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鼻99〜全てを捧げし者〜  作者: みきお
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第3話 本当の姿


小屋の周りは森に囲まれていた。

俺は完全にインドア派だったから森の歩き方なんて知らない。


まぁ、なんとかなるかな…。

今、俺は銀髪の美少女。聖さんを連れて人の歩いた形跡のある所を辿っている所だ。


「なぁ、戦斗さんや。」


「ん?なんだ聖さん?」


「一体ここはどこなんだぃ?私は大きめのベットが懸賞で当たったからそこでお昼寝でもしようかと思ってたんだけどねぇ。


気がついたらここにいたんだよ。」


聖さんは困ったような表情で言った。


「へ?そうなの?」


「そんなんだよぉ。最近腰も痛くて外に出るのも億劫だったから。こんな綺麗な景色を見れて少し嬉しくはあるんだけどねぇ。」


そう言って彼女は笑う。

銀色の髪の毛を風が揺らした。


「腰かあ。腰の怪我は一生引きずる場合もあるらしいからな。聖さんまだ若いのに大変だな。」


「いやぁ。若いなんて嬉しいねぇ。ババを褒めてもなんもでんぞ。」


そう言って軽く俺を叩く聖さん。本当に嬉しそうだ。


…なんだが変な気分だ。

銀髪の美少女と腰について語り合う日が来るなんて…。


なんだが縁側で日向ぼっこしてる婆さんと話してる気分だ。


てか、本当に彼女は見た目通りの年齢なのか疑わしくなってきた。


こうなったら聞いてみるか…。


「ところで聖さんって今幾つなの?」


「ほぇ?私の歳かぇ?

見ての通り、ぴちぴちの88歳だよ。」


聖さんは悪戯な笑みを浮かべて言った。


「ゔぇ?」


驚きのあまり凄い声が出た。


88歳!?何言ってんのこの少女。


鏡見たことあんのか?


「聖さんこっちに来て自分の姿見てみた?」


「うんにゃ。見とらんぞ。

…そう言えば今日は体の調子がええのぉ。

足も痛くないし腰もピンとしとる。

こんな日もあるんじゃなぁ。」


のほほんと彼女は言う。


「ちょっと聖さん。ステータス見せてもらってもいい?」


「むぅ?ステータス?」


「うん。聖さんも見たことあるだろ?なんか透けてる枠みたいなやつ。」


「ああ。あれか。さっきスキルっちゅうのを使った時に出てきたやつじゃな。


ちょっとまっとくれ。

スキルよー出ろ。」


___________________________________________


〈聖なる祈祷〉イノセントシャイン MP 1000

対象の怪我を治す。ただし、手足の欠損など、部位の補完は不可。


〈聖なる障壁〉ホーリーバリア MP 1000

物理攻撃と魔法攻撃を防ぐ障壁を貼る。


〈聖なる癒し〉セイクリッドヒール MP 1000

対象のHPを大回復させる。


___________________________________________


違う。そうじゃない…。

惜しいけど違うんだ聖さん。


「お、惜しいけどこれじゃ無いな。

聖さん。ステータスって言ってみて?」


「む?違うのかぁ。じゃあ、ステータス。」


___________________________________________


〈名前〉香月コウヅキ ヒジリ

〈年齢〉 88

〈容姿〉 上

〈性別〉 女

〈種族〉 ???

〈職業〉 命の守り手 属性 光

〈称号〉 全てを捧げし者

〈状態〉 正常


〈レベル〉1

〈HP〉 100/100

〈MP〉 10000/10000

〈筋力〉10

〈防御力〉100

〈魔力〉10000

〈技量〉10

〈敏捷〉100

〈魅力〉1000


【特殊ステータス】

〈鉄の看護〉 999999


《装備》

〈武器〉護り手の腕輪 (治癒魔法の回復力アップ)

〈頭〉 天使の羽根飾り

〈胴〉 純白の看護服

〈腰〉 天使のパンツ

〈その他〉 なし

___________________________________________


「マ ジ か」


思わず口が開く。


本当に88歳って書いてある。

てかこの人も〈鉄の看護〉に全振りしてるじゃねぇか。


どうなってんだこのゲーム。これは流石にシステムの欠陥なのでは…。


まぁ、確かに88歳のお婆ちゃんがいきなりあんな項目を見せられてここにカーソルを合わせてポイントを設定してー。なんて出来るわけないもんな。


まぁ、当たり前か。


しかし、彼女の種族は何なんだろう。どういうわけか種族の欄だけ見えなくなっている。


もしかしたら彼女が年齢の割に若いのと関係があるのかも知れない。


しかし、職業が〈命の守り手〉って何だろう。名前とスキルから想像するに、どう見ても回復職なのは間違いなさそうだけど。


「もう良いかの?」


「あ、ああ。大丈夫。

聖さん本当に88歳なんだな。」


「おうさ。流石にこの歳で年齢を誤魔化してもなんの得もないからの。」


愉快そうに聖さんは笑った。


「ところで、聖さんさっきステータスで種族の欄って何って書いてあった?」


「む?種族?はて、よく見ておらんかったな。もう一度見てみるかぁ。ステータス」


そう言って聖さんは再びステータスは画面を出した。


「んー?よくわからんがあんじぇりあと書いてあるぞ。戦斗さん。見てみなさい。」


「いや、俺がみてもわからないから…。」


そう言いながらもう一度ステータスを見てみると…。


聖さんが指差した欄には


〈種族〉 天族アンジェリア


と、記載されてあった。


さっきまで何も書いていなかったのに…。これは情報を知れば表示が出る系の奴だな。


俺は自分一人で納得した。


しかし天族アンジェリアか。


俺の種族、血族ヴラドリアに対して聖さんが天族アンジェリア。何だが正反対な気がするな。


「何か考えておるのかの?戦斗さん?」


「ん?ああごめんよ聖さん。」


じゃあ、そろそろ行こうか。


そう言って俺は歩き出した。

正直今の体調はかなり悪い。おそらくHPが少ないからだろう。〈状態〉にも疲労って出てたしな。


さっきの聖さんのスキルを見る限り、体の怪我とHPはおそらく別扱いなのだろう。ゲームの世界で言うなら体の怪我は麻痺とか毒とかと同じような扱いになるのかもしれないな。


俺は何となくそんなことを思った。





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