンタルブレイク"
それは京姫にとって、忘れる事の出来ない事件に関わっている単語だった。
気持ちがざわつくのを感じる。
差し出された姉の手を慌てて握ると、
「ムーブ、プライベートルーム、さくらもち!」
さくら の部屋に移動した。
如何だったでしょうか?
突如、危険な状態になったさくらに思いを伝えるのは!?
次回は、これまでの伏線回収回になる、はず。
スフレの秘密が明かされる。
そんな次回は月曜の13時更新予定。
よろしくお願い致します。




