第1戦:さくら、挑みます!(28)
第1戦の28を公開します。
6時間遅れ、申し訳ありません。
なんとか書き上がりました。
出会ったさくらとひまわりは!?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(3)
「今、”さくらもち”って言いましたか?」
噛み噛みで聞き取り辛かったが、さくら に対して”さくらもち”と言った。
誰にも教えていない事を知っている。
警戒心が少し語気を強めていた。
「うう、、そりぇは~、あにょ~、、ご、ごめなしゃい~。」
さくら を怒らせてしまったと思い涙目になりながら謝り、逃げ出そうとした。
が、走り出す事が出来ず、じわじわ後退り始めた ひまわり に、
「あ、ごめんなさい。
ちょっと驚いただけなの。
逃げないで下さい。」
さくら は優しく声を掛けた。
ひまわり の動きが止まる。
気持ちを落ち着けて、改めて ひまわり の顔を見た。
大きな眼鏡で顔の半分くらいが隠れている。
けれど、何かがひっかかった。
「夏乃花さん、無理じゃなかったら眼鏡を外した顔を見せてもらえませんか?」
さくら の突然のお願いに、戸惑い、
『ええ、どうゆうことな〜ん?
素顔を〜見たいゆうの〜。
どないしよ〜。
どないしたら〜ええんやろ〜?』
パニック状態になりながらも、
『お友達に〜なろ思てんのに〜断ったら〜気まずなる〜。』
そう考え、おずおず眼鏡を外して顔を さくら に見せた。
すでに顔は火が出そうなほど真っ赤になっていた。
ほんの少し、じっと見つめた さくら が、
「ありがとう。
もういいですよ。」
声を掛けた。
慌てて眼鏡で顔を隠す ひまわり に、
「あなた、前に"UFT"でわたしがラジオ体操しているのを見ていた黄色い髪の人、ですよね?」
さくら が問い掛けた。
「え、ええぇぇぇ〜。。」
小さく驚きの声を上げる ひまわり を見て確信した。
「夏乃花さんも選手なの?」
問う さくら に、
ふるふる、ふるふる
と顔を左右に振って否定する ひまわり。
を見て、
『う〜ん、これではお話しし難いですね。』
と考え、
「夏乃花さん、時間大丈夫ですか?」
こくこく
「それでは場所を変えましょう。」
こくこく
ひまわり が頷きで答えた。
さくら は車イスを操作して校舎に戻って行き、ひまわり が付いて行く。
移動した所は自習室だった。
さくら 達の通う学校には自習室だけの校舎があり、放課後や自習時間に使用出来るようになっている。
部屋は1人用、2人用、5人用、10人用があり、静かに勉強出来る様にと防音仕様になっている。
なので放課後は勉強以外の事で使われる事も、それなりにあったりするようだ。
さくら は入口に設置されている受付に、
「2人部屋、空いていますか?」
と尋ねた。
今日の受付を担当している教師が、
「空いてますよ。
205号室を使って。」
即答し、205号室の鍵を渡してくれた。
「ありがとうございます。」
さくら はお礼を言って、鍵を受け取ると利用申請書に必要事項を書き込んで、部屋に向かった。
部屋の鍵を開け、中に入り、鍵を掛けた。
「夏乃花さん、座って下さいね。」
ひまわり に声を掛けると器用にイスを移動させて、机を挟んだ対面に車イスを止めた。
そして、
「あらためまして。
こんにちは、夏乃花さん。
ちゃんとお話するのは初めてですね。」
さくら から話し掛けた。
こくこく
相変わらず頷きで答える ひまわり に、
「お話するのは苦手、ですか?」
尋ねた。
こくこく頷くのを見て、
『これでは話が進めにくいですね。
どうしましょうか、、?』
少し考え、思いついた。
「夏乃花さん、タブレットを出して下さい。
それでメモアプリを使って筆談して下さい。」
こくこく
頷いて、ちょっともたつきながらカバンからタブレットを取り出し、電源を入れた。
メモアプリを開き、
【よろしくお願いします。】
と書いて、さくら に見せた。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。
それで、何かお話しがあるんですよね?」
【はい。UFTの事で。】
「それなのですが、どうして分かったのですか?
わたし、その事は誰にも話していないのですが。。」
【昨日の さくらもち さんの試合を見てて気付きました。】
「昨日の試合で、ですか。
それだけで、どうして分かったの?」
少し興奮してきたのか さくら の言葉が友達と話している時のようになってきた。
【わたし、守道さくら選手のファンで、試合いっぱい見ました。
だからステップの時のクセですぐに分かりました。】
技に入るステップにクセがあるのは知っていた。
練習や試合のビデオを何度も見た さくら本人でもなかなか気付かなかった些細なクセ。
それに気付く程、ひまわり は さくら の試合を見ていた、とゆう事になる。
「すごいです、夏乃花さん。
わたしとコーチしか気付いていなかったクセに気付いたなんて。
それで、さくらもち がわたしだと気付いたのですね。」
さくら のキラキラした目に見つめられ、ひまわり がまた顔を赤らめ俯いてしまった。
【わたし、さくらもち さんも応援してて。
昨日の技と初勝利を見てて嬉しくなって、それで】
ひまわり はそこまで書いて顔を上げた。
さくら を見つめる潤んだ目に力が籠もる。
そして、
「おとみょらちに〜にゃってくらしゃい〜!」
噛み噛みながらも、力強く自分の言葉で思いをぶつけた。
ひまわり の勢いに一瞬気圧されたものの、
「ありがとう、夏乃花さん。
お友達になりましょう。」
さくら は笑顔で答え、右手を差し出した。
その手を両手で包むように優しく握り、
「嬉しいです〜。」
ひまわり が初めて噛まずに思いを伝えた。
その時、さくら のスマホの着信音が響いた。
その曲を聞いて、ひまわり の目の色が変わった。
電話は さくら の母からで、学校に着いたとの事だった。
通話を終えた さくら に、
「今の〜プロジェクトAのやつや〜。」
ひまわり が さくら の着信音に食い付いた。
完全に緊張が解けたようで普通に話せるようになっていた。
「え!?、夏乃花さんもジャッキー様のファンなの?」
「めっちゃ好きやね〜ん!」
「わたしも大好きなの!」
同じ趣味だとわかり、大いに盛り上がった。
自習室を出た2人は校門に向かった。
「夏乃花さんの事、ひまわり ちゃんって呼んでいい?」
「ええよ〜、うちは さくら ちゃんって呼ぶな〜。」
「ひまわり ちゃん、"UFT"のアカウント持ってるんだよね?」
「あるで〜。
うちのは観客用やけど〜。」
「それなら明日の朝、"UFT"で会わない?」
「会ってくれんの〜?」
「もちろんだよ。
ひまわり ちゃん格闘技も詳しそうだから、相談にのってほしいの。」
「うちで〜役に立てるんやろか〜?」
「誰かの意見が欲しかったの。
お願い、出来るかな?」
「うちなんかで〜ええんやったら〜。」
そんな話をしている内に校門に近付いていた。
さくら の母が手を振っているのが見える。
「それじゃ明日、"UFT"で。」
「わかった〜。」
2人は明日の約束を交わし、帰宅した。
これが"UFT"でセンセーションを巻き起こす さくら の大親友にして相棒となる ひまわり との出会いだった。
如何だったでしょうか?
やっとさくらとひまわりをくっつけられました。
これから2人でがんばります。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
次回は月曜の12時更新予定。
よろしくお願い致します。




