第1戦:さくら、挑みます!(26)
第1戦の26を公開します。
今回から新章、特訓編に入ります。
さくらの次の課題とは?
そして謎の監視者とは?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
第4章
(1)
朝、”UFT”にログインし、森林公園で日課のランニング。
いつもの場所。
そこにはいつものレイモン老師の笑顔はなかった。
「今日からは1人、なのですね。。」
寂しさが込み上げてくるが、
「でも、立ち止まっていられないです。
レイモン老師と約束しましたから。」
気合いを入れ直し、自室に戻ろうとした時、
「うにゅっ?」
誰かに見られている気がしてきょろきょろと周りを見回した。
けれど、近くには誰も居なかった。
「気のせい、だったのでしょか?」
なんだかもやっとしつつも、
「バックルーム!」
自室に戻った。
自室の戦闘部屋で日課にしているラジオ体操第一・第二を1回づつと、負荷運動を一通り済ませた。
そして、
「”音楽操作板”、オープン!」
”音楽操作板”を出した。
昨晩、ルールブックで登録方法を必死に調べ、設定しておいた曲を選択した。
半年前、あの世界大会で使った床演技用の曲。
曲が流れ始め、あの日1位を取った床運動の演技を始めた。
そして、最後の決めポーズと共に音楽が終わった。
あの日と同じ、完璧な演技だった。
「大丈夫、イメージ通りに動けます。
これなら、、なら、、なら。。。」
頭を抱えた。
昨晩からいろいろと考えてはいた。
けれど、どうしたら出来るのか?がイメージ出来なかった。
”体操競技と格闘技の融合”
昨日の試合でゼンテスに勝てたのはまぐれでしかなかった。
あの時は何故か頭の中にあの勝ち方のイメージが浮かんできた。
「昨日の技はもう使えません。
あんな大技、分かっていたら簡単に避けられますから。」
しばらく回ったり、捻ったり、飛んだり、転がったり、と体を動かしてみた。
けれど、上手くハマってくれなかった。
「うう、1人で考えていても"むりむりスパイラル"ですぅ。。
でも、相談できる人、なんて居ないです。。」
体操競技と格闘技に詳しい友達。
そんな都合のいい友達は居なかった。
「そろそろ時間ですね。
学校に行かないと。」
呟き、ログアウトした。
その日、学校に行った さくら はちょいちょい誰かに見られている気がしていた。
時々、きょろきょろと周りを気にする さくら に、
「さくらちゃん、どうかしたの?」
友達の1人が声を掛けてきた。
さくら の側にはいつも3人の友人が取り巻いていた。
小学生の頃からの友人で、何かと さくら の手助けをしてくれる。
ありがたい存在ではあるものの、"UFT"の事は教えていないし、相談が出来ない事も理解していた。
「ううん、何でもないよ。」
とりあえず心配させないように否定の言葉を返した。
結局放課後まで謎の視線の正体は分からなかったが、確実に誰かに見られていると感じていた。
放課後。
友人たちは部活や委員会など、それぞれに予定があるので玄関で さくら を見送るのが日課になっている。
「さくらちゃん、また明日。」
「さくら、ば〜い。」
「さくら、まったね〜。」
3人の挨拶に、
「さよなら〜。」
声を掛け、母が車で迎えに来ているはずの校門に向かった。
その時、スマホの着信音が鳴った。
見ると、母からのメールだった。
メールには、
1時間程おくれます。
図書室ででも時間潰してて下さい。
と書かれていた。
「何か用事でもあったのでしょうか?
仕方ないですね、図書室に行きましょう。」
呟き、向きを変えると、
「ええ!?」
1メートルくらいまで近付いて来ていた女の子と目が合った。
少しびっくりはしたものの、相手の様子を見ておかしくなってしまい、
「ふふっ。」
小さく笑ってしまった。
近付いて来ていたのはクラスメイトだった。
中学に進級してからずっと同じクラスだったが、おとなしく、勉強も運動も普通以下で、あまりクラスの娘と馴染んでいないように見える、そんな感じの印象だった。
その娘が"だるまさんがころんだ"で鬼に見られた時のように、少し顔を赤らめながら、変な格好で固まっていた。
「夏乃花ひまわりさん、ですよね?
私に何か御用ですか?」
そんな少女に優しく声を掛けた。
少女は、
「あ、あにょ〜、、。」
声を掛けようとして、噛んだ。
顔の赤さが増し、わたわたしている。
「そんなに驚かないで。
落ち着いて、ね。」
もう1度、優しく微笑み掛けながら声を掛けた。
こくこく。
頷き、数回深呼吸して、
「さ、さきゅりゃもちしゃん〜お、おひゃなひがありましゅ〜!」
力強く、噛み噛みで言い切った。
如何だったでしょうか?
1つステップアップしたさくらはどうすれば独自の強さを見つけられるのか?
次回は水曜の12時更新予定。
よろしくお願い致します。




