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コントラクト・エンゲーム 3_偽解放者編  作者: 亥BAR
第5章 硬貨探索者
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第12話 翻弄

 圭たち三人はお互いに顔を向かい合わせたが、すぐに何かを口に出すことはできなかった。

 正直、何をどうすればいいのか、分からないといった状況だった。


「……今回ばかりは、本当に堅実に行くしかないと俺は思っている。おそらく、相手も同じだろう。まずは二つの質問で範囲を四分の一に絞る以外の方法はないんじゃないのか」


「でしょうね」


 圭の発言に対して首を縦に振る田村。

「……正直、予想外だな、そのお前の反応は」

 少し今の田村に違和感を持ってそんな質問をしてしまう。


 しかし、田村は真顔で首をかしげさせた。

「何がです?」


「……いや、長井の行動に対して何らかのコメントぐらいあるのかと思っていたからだ。というか、お前の観察眼なら、真の王からコインの隠し場所を想定するぐらいのことはやってのけるのかと思っていたのだが?」


 田村は少し視線を外し、真の王に目を向ける。

「まぁ、無論考えましたし、そのつもりで彼女を見てはいました。でも、さすがに情報が足りないですね。

 そもそも、長井くんの意図も分かりかねないのです。


 おそらく、ハッタリをかましつつ真の王の動揺を誘い、ボロを出さないのか図ったのでしょうけど……どうもそれだけでは足りないような気がするんです。どちらにしても、彼らだって的を絞りきれてはいないはずなんです。


 まぁ、まずあのハッタリが本当はハッタリではない可能性もありますけどね」


 そう言って田村は全力に不敵な笑みを浮かべた。


「……まぁ、お前が言うのならば仕方ない。アリス、質問はまず教室の四分の一に範囲を絞るところからだ」



 第二フェイズ、質問タイムが始まる。結果、質問の順番は、森、影武者、長井の順となる。あまりいい順ではないな……。長井の質問をまず聞いておきたかったが……仕方あるまい……。


 そして、質問内容は本当に予想通り進んでいった。

 まず、森の質問で、長井の隠し場所が教室後ろ半分であることを知る。影武者の質問で、さらに教室の右側であることも絞り込めた。


 そして、長井の質問と、その後の森の質問で、影武者の隠し場所も、同じく教室の右後ろであることがわかった。さらに、影武者の質問により、森の隠し場所が教室の前方だということを絞り込まれる。


 まさに想定通りの質問が来たのだ……、だが……最後が違った。

「アリスさんに対する質問はパスしよう」


 その長井の発言に対し圭の背筋が間違いなく一瞬凍った。



「なぜだ? あいつは何を企んでいやがる? どう考えてもヘイトは王側に向いていただろう。なぜここで奴がアリスに対する質問をパスする?」


 指定タイムの前の話し合いで、圭は思わず言葉を二人にぶつけてしまう。対して、田村は顔をしかめてみせる。

「そう……ですね……。本当に彼の行動原理を掴みきれないですよね……。王に対してはまともな質問をしている点も……思考をかく乱させる要因となっています」


「それこそ、ハッタリなんじゃないの? 王に対して仕向けたように、今度は私たちに向けてプレッシャーをかけてきた」


「なぜ、そんなことをする理由がある? 本当に隠し場所が分かっていないなら、質問のパスはかなりのリスクだ。ハッタリのためにしては、リターンが少なすぎるだろ?」


「……どうでしょう……。教室を四分の一に絞り込めても、当たる確率は十分の一ほどにしかなっていないんです。本当に運勝負となりうるなら、しばらくターンは続きます。そこまで見込んで?


 ……いや、にしてもおかしいですね……。さらに次のターンで質問を二回重ねれば、三分の一にはなる……。やはり、一回のパスは大きい……。


 いや、でもそこまで行くと、お互いが答えにたどり着く。点差を詰めなければならない長井くんからすれば、下手に質問をして全員の正解率を上げるより、より運に任せた一手を目指した賭けなのでは?」


 ……確かに、長井側に立てばかなり切羽詰った状況。既に二人相手にリーチを取られている以上、本当に運まかせの勝負を? その可能性は……現実的ではある……。


「……必要以上に踊らされない方がいいということだね。分かった……じゃぁ、指定する場所は?」


「……どうしようもないですね。サイコロでも振ってしまいましょうか」

「流石にサイコロはないが……それぐらいの感覚でいこうか。この一ターン目は……考えるだけ無駄な気がしてきた」


 森に適当なマスを指定させ回答タイムに移る。


「じゃあ、僕から行こうかな」

 ひとり鼻歌を歌いながら紙を広げる長井。追い込まれている立場とは思えないほど明るい雰囲気を出している。これが、策によるものなのか、騙すための演技なのか……。


「実質十分の一だね……、当たってしまうかな?」

 と言いつつ紙を覗き込み、長井はにっこりを笑う。

「良かった。二人共ハズレ。B13でも、B21でもないよ」


 まぁ……そう簡単に当たるわけもないか……。続いて影武者が答えを発表するがそこも二人共ハズレだった。やはり、長井も外してきたか……。

 ちなみに、森は同じくB21指定。長井はF20を選んでいた。


 で、最後は森の番。

「影武者、B2、ハズレ」

 当然外れる。しかも、ほかの人らと違って、教室の前半分としかわかっていないのだから、運で当てるのは至難の業だ。


 しかし……。

「長井……O4……嘘……」

 圭たちが隠した場所は事前の策通りP4。当然、O4の周り八マスの中……、完璧に、当てられていた……。

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