第1戦:さくら、挑みます!(16)
第1戦の16を公開します。
森林公園でさくらが出会ったのは!?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
(3)
「うわぁ、すごくすっごくすごく素敵です。」
さくら は街エリア8の”森林公園”の壮大さに目を奪われた。
大きな森があるのは知っていたが、中に入ったのは初めてだった。
程よい間隔で設置された木々の隙間から木漏れ日が降り注いでいた。
森林公園の中央には大きな池が設置され、淡水魚や亀が泳ぎ、アヒルや鴨等が気持ち良さそうに水面を移動していた。
「ここがゲームの中だなんて、信じられません。
ぽかぽかしていて、気持ちいいです。」
森林公園の雰囲気を満喫しながら園内を散歩していた さくら に、
「そこのお嬢さん、あんた悩みがあるじゃろ。」
ベンチで休んでいる風の老人が突然、声を掛けてきた。
周りを見回し、自分しか居ないのを確認し、
「えっと、わたし、ですか?」
老人に問い掛けた。
「そうじゃ、あんたじゃ。
わしはレイモン・ス・カッシュ。
見ての通りの老体じゃ。
あんた、名前は?」
「あ、はい。
さくらもち、です。」
「さくらもち か、美味そうな名じゃな。」
「えっと、あの、お、恐れ入ります。」
「ほっほっほ、若いのに礼儀正しいのう。」
目を細めながら朗らかに笑う老人に、さくら は気持ちがほっこりしていた。
老人は名前とは裏腹にアジア系で、白髪に白い仙人髭の昔のカンフー映画に出てくる老師のような風体をしていた。
「それで、レイモンさん。
わたしに何かご用なのでしょうか?」
「そうじゃった、そうじゃった。
さくらもちさん、何か悩みがあるんじゃろ?」
「はい。
どうして分かったのですか?」
「そうゆう設定じゃからじゃよ。」
「設定、なのですか?」
不思議そうに老人を見つめていた さくら の前に、
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃師匠イベント発生 ┃
┃レイモン・ス・カッシュに師事しますか?┃
┃ [はい] [いいえ]┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
イベント承認のパネルが現れた。
「師匠イベント、ですか?
えっと、これはレイモンさんがわたしの師匠になってくれる、とゆう事なのでしょうか?」
さくら が問い掛けた。
「その通りじゃ。
さくらもち さん、わしの特訓を受けてみんか?」
問われた さくら はじっとレイモンを見つめた。
どうやら、この老人はゲームが用意した師となるキャラのようだ。
受付嬢がここに来させたのはこの為なのだろう。
ならば、これは今の自分に必要な事に違いない。
そう考え、パネルの[はい]に触れてから、
「はい。
よろしくお願いします、レイモン老師!」
返事し、しっかりと頭を下げた。
「そんに固くならんで良い。
これから1週間共に過ごすでな。」
「はい、分かりました、レイモン老師。
それで、”師匠イベント”とはどうゆうものなのでしょうか?」
さくら の疑問に、
「”師匠イベント”とは弟子として登録されたプレイヤーを1週間、独自の方法で鍛え上げる、とゆうものじゃな。
わしのような”師匠キャラ”が多数設定されとって、条件を満たしているプレイヤーの前に”無作為”で出現するのじゃ。」
レイモンが答えた。
「条件があるのですか?」
「当然じゃ。
条件は”30連敗以上”で、ここに来て園内を散策する事じゃ。」
「なるほど、納得しました。
それで、どんな特訓をして頂けるのでしょうか!」
さくら が気負い気味に、レイモンに詰め寄った。
「ほっほっほ、焦り過ぎじゃ。
特訓は明日から1週間じゃ。
その間は試合が出来んようになるんじゃよ。
闘いたいなら、今日中に闘っておくんじゃな。
では、明日。午前6時にここに来るのじゃ。
楽しみにしておるぞ。」
「わかりました。
明日、絶対に来ます。」
力強く答え、お辞儀する さくら に笑顔を向けたまま、レイモンが消えた。
『受付嬢さん、”師匠イベント”ありがとうございました。
がんばって、強くなります。』
心の中で受付嬢にお礼を言った さくら の目に決意の炎が燃え上がっている、ように見える。
そんな熱血全開モードの さくら は勢いに任せ”無作為試合”に参加登録し、見事に32敗目を記録した。
如何だったでしょうか?
イベント発動でさくらが出会った老師。
どんな特訓が待ち受けているのか?
次回は月曜の12時公開予定です。
よろしくお願い致します。




