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第1戦:さくら、挑みます!(2)

第1戦の2を公開します。

まだまだ導入部分ですが、さくらの家の雰囲気を感じ取って頂ければと思います。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

(3)


さくら は熱中して動画を観ていたので、母の帰宅に気付いていなかった。

動画を観始めてから3時間程過ぎた頃、


「ふぅ。。」


ため息と共に さくら の動画視聴はやっと一息ついた。


「すごくすっごく、すごかったです!

 あんな世界があったなんて。。」


VRの世界に思いをせながら、必死に画面を観ていてかたまった体をほぐすように、


「う~~~ん。。」


と伸びをした。


「ちょっと観すぎてしまいました。

 どのくらい観ていたのでしょうか?」


久しぶりに集中し、心地好ここちよい疲労感を感じていた さくら はキッチンから聞こえてくる調理の音で母が帰宅しているのに気付いた。


「お母さま、帰ってらしたのですね。

 全然気が付きませんでした。」


時計を見ると18時30分になろうとしていた。

もうすぐ父が帰ってくる。

どう切り出そうか?と考えていると、


ガチャ!


と玄関の方から鍵が解錠される音が聞こえてきた。

静音設計の扉なので開く音は聞こえてこないが、


「ただいま!」


父の声が聞こえてきたので さくら は車イスを操作し、部屋を出て玄関に向かった。


「おかえりなさい、お父さま。」


父は笑顔で出迎えてくれたさくら一瞬いっしゅん戸惑とまどった。

さくらがこんな笑顔を見せてくれたのは事故以来初めてだったからだ。


「ただいま、さくら。

 何か良い事でもあったのかい?」


笑顔のさくらを見て自然と表情がゆるみ、声も優しくなっていた。


「な、い、しょ、です。

 後でお話しします。」


人差し指を口に当て、可愛くウインクしてくるさくらに嬉しさが込み上がってくる。

目頭が熱くなってくるのをかくすように、


「そうかそうか。

 それは楽しみだ。」


少し声を弾ませながら返した。

そんな父の様子に、


『ああ、どうしましょう。

 なんだか嬉しい事だと思われていますわ。

 そんなに楽しい話ではないのですが。。』


苦笑にがわらっているとキッチンから、


「食事の用意が出来たから食卓に付いてね~!」


母の楽しげな呼び声が聞こえてきた。


「じゃ、着替えてくるから先に行ってなさい。」


そう言って寝室に着替えに行く父を見送った さくら の体が、


ぶるっ


と震えた。

長時間動画を鑑賞していたのでかなり切迫感を感じ、慌ててトイレに入った。

外でバタバタと走る足音が聞こえたが少しあせりながら準備をする さくら の耳には届いていなかった。

用を足すと、洗面台で手を石鹸で丁寧に洗って、食卓のある居間に向かった。


(4)


「ただいま!」


あわただしく妹の たんぽぽ が帰って来た。

そのままバタバタと居間に駆け込み、


「まだ始まってませんか?」


食卓に料理を並べている母に声を掛けた。


「あれ?今日は部活で遅くなるんじゃなかったかい?」


母が答える前に遅れて入ってきた父がたずねてきた。


「先生に話したら”帰ってあげなさい”と言って下さったので。

 それで姉様は?」


たんぽぽ はどちらにともなく答え、問い掛けた。


「お手洗いみたいよ。

 でね、何があったかは分からないのだけれど、すごく生き生きしてるようなのよ。」

「え!?どうして急に・・・?

 でも、今日で良かったですね。」


姉が明るさを取り戻したようだと聞き、たんぽぽ の表情が晴れやかになった。


「なら、今のうちに取ってきます。」


そう言うや居間を飛び出し、大急ぎで洗面台で手を洗うと、自室に駆け込んだ。

椅子にかばんを置き、机の上に置いておいた淡い桃色ピンクの小さな紙袋を取り上げた。

中には綺麗きれい包装ほうそうされ、リボンを掛けられた小箱が入っていた。

今日の為に母と選んだ物。


”大好きな姉に元気になってほしい”


そんあ思いが込められていた。


「よしっ!」


小さく気合いを入れると紙袋を持って、大急ぎで居間に戻って行った。

如何だったでしょうか?

家族も揃い、次回いよいよイベントが始まります。

楽しみにして頂けたら嬉しいです。

次回は水曜12時更新。

よろしくお願い致します。

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